川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

パンデミックから軍縮へ――『世界』8月号に寄稿しました

7月8日に発売となった岩波書店『世界』8月号に「パンデミックから軍縮へ」と題する文章を寄せました。コロナ危機が世界の安全保障議論をどう変えるか、兵器に使われるお金と医療・保健に使われるお金の比較、米中対立と国際協調、核軍縮をめぐる好機と難局などについて論じました。ご一読いただければ幸いです。

2020/07/13 · Leave a comment

【7/7】「核兵器禁止条約」誕生から3年 ~これからどうする

来る7月7日で、核兵器禁止条約が国連で採択されてから3年となります。この夜19:30から、核兵器禁止条約発効への展望や今後の課題について、以下のとおりピースボート主催のオンラインイベントでお話をいたします。事前登録が必要ですので、どうぞよろしくお願いします。 なおまた、これとは別に、同夜23:00から、サーロー節子さんの証言会がやはりピースボートの主催で行われます。こちらは英語で、フランス語と中文の通訳がつきますが、日本語はありません。ピースボートでは7月7日を皮切りに計4回、世界の人々向けに被爆証言会をさまざまな言語で約一カ月かけて行っていきます(7/15:山下泰昭さん(メキシコ)、7/23:森田隆さん(ブラジル)、7/31:李鐘根さん(日本/韓国))。詳しくはこちらをご覧ください。> Hear the Voices of the Survivors: Hiroshima and Nagasaki 75 years on) 7/7 「核兵器禁止条約」誕生から3年 ~これからどうする https://peaceboat.org/33869.html ———————————————————————- 2017年7月7日、核兵器禁止条約が国連で採択されました。国連加盟国の3分の2近い122カ国の賛成によって生まれたこの条約は、現在、各国による署名・批准のプロセスが進み、発効に向けて前進しています。6月27日現在38カ国が批准しており、あと12カ国が批准すると計50カ国となり、その90日後に発効します。 その一方で核保有国はこの条約に背を向け、核軍拡競争を続けています。核不拡散や核実験禁止といったこれまでの数々の国際的な枠組みが危機にあります。被爆国・日本の政府もまた、核兵器禁止条約への反対姿勢を変えようとしていません。 核兵器をめぐって世界は、今後どう動いていくのか。世界のNGOや市民運動はどのように活動を進め、核兵器廃絶への道を切り開いていこうとしているのか。 このイベントでは、2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員をつとめるピースボートの川崎哲がお話しし、その後、質疑応答とディスカッションを行います。 広島・長崎「被爆75年」の8月を前に、私たちにできることを考えましょう。 日時 2020年7月7日 (火) 19:30~21:00 イベントはオンラインで行われます。「Zoom」を使用して行いますので、開始までにZoomアプリをインストールしておいてください。 講師 … Continue reading

2020/06/29 · Leave a comment

三菱UFJによる核兵器製造への融資を禁止する指針改定を歓迎します

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が5月13日に「環境・社会ポリシーフレームワーク」を改訂し、核兵器を生物・化学兵器や対人地雷と並ぶ「非人道兵器」として、その製造に対する融資を禁止しました。6月7日、共同通信が報道しました(「核兵器製造への融資禁止 三菱UFJが指針改定」)。重要な一歩であり、歓迎したいと思います。(「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」の改訂について) 7月1日から適用される新しいポリシーは、次のように規定しています。 「非人道兵器セクター: 戦争・紛争において使用することを目的に製造され、一般市民も含めて、無差別かつ甚大な影響を与える核兵器、生物・化学兵器、対人地雷は、クラスター弾と同様に人道上の懸念が大きいと国際社会で認知されています。核兵器、生物・化学兵器、対人地雷の非人道性を踏まえ、これら非人道兵器の製造に対するファイナンスを禁止しています。」 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)は、核兵器の製造への融資を禁止するだけでなく、核兵器を製造している企業への一切の投資を禁ずるべきだと訴えています。そうでないと、企業に核兵器製造をやめさせる力にならないからです。MUFGの新ポリシーはそこにまで至るものではありませんが、日本のメガバンクの一つが核兵器を「非人道兵器」と明記して融資を禁じた意義は大きく、第一歩として歓迎したいと思います。これに続く次なる措置を期待します。 参考:「核兵器にお金を貸すな」2019年版レポート

