川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

参議院の外交・安保調査会でFMCTについて意見陳述しました

本日(2024年2月21日)、参議院「外交・安全保障に関する調査会」(会長:猪口邦子参議院議員)で「FMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉開始への取組と課題」をテーマにした会合が開かれ、私は3人の参考人の1人として出席しました。 FMCTとは、核兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウランやプルトニウムなど)の生産を禁止する条約で、その交渉開始に向けた取組が1990年代から続いています。岸田首相は、核兵器禁止条約については昨年末の締約国会議へもオブザーバー参加を見送るなど消極的な姿勢ですが、FMCTについては積極的で、昨年9月の国連総会ではハイレベル会合を開催するなどしています。こうした政府の姿勢も背景に、この度、FMCTに焦点を当てた調査会の会合が開かれる運びとなりました。 私は、秋山信将一橋大学大学院法学研究科教授と阿部達也青山学院大学国際政治経済学部教授に続いて、3人目の参考人として20分間の意見陳述を行い、その後、与野党の国会議員からの質疑に答えました。この会合の様子は、参議院のインターネット審議中継のページから「外交・安全保障に関する調査会」「2024年2月21日」で検索すると、動画で見ることができます。 私の意見陳述の内容は、以下の通りです。以下は準備原稿で、多少言葉遣いを変えたところがありますが、ほぼこのまま発言しました。また、配付資料は、以下の通りです。配付資料 こちら(PDF)別紙資料 表4 分離プルトニウム・高濃縮ウラン保有総量 表5 分離プルトニウム・高濃縮ウラン保有マップ いずれも出典は長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) <以下、意見陳述原稿> 参議院「外交・安全保障に関する調査会」2024年2月21日21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~「FMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉開始への取組と課題」川崎哲 はじめに 猪口会長、委員の皆さま、本日はこのような機会をいただきありがとうございます。 私は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に集う世界中の仲間たちや、広島・長崎の被爆者の皆さんと協力しながら、核兵器廃絶のための活動を続けてきました。2017年7月、核兵器を非人道兵器と断じ、その開発、保有、使用を全面的に禁止する核兵器禁止条約が採択されました。同条約が2021年1月に発効してから3年が経ち、締約国または署名国として加わっている国の総数は97カ国に上っています。 しかし、表1にあるように、未だに世界では9カ国が合計1万2000発以上の核兵器を保有しています。冷戦終結以降、核兵器の総数は減少し続けてきましたが、近年、現役の核弾頭数はむしろ増加に転じています。提案されているFMCTは、核兵器の材料物質の生産を禁止し核軍拡を止めることが、その最大の意義です。FMCTをめぐる課題について、私自身がその成立に関わってきた核兵器禁止条約との関係に触れながら、意見を述べたいと思います。 1,FMCTとは何のための条約か まず、FMCTとは何のための条約であるかについてです。 表2をご覧ください。FMCTは、核兵器を規制・禁止するさまざまな国際的取り組みの中の1つに位置づけられます。今日、全世界的な規範を作るための多国間条約としては、NPT(核兵器不拡散条約)、CTBT(包括的核実験禁止条約)、そしてTPNWとも称される核兵器禁止条約が存在します。 このうちNPTは、新たな核保有国の出現を防ぐ核不拡散については厳しく規定していますが、核保有国による核軍縮については一般的な、甘い規定に留まっています。そこでNPTが1995年に無期限延長される際に、具体的な核軍縮措置として、核実験を禁止するCTBTと、核兵器の材料物質の生産を禁止するFMCTの2つが、優先課題として合意されました。 そのうちCTBTは、ジュネーブ軍縮会議で交渉され、1996年に採択されました。一方のFMCTは、未だ交渉開始に至っておらず、その見通しも立っていません。 その一方で、核兵器禁止条約は、1997年にNGOによるモデル案が示され、2010年以降機運が高まり、2017年に交渉のうえ採択され、今日では世界の約半数の国が参加するに至っています。 表3をご覧ください。これら多国間条約の基本的な対比を示しています。  FMCTが規制しようとしているのは、核兵器の材料物質、すなわち高濃縮ウランとプルトニウムです。これらの核分裂性物質を核兵器目的で生産することを禁止しようというものです。1995年にジュネーブ軍縮会議で「差別的でなく、多国間の、検証可能な」FMCTを交渉するという基本的な構想が示されました。 これに対して、これら核分裂性物質の将来の生産のみを禁止するのか、それとも既存の核分裂性物質も規制の対象に含めるのかという論争が続いてきました。 将来の生産だけ禁止し既存の物質を対象にしなければ、当然、これまで多くの核分裂性物質を生産し貯蔵してきた核保有国に有利に働くことになります。 こうしたことから、南アフリカなど非同盟諸国を中心に、多くの国が、既存の貯蔵分も対象に含めることが核軍縮にとっては不可欠であると主張しています。 実はCTBTにも、同じように、先に核保有国となった国と、後進の核保有国の格差という問題があります。すなわち、米国のように既に多くの核実験を行った国が、他の国々が新たに核実験を行うことをとめるという性格があるわけです。 つまり、CTBTやFMCTは、核軍縮のための措置と言われますが、同時に、新たな核保有国の出現の防止という「核不拡散」の側面や、後進の核保有国の活動を制限するという「垂直拡散の防止」という側面があるのです。  日本政府は、名指しこそしないものの、中国の核軍拡を封じるという観点を中心に置いて、FMCTを促進しているように見えます。 ヒロシマ・アクション・プランにおいても、昨年のG7広島サミットにおいても、中国を念頭に核戦力の透明性の必要性を強調し、その文脈の中で、FMCTの交渉開始を呼びかけています。 しかし、NPTが世界を「5つの核兵器国」と「それ以外の国」に分けたように、FMCTが新たな差別構造を持ち込むような形で作られるならば、それは国際的な支持を得られません。  ジュネーブ軍縮会議においては、パキスタンが「既存の貯蔵分を含めないFMCTは差別的だ」と主張して、ほぼ1カ国のみで議論をブロックし続けてきました。そのパキスタンは核保有国であり、年々、核兵器を増産し続けています。 皮肉なことに、「不平等なFMCTには反対だ」というパキスタンの主張は、その不平等を埋めんとばかりの同国の核軍拡を許す結果につながってきたのです。 中国も「最大の核保有国である米ロがまず核軍縮をして初めて、他の核保有国も核軍縮プロセスに参加できるようになる」と主張しています。中国の核軍備増強は懸念されるところですが、それでも総数において米ロとは一桁異なります。米ロにおける核軍縮の停滞は、結果的に中国の核軍拡を許すことにもつながっています。 したがって、FMCTをめざすのであれば、それが核保有国間の格差を固定するためではなく、核不拡散のためだけでもなく、あくまでその目的が「核兵器のない世界」をめざした核軍縮にあることを明確にしなければなりません。そして、すべての国に対して普遍的に規制をかけるものにしなければなりません。さもなくば信頼を得られず、結局、実効性も持ち得ないでしょう。 2,核兵器禁止条約とFMCT さて次に、核兵器禁止条約とFMCTの関係についてです。 2017年の核兵器禁止条約によって、核兵器の開発や生産は全面的に禁止されました。核兵器の材料物質の生産は、同条約の下で既に禁止されていると解釈できます。したがって、核兵器禁止条約の締約国は、FMCTに入るまでもなく、核兵器の材料物質の生産を禁止されていることになります。 それゆえ、日本はまずもって核兵器禁止条約に加わり、他国に対してもそのことを促せばよいと考えられますが、政府はそのようにはしていません。このことの妥当性について国会議員の皆さんにはよく考えて、審議していただきたいと思います。  