2020/06/08 · Leave a comment

日本が武器を買うお金で、これだけのことができる

2020年度の日本の防衛費は、5.3兆円である。これは前年度より1.1パーセント増で、防衛費は第二次安倍政権発足後8年連続で増加、6年連続で過去最大を更新している。このうち、自衛隊員の給与など「人件・糧食費」が2.1兆円、「物件費」が3.2兆円である。この「物件費」の中に、戦闘機や武器の購入、艦船の建造、施設整備、研究開発、基地対策経費(いわゆる米軍への「思いやり予算」を含む)、そしてそれらの維持費が含まれる。「物件費」のうち、今年度に新規契約されるものの支出が1.1兆円であり、残りは昨年度以前に契約されたものの支出である。 その1.1兆円――すなわち、日本の防衛費の5分の1――を仮に新型コロナウイルス対策に振り向けたら、何ができるだろうか。 日本で年間1.1兆円あれば、集中治療室のベッドを15,000床整備し、人工呼吸器を2万台そろえ、さらに、看護師7万人と医師1万人の給与をまかなうことができる。 今年度の防衛費を個別項目でみていくと、護衛艦「いずも」を事実上の空母に改修するための費用が31億円、同艦で運用するステルス戦闘機F-35Bを米国から6機購入するための費用793億円が計上されている。合計で824億円。この金額で、全国にPCR検査センターを130カ所以上設置できる。 また、陸上配備のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を米国から導入するために、129億円が計上されている。この金額で、高齢者をケアするヘルパーを4,000人増員することができる。 韓国では4月末に防衛費9,897億ウォン(約850億円)を削減し12.2兆ウォンを新型コロナウイルス対策の支援金として国民に支給する補正予算を可決している。削減された防衛費は、F-35ステルス戦闘機、海上作戦ヘリコプター、イージス艦などの費用である。 韓国のように武器や軍事のための費用を削ってコロナ対策に回すという議論が、日本の国会でも今なされるべきはないか。 川崎哲 (協力:ピースボート) 2020.5.27 算出根拠を含む本稿のPDF版はこちら

2020/05/27 · 2 Comments

希望のバラICAN 核兵器のない世界へ

これは、広島の被爆者・田頭数蔵さんが、2017年「核兵器禁止条約」に貢献しノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に心動かされて作った新種のバラです。広島バラ園から、東京の恵泉女学園大学と多摩市に贈られました。被爆75年、その願いを形に。#YesICAN 参考:ピースボートのウェブサイト(こちら)およびおりづるプロジェクトのブログ(こちら)  

2020/05/20 · Leave a comment

コロナ危機は世界を軍縮に導くか

このたび日本平和学会のウェブサイトに「コロナ危機に立ち向かう」と題するフォーラムができました。新型コロナウイルスの感染拡大との戦いを「戦争」になぞらえて語る人もいますが、逆に「平和」の視点からこの状況をどう考えればよいのか。人間の命、権利、尊厳を基本的価値として平和を探求する立場から、現在の危機と来るべき社会の変革について、日本平和学会の会員の方々がこのフォーラムに寄稿します。私自身は「コロナ危機は世界を軍縮に導くか」という文章を寄せました。 この文章で私は、第一に、軍事費と医療・保健のニーズの関係、第二に、軍事力中心の国家安全保障からグローバルな安全保障へのシフト、第三に、経済危機がもたらす武力紛争の危険、第四に、情報通信技術と軍備管理の関係、について問題提起しました。どうぞご一読ください。