しかし、それはさておき、核兵器禁止条約が既に存在する上で、さらにFMCTを作るとしたら、どのような意義があるかについて考えたいと思います。 一つには、核分裂性物質に焦点を当てて、技術的な検証を含む精緻な禁止と規制を行うというところに意義があります。 もう一つは、核保有国が加わる可能性があるということです。核兵器禁止条約には、現在核保有国は1カ国も加わっておらず、近い将来加わる見通しも、残念ながらありません。これに対して、新たにFMCTを作り、そこに核保有国が一定程度加わる見通しが立つのであれば、それには意義があると言えるでしょう。 3,核分裂性物質の禁止と規制 ここで、核分裂性物質の禁止や規制のあり方について考えたいと思います。 FMCTについて、将来の生産禁止だけではなく既存の貯蔵分も規制対象に含めるかという論点があることは、既に述べたとおりです。真に核軍縮に資するFMCTにするためには、核保有国が、既存の貯蔵分を核兵器の維持や近代化に使うことに対しても規制をかけることが必要です。 それに加えて、明示的に核兵器目的とされていなかったとしても、核兵器に利用可能な物質であるならば規制対象にすべきではないかという論点があります。 例えば今日、中国が民生用として開発している再処理施設等が核兵器目的に使われる可能性が指摘されています。こうした懸念を背景に、G7サミットでの核軍縮「広島ビジョン」には「民生用プログラムを装った軍事用プログラムのためのプルトニウムの生産または生産支援のいかなる試みにも反対する」と記されました。 「民生用」とされていても、高濃縮ウランやプルトニウムは本質的に核兵器に利用可能です。したがって、それらの生産や保有を適切に規制しない限り、抜け穴となってしまいます。  過去を遡れば、1991年の朝鮮半島非核化共同宣言は、南北両国が核兵器を持たないとうたうにあたり、両国とも「再処理施設とウラン濃縮施設を持たない」と定めました。そうすることで、非核化に実効性を持たせようとしたのです。 また、2014年にハーグで開かれた核セキュリティ・サミットでは「高濃縮ウランの保有量を最小化し、分離プルトニウムの保有量を最小限のレベルに維持する」ことがうたわれました。 「核分裂性物質に関する国際パネル」や「カーネギー国際平和財団」といった専門家グループからは、プルトニウムの分離は利用目的にかかわらず中止または禁止する、また、高濃縮ウランについては使用を全面的にやめて低濃縮ウランに転換する、といった提言が出されています。  いま世界には約1万2000発の核兵器がありますが、核兵器の材料として使われるおそれのある高濃縮ウランやプルトニウムの量は、表4と表5にある通り、核兵器11万発以上分にも上ります。これらに対する総合的な管理の視点が必要です。 プルトニウムについては、国際原子力機関(IAEA)の下で管理指針(INFCIRC549)が策定されていますが、こうした透明性措置の強化が不可欠です。  表5にある通り、日本は今日、約45トンのプルトニウムを保有しており、その量は核兵器7600発分にも相当します。非核保有国としては突出した量です。もちろんこれはIAEAの保障措置下にありますので、即座に核兵器に転用できるというわけではありません。それでも、計算誤差の問題は発生します。なんと言っても、日本の場合には量が格段に多いわけです。 2018年に政府は、当時の保有量約47トンを上限とし、保有プルトニウムを減らしていくことを公約しました。確実に削減し、国際的疑念を持たれないようにするためには、青森県六ヶ所村の再処理工場の本格稼働を中止することで、これ以上プルトニウムを増やさないようにすることが必要です。 このように、国際的に核分裂性物質への管理を強化していく中では、日本が民生用として進めている核燃料サイクル政策も再検討を迫られていくことは必至です。自国の分は民生用だから大丈夫、しかし他国の分は民生用と言われても怪しい、といった態度は通りません。 4,条約制定プロセスと保有国の関与 次に、FMCTを条約として制定させるプロセスと、そこへの核保有国の関与について考えたいと思います。どのような場で条約を交渉するかという問題です。 これまでジュネーブ軍縮会議での交渉が呼びかけられてきましたが、軍縮会議は全会一致制をとっているので、全ての国が拒否権を持つのと同じことです。今後、軍縮会議で条約交渉が開始できるとは思えません。 1997年の対人地雷禁止条約や2008年のクラスター弾禁止条約は、国連の枠組みを飛び越えて、有志国の外交会議を重ねて成立へとこぎ着けました。  核兵器禁止条約の場合は、第一段階として有志国が核兵器の非人道性に関する議論を重ね、第二段階として核兵器禁止をめざす有志国の誓約を集め、第三段階として国連総会決議を通じて国連の下で交渉会議を行い、条約を成立させました。 この過程では、対人地雷やクラスター弾と同様に、完全に有志国会議で進めるべきとの意見もありました。その方がスピードが速いからです。しかし、将来的に核保有国も巻き込むためには国連という枠組みの下で作るべきだという意見がそれに優りました。私はこれが正しい選択だったと考えています。  今後FMCTを作る場合にどのような制定過程をとるかという問題は、核保有国をどのように巻き込んでいくかと関係します。 核兵器禁止条約の場合は、核保有国がすぐには参加しない条約でも、早く成立させて強い禁止規範をつくることを優先すべきだという考え方の下で、今日の条約がつくられました。その結果、たしかに核保有国は未だ入っていませんが、核兵器の非人道性に関する認識は国際社会に遍く広がりました。 FMCTの場合に、保有国の参加を重視するのか、それとも規範形成を優先するのかということは、重要な論点となります。これは、条約の発効要件とも関係します。  改めて表3をご覧ください。主たる条約の発効要件、発効状況、現在の締約国数、そして核保有国9カ国のうちどこまでをカバーできているかをまとめています。 このうちCTBTは、原子力活動を行っている44カ国が批准して初めて発効するという厳格な定めをしました。その結果、今日に至っても未発効です。こうした状況を踏まえ、核兵器禁止条約の場合には、単純に50カ国が批准すれば発効すると定めました。 一方、CTBTも、未発効だから効力がないということではありません。既に圧倒的多数の国が締約国となっていること、そして、全世界に核実験の監視システムを張り巡らせていることから、実質的に核実験を抑制する効果を発揮しています。  現実問題としては、核保有9カ国全てが最初から参加する条約をつくるということはほぼ不可能ですから、FMCTにおいて何を優先させるかを慎重に検討する必要があります。 条約の交渉が始まっても、先に述べたように、既存の貯蔵分を対象に含めるかどうかといった点で交渉は難航するでしょう。どこまでの内容の条約にするかによって、どの国の参加が期待できるかということも変わってきます。 まとめ 核軍縮の世界では、表2や表3に記したさまざまな条約や制度が組み合わさって「アーキテクチャ」すなわち建造物が作られているという言い方がよくなされます。NPT、CTBT、そして核兵器禁止条約は相互補完的な関係にあり、そこにFMCTをどう組み合わせるのがもっとも効果的かを考える必要があります。 FMCTを通じて核分裂性物質に対する国際的な管理を強化し、その検証制度を作っていくことは、NPTに対しても、核兵器禁止条約に対しても、実効性を高めるために有益です。 いずれにせよ、大前提として、核兵器がいかなる国にとっても許されない非人道兵器であるという基本認識を確認することがたえず求められます。 そのためにも、日本は、核兵器禁止条約に加わる政治的意思を示しつつ、同条約の締約国会議には積極的に参加して、核分裂性物質の生産禁止、管理強化、そしてその検証に向けた実質的な議論を牽引すべきであると考えます。 最後に 最後に一言申し上げます。本日私は、他の参考人の先生方がどなたかを知らされることなく、この役割を引き受けましたが、その後3人とも男性であったことを知り、残念に思っています。近年、核軍縮の世界においてもジェンダーの議論はさかんです。核兵器は女性に偏った被害をもたらす一方で、核兵器をめぐる議論や意思決定の場が男性に依然支配されていることは、大きな問題です。 2022年のNPT再検討会議において、日本は、67カ国による「ジェンダーと多様性、包摂」に関する共同声明に連名しています。猪口会長および委員の皆さまには、今後の調査会での参考人の選定にあたってジェンダーの多様性を重視していただけますようお願いを申し上げて、私の意見陳述を終えます。 ご清聴ありがとうございました。