2020/04/20 · 1 Comment

コロナ危機が私たちに投げかけているもの

 新型コロナウイルスの感染拡大についてグテーレス国連事務総長は「国連75年の歴史の中でかつてない危機」として世界的な連帯を呼びかけた。ドイツのメルケル首相は国民への演説で「第二次世界大戦以来の挑戦」だと述べている。9年前に東日本大震災が起きたとき「日本で第二次大戦以来の大災害」と報じられたことを思い出す。 多くの専門家は、このウイルスを撲滅することは不可能であり最終的には人類の過半が感染を経て集団免疫をもつしかないといっている。と同時に、それに至るペースを制御しなければいけないという。ペースが速まれば医療が崩壊してしまうからだ。実際、それが起き始めている国が少なくない。 ペースを抑える手段として、人と人が接近しないようにする「社会的距離」の政策が推奨されている。これは大きなストレスを伴うもので、どれだけ実効的に長期間継続できるのかは疑問だ。しかし、幸い、通信技術の発展により、直接の接触をせずネットでコミュニケーションをとることができる。今後は、リアルな対面とネットとのバランスの取り方が問われてくるだろう。とりわけ日本の東京などの場合、そもそも非合理的であった満員電車通勤などをなくす好機にはなるし、むしろそうしていくべきだ。 この肺炎に対処するために必要なのは隔離施設とベッドと人工呼吸器ということだろうから、特別に高度な技術を要するものではなさそうだ。しかし、国や地域により医療インフラの水準は異なるわけだから、不可避的に危機の格差が生じる。医療インフラが充実していればすぐに危機にはならないが、それが足りなければあっという間に崩壊する。そのような命の格差は許されない。それゆえ当面は緊急対応をしつつも、中長期的には基礎医療の拡充を図ることを考えなければならない。日本だって「このままだと医療崩壊だ」というけれど、このくらいで崩壊してしまう医療にしてきた責任は誰にあるのか。 高齢者や基礎疾患を抱えた人たちが特にこのウイルスに脆弱であるという。では、ウイルスが怖いからといってこの人たちを自宅に放置しておいたならば、別の形で、命と尊厳を損なう事態になる。そもそも高齢者ケアの現場は極度の人手不足だったわけであり、その抜本的な拡充が不可欠だ。コロナ危機でさまざまな産業がストップして失業者が増えるというのであれば、むしろその人手を福祉に回すくらいの大胆な発想が必要だ。 現代世界における真の脅威は、敵国が自国を攻撃するというような古典的モデルではもはやなく、国境で止めることが本質的に困難な自然現象であることが改めて浮き彫りになった。しかもその脅威は、人間自身が作り出したシステムによって増幅されている。しかし多くの人々の思考は、いまだ国境で仕切られ、国ごとのアイデンティティに支配されている。ウイルス感染国や地域への差別やいじめも横行する。それが問題解決に何ら貢献せず、むしろ妨害するものでしかないことは明らかであるのに。 コロナ危機への対処は、世界規模で相当の期間を要するだろう。世界的不況はもはや不可避であり、貧困や格差の問題はさらに深刻化する。真に人間の安全にとって必要な国際協力に舵をとるべきである。主権国家が武器で他国を威嚇して自国を守るというような20世紀型の安全保障観からさっさと卒業しなければならない。人類皆殺しの核兵器や大量破壊兵器にお金をつぎ込んで、戦争ごっこや軍備競争をしている余裕は、私たちにはないのだ。お金と資源を人間に振り向けない限り私たちの生存は続かない。必要なのは特別な技術ではなく、冷静な思考力だ。 2020年3月20日 川崎哲

2020/03/20 · 1 Comment

『3.11を心に刻んで2020』のブックガイドに寄稿しました

東日本大震災、福島原発事故から9年にあたり、岩波ブックレット『3.11を心に刻んで 2020』(岩波書店編集部編)が刊行されました。このブックレットは、岩波書店のホームページ上で連載されているエッセイ(毎月11日更新)を年に一度まとめているものです。2020年版のブックレット出版にあたり、「3.11を考えつづけるためのブックガイド」のコーナーに3冊の本を紹介しました。 私がおすすめしたのは、以下の3冊です。 ●長谷川健一『原発に「ふるさと」を奪われてー福島県飯舘村・酪農家の叫び』宝島社、2012年 ●ピーター・ヴァン・ネス、メル・ガートフ編著、生田目学文訳『フクシマの教訓ー東アジアにおける原子力の行方』論創社、2019年 ●太田昌克『日米<核>同盟ー原爆、核の傘、フクシマ』岩波新書、2014年 岩波ブックレット『3.11を心に刻んで 2020』は、こちら。

2020/03/08 · Leave a comment

今夏のピースボート地球大学「ともに築く平和で包摂的なアジア」報告書アップ

この8月、ピースボートでは日本一周と東アジアを巡るクルーズにおいて地球大学「特別プログラム」を実施しました。英語のみで行うこのプログラムには今回、日本、台湾、韓国、マレーシア、アメリカ合衆国、フィリピン、タイ、中国本土から35名の参加がありました。東京外国語大学をはじめ日本や韓国の諸大学との提携による本プログラムもすっかりと定着してきました。今年は「ともに築く平和で包摂的なアジア」をテーマに、国連が定める持続可能な開発目標16(平和で公正な社会の実現)をどのようにアジアで実現していくかといったことをテーマに活発な議論がなされました。私自身は「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」や「平和と音楽の船旅~明子さんの被爆ピアノとともに」などのプロジェクトが同時期に重なっていたため、プログラムの多くの部分を同僚の畠山澄子さんを中心に進めてもらいました。英語と日本語でウェブレポートならびに報告書が完成していますので、どうぞご覧ください。こちらから>日本語・English

2019/11/30 · Leave a comment