2024/02/21 · 1 Comment

核兵器をなくすための「日本キャンペーン」を始めます。クラウドファンディングにご協力ください

このたび、「本気で核兵器をなくす」ための大規模な日本キャンペーンを始めることを決め、その立ち上げのためのクラウドファンディングを開始しました。世界には核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)があり、核兵器禁止条約をつくることに成功しました。ならば日本には、核兵器廃絶日本キャンペーンが必要ではないか。核兵器廃絶日本キャンペーンが、核兵器禁止条約に日本が加わることを求める大きなキャンペーンを行い、そしてそれを実現させる必要がある。そう考えたのです。 大事なことは、日本の核兵器禁止条約への参加を「本当に実現する」、そしてそのために「本気を出す」ということです。条約ができてから6年が経ちましたが、政府は背を向けたままです。これに対してただ「入れー」と言っていただけでは、いつまで経っても日本は入りません。日本の署名・批准を実現するためには、政府や国会議員らが無視できないくらいまで世論を大きくすること、そして、政治に力強く働きかけていく必要があります。与野党問わず、すべての政党に働きかけていくことが肝要です。 年に一回、8月の広島・長崎の「原爆の日」の頃にだけ「核兵器廃絶」を語る、というようなことをくり返していても、前には進みません。たえず、くりかえし、強力な世論喚起と政治への働きかけを継続していかなければなりません。そのためには、このキャンペーンに専属で動ける人たちを何名か雇用することも必要になります。核兵器禁止条約が成立して以降、日本の若い世代の間で、このテーマに関心をもって積極的に活動する高校生、大学生、大学院生らがとても増えたと感じています。昨年の核兵器禁止条約締約国会議でも、そうした若者が日本から多数ウィーンに集まりました。私は、こうした人たちの中で意欲ある人たちが核兵器廃絶日本キャンペーンのスタッフとして活動できる状況を作り出したいと考えています。 核兵器廃絶に取り組む日本の多くの団体・個人が集う核兵器廃絶日本NGO連絡会では、昨年来、こうした日本キャンペーンの立ち上げの可能性について議論を重ねてきました。そしてこのたび、同連絡会が母体となった新しい日本キャンペーンを立ちあげることを決め、その立ち上げのためのクラウドファンディングを開始したのです。国際平和デーである9月21日(木)までに1000万円を集めることを目標にしています。7月24日に始め、出だしは順調ですが、1000万円というのはそう簡単に集められる金額ではありません。皆さんお一人お一人のご支援が必要です。どうぞよろしくお願いします。 核兵器廃絶日本NGO連絡会は、2010年から活動を続けています。ピースボートは当初からの参加団体の一つであり、私は同連絡会の共同代表の一人を務めています。世界に核兵器廃絶国際キャンペーンがあり、日本に核兵器廃絶日本キャンペーンがある状況が生まれれば、世界における核の脅威のこれ以上の高まりをおさえ、核兵器を廃絶へと導くための運動がこれまでとは違った次元で展開できるようになるはずです。皆さんのご理解と、あたたかいご協力をお願いします。ご寄付は、是非、今日お願いします。(善は急げ!)クラウドファンディングはこちらからhttps://camp-fire.jp/projects/view/685805 以下、核兵器廃絶日本NGO連絡会からのメッセージです。ぜひ、転送・転載して、広めてください。皆さんのご協力をよろしくお願いします。川崎哲 核兵器をなくすための「日本キャンペーン」クラウドファンディングにご協力くださいhttps://camp-fire.jp/projects/view/685805  本気で核兵器をなくしたい。そのために、日本の核兵器禁止条約への参加を必ず実現したい。そのための大規模な「日本キャンペーン」を立ち上げようと、核兵器廃絶日本NGO連絡会はこのたび、クラウドファンディングを始めました。国際平和デーである9月21日(木)までに1000万円を集めることを目標にしています。 ■日本は核兵器禁止条約へ参加を いま世界には、1万2000発以上の核兵器があります。そして年間10兆円以上のお金が、核兵器のために、世界で費やされています。でも、核兵器をなくすことはできます。核兵器をなくせば、この世界は、今よりもずっと平和で、豊かで、誰もが暮らしやすいものになります。核戦争におびえないで生きられる社会をつくりましょう。 核兵器禁止条約が、すでに、できています。すでに世界の半数近くの国が、この条約に加わっています。それでも、日本は、まだ加わっていません。日本は、核兵器禁止条約に加わるべきです。広島・長崎の原爆被害を経験した国・日本がこの条約に加われば、世界を大きく動かします。核なき世界へと、大きく近づきます。 そのために、日本政府を動かすような、力強い、政治への働きかけが必要です。私たちは、日本政府と、すべての政党の議員たちに、働きかけをしていきます。核兵器をなくすための「日本キャンペーン」を始めます。https://camp-fire.jp/projects/view/685805 ■「日本キャンペーン」が取り組むこと 日本が核兵器禁止条約に参加することが、核なき世界への入り口です。「日本キャンペーン」では、日本の条約参加に向けて、以下のような取り組みを行うことを計画しています。集まったお金は、こうした活動のための諸経費(人件費含む)に充てられます。https://camp-fire.jp/projects/view/685805 【1】国会議員への働きかけ:核禁条約に関する議員向け解説冊子作成 / 全政党要請・勉強会の開 催 / 全議員訪問、「誓約」要請、国会質問の作成協力 / 政党代表者間の討論会開催【2】政府への働きかけ:政府との意見交換会の定期開催 / 国際会議に合わせた対政府要請【3】核兵器禁止条約に関する広報・イベント:核禁条約に関するパンフレットの作成と普及 / 9.26 「核兵器廃絶国際デー」イベント開催【4】「核兵器禁止条約フォーラム」開催:専門家を招いて「核兵器禁止条約に日本が加わる道筋」 を議論 / 反対派、慎重派の声も聞きながら幅広い議論を展開 皆さまのご協力をお願いします。https://camp-fire.jp/projects/view/685805 お問合せ> nuclear.abolition.japan (a) … Continue reading

2023/07/30 · Leave a comment

新刊『僕の仕事は、世界を平和にすること。』が出ました

このたび、旬報社から新しい本を出しました。書名は『僕の仕事は、世界を平和にすること。』。主に10代向けに書きました。中身を自分で説明するのはちょっと恥ずかしいので(自分のことについてたくさん書いている本です)、旬報社さんのホームページにある宣伝文句と本書の目次を以下に貼り付けます。第3章にある「世界を平和にするために 僕が大事だと考える13のこと」は、私なりに自らの活動と人生を振り返って、NGOや平和活動の基本原則13箇条をまとめたものです。「おわりに」では、現在進行中のウクライナ戦争や、今日の世界における軍縮のテーマについての向き合い方を書きました。税込み1,760円です。 川崎哲『僕の仕事は、世界を平和にすること。』旬報社 外交官じゃなくても、国連職員じゃなくても、世界を平和にすることはできる! 「職業:平和活動家」2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の中心メンバーである著者が、平和づくりに体当たりで挑んできた半生を振り返り、一市民として「世界の平和」と向き合うためのヒントを届けます。 目次 はじめに 世界を平和にする仕事 第1章 いま僕がやっていること ピースボートとICANピースボート地球は丸いピースボートのしくみピースボート地球大学世界のことを学ぶステップ国連への提言活動武力紛争の予防日本国憲法九条の意味広島・長崎の被爆者と共にICANと核兵器禁止条約被爆者や市民の役割ノーベル平和賞受賞式国際活動は楽しいけれど、楽ではない原発をどう考えるかNGOとNPO 第2章 僕が「平和」について考えるようになったわけ父と母のこと広島に連れて行っていくれた父中学・高校時代二次方程式の解の公式中国語を学んで中国へ中東・コーカサスへの旅大学で学んだことビルマ民主化運動への支援湾岸戦争が大きなきっかけ外国人労働者とホームレスの支援障害者介助の仕事挫折、NGO、結婚 第3章 世界を平和にするために 僕が大事だと考える13のこと1 まずは日本を飛び出てみる2 国を疑え3 自分も疑え4 自分の意見を表現する5 SNSやメディアとどう付き合うか6 「よい戦争」なんてない7 仲間を増やし、横につながる8 英語はできた方がいい?9 お金は後からついてくる10 現場と政策のあいだを行き来する11 大きな視点をもち、中くらいの目標を立てる12 反対の立場の人と対話する13 活動することと自分の幸せ おわりに 戦争をなくすために 6月19日にピースボートセンターとうきょうで出版記念トークをやりました。そのときの動画です▼

2023/05/28 · Leave a comment

NHK「日曜討論」ご視聴ありがとうございました

5月14日にNHK・日曜討論「G7広島サミット “核なき世界”への道は」に出演しました。ご視聴くださった皆さまありがとうございました。5月21日(日)午前10時まで「見逃し配信」での視聴が可能です。以下のリンクから(NHK+への登録が必要)。https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2023051421424

2023/05/15 · Leave a comment

G7とヒロシマ サミットは核の廃絶を語れ

岩波書店『世界』6月号に「G7とヒロシマ サミットは核の廃絶を語れ」と題する文章を寄せました。ロシアによるウクライナ侵略戦争が続き、岸田政権下で日本の大軍拡が進められている中で、G7という核保有国と核依存国の首脳らが広島に集まります。これに対する市民社会・NGOによる提言を紹介し、G7首脳が被爆地広島から発するべきメッセージと、発してはならないメッセージについて、論じました。 岩波書店『世界』2023年6月号 > https://www.iwanami.co.jp/book/b626485.html

2023/05/08 · Leave a comment

軍拡ではなく、戦争をさせないための外交を

2月14日付の朝日新聞オピニオン面で「『力の時代』の道は」というテーマの「交論」に、私のインタビューが掲載されました。私は、敵基地攻撃能力の保有を含む安全保障3文書を批判しました。これに対して、元外務事務次官の佐々江賢一郎日本国際問題研究所理事長が、「力で平和担保」が「世界構造の底流」であるとの主張をされています。 朝日新聞 2023.2.14(交論)「力の時代」の道は 佐々江賢一郎さん、川崎哲さんhttps://digital.asahi.com/articles/DA3S15554854.html 「敵基地攻撃はミサイルの撃ち合いに」 川崎哲さんが訴える平和構想https://digital.asahi.com/articles/ASR2F4SR5R29UPQJ005.html 朝日新聞社の許可を得て、私のインタビュー記事を掲載します。承諾番号23-0493朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。

2023/02/25 · Leave a comment

公開セミナー「戦争ではなく平和の準備を」始めました

 昨年12月、「国家安全保障戦略」など安保3文書が閣議決定されました。それは、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の大幅増額、さらには武器輸出の全面解禁へと向かう内容を含んでおり、日本の防衛・安全保障政策を根本的に転換させるものです。日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、軍拡競争を助長し、戦争のリスクを高めるきわめて危険なものといわなければなりません。こうした決定が、十分な国会審議も経ないまま強行されてしました。政府・与党が勝手に憲法を上書きしようとしている状況を、このまま受け入れることはできません。  この閣議決定に先立ち、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らによる平和構想提言会議は「戦争ではなく平和の準備を」と題する提言を発表しました。この提言は、軍拡ではなく軍縮と平和外交こそが必要であり、それは可能であると説いています。同会議の事務局を担った平和構想研究会は、この一連の問題を扱う公開セミナーをオンラインで開催していくことにしました。  第1回は1月26日に、平和構想提言会議の共同座長をつとめた学習院大学の青井未帆教授を招いて「憲法の視点から安保3文書を読み解く」として開催しました。そのアーカイブは以下のリンクでご覧になれます。今後とも是非平和構想研究会の活動にご注目ください。  なお、平和構想提言会議および平和構想研究会の活動は、いずれも、皆さまからのご寄付に支えられています。皆さまからのご寄付をどうぞよろしくお願いします。

2023/02/05 · Leave a comment

戦争ではなく平和の準備を――”抑止力”で戦争は防げない

 日本政府は、12月16日に「国家安全保障戦略」など安全保障関連の3文書改定を閣議決定しました。反撃能力という名の敵基地攻撃能力の保有、防衛費の大幅増、武器輸出の拡大といった政策が含まれています。閣議決定の前から既に、そうした政策転換を既定路線として、巡航ミサイル購入などの動きが進んできました。 これらは、日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、周辺諸国との信頼関係を悪化させ、軍拡競争を助長するきわめて危険な政策です。ウクライナにおける戦争や緊迫する東アジア情勢の中での人々の危機意識に乗じて、いたずらに軍拡に傾斜していくことは、日本とアジアの平和にとって取り返しのつかない事態をもたらす可能性があります。 さらに、これらは戦後日本の防衛・安全保障政策を根本的に大転換させるものであるにもかかわらず、国会での審議はほとんどなされないままに決定されました。一部「有識者」の報告書に基づき、民主的政治過程を経ないまま閣議決定されるという手法は、重大な問題をはらんでいます。 今本当に必要なのは、日本国憲法の平和主義の原則に基づき、軍拡ではなく軍縮を進めることであり、緊張緩和と信頼醸成のための平和外交を展開することです。そうすることで持続的で安定的な国際関係を構築しない限り、本当の平和も安全保障も実現しません。軍拡のための「戦略」ではなく、平和のための「構想」こそが求められています。 こうした中、今年10月、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らが「平和構想提言会議」を発足させました。私は、15名のメンバーによるこの会議の共同座長を、青井未帆学習院大学教授と共につとめてきました。12月15日、政府の「国家安全保障戦略」に対置する「平和構想」がまとまり、公開会議において発表いたしました。 平和構想提言の全文は、以下の通りです。 「戦争ではなく平和の準備を ―”抑止力”で戦争は防げない―」2022年12月15日、平和構想提言会議http://heiwakosoken.org/wp-content/uploads/2022/12/20221214_HeiwaKoso_Final.pdf 提言発表・公開会議の様子(動画)▼ 計15ページにわたる提言文書の中から、「はじめに」を以下に掲載します。 はじめにいま日本は、戦後80年近くにわたって不戦を貫いてきた平和主義の道を歩みつづけるのか、それともその道から決定的に逸脱して、アジア近隣諸国との対立と紛争への道に進むのか、その分岐点に立っている。政府・与党は、「国家安全保障戦略」など安全保障関連 3 文書の改定を強引に進め、まもなく閣議決定しようとしている。それは、日本の防衛・安全保障政策を根本的に変更し、日本の「国のかたち」そのものを転換させるものである。敵基地攻撃能力の保有をはじめとする一連の政策は、日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、周辺諸国との関係を悪化させ、軍拡競争を助長するきわめて危険なものである。そうした決定が、憲法の下での民主的過程を経ずに強行されようとしている。これは、大きな反対の声がわきあがった 2015 年の安保法制と並ぶ、あるいはそれ以上の重大な政策転換である。にもかかわらず、批判的で慎重な検証も、国民的熟議もなされていない。少なからぬメディアが「結論ありき」とばかりに政府方針を既定路線として報じる中で、憲法との関係が議論されることもほとんどなく、立憲主義のもと私たちが政府に課しているはずの平和主義と民主主義の原則が、公然と無視されている。軍事費を倍増させるような軍拡が、私たちの安全を保障するのか。むしろ軍縮こそが、それを保障するのではないか。そして、緊張緩和と信頼醸成のための平和外交の展開こそが、アジア地域の平和を実現するために求められているのではないか。軍拡のための「戦略」ではなく、平和のための「構想」こそが求められている。戦争の準備ではなく、平和の準備をしなければならない。今年10月、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者ら有志が集い、平和構想提言会議を立ち上げた。そして、政府が閣議決定しようとしている「国家安全保障戦略」に対置する「平和構想」について議論を重ねてきた。この提言文書は、その成果である。この文書が、いま起きている問題の理解を深め、国会議員、政党、政府関係者、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らに活用され、さらなる議論と行動につながることを期待する。 ※この提言について、新聞・テレビで多数報道されていますが、そのうちのいくつかを紹介します。 「戦争ではなく平和の準備を」安保関連3文書改定、憲法学者らが対案公表2022年12月16日、東京新聞https://www.tokyo-np.co.jp/article/220153/1 “安保3文書改定” 有識者らが提言“抑止力に頼らない政策を”2022年12月15日、NHKhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20221215/k10013924291000.html

2022/12/30 · Leave a comment

平和構想提言会議を立ち上げました

日本政府が敵基地攻撃能力保有や防衛費倍増などを含む「安保3文書」改定を図ろうとする中、平和学の研究者やNGO関係者、ジャーナリストなどが集まって、10月29日に「平和構想提言会議」を立ち上げました。政府の「国家安全保障戦略」に対置する「平和構想」の提言を行うことをめざしています。私は、昨秋から進めている「平和構想研究会」(前身は「集団的自衛権問題研究会」)の流れをくんで、今回の提言会議を呼びかけ、学習院大学の青井未帆教授と共に同会議の共同座長となりました。 11月21日には、日本平和学会関東地区研究会との共催で、公開会議を行いました。その様子はこちら▼でご覧になれます。 12月中旬に向けて「平和構想」提言をとりまとめていきますので、どうぞご注目ください。 趣旨等は以下の通りです。  日本政府は、年末までに「国家安全保障戦略」など安全保障関連の3文書を改定する方針です。「防衛力の抜本的強化」を掲げた「有識者会議」が作業を進めており、与党協議も行われています。そして、防衛費を「5年で対GDP比2%以上を念頭に」増額することや、反撃能力という名の敵基地攻撃能力の保有、また、武器輸出の拡大といった政策が議論されています。さらに、そうした政策転換を既定路線として、巡航ミサイル購入などの動きが進んでいます。 これらは、日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、周辺諸国との信頼関係を悪化させ、軍拡競争を助長するきわめて危険な政策です。ウクライナにおける戦争や緊迫する東アジア情勢の中での人々の危機意識に乗じて、いたずらに軍拡に傾斜していくことは、日本とアジアの平和にとって取り返しのつかない事態をもたらす可能性があります。 今本当に必要なのは、日本国憲法の平和主義の原則に基づき、軍拡ではなく軍縮を進めることであり、緊張緩和と信頼醸成のための平和外交を展開することです。そうすることで持続的で安定的な国際関係を構築しない限り、本当の平和も安全保障も実現しません。軍拡のための「戦略」ではなく、平和のための「構想」こそが求められています。 こうした中、10月29日、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らが「平和構想提言会議」を発足させました。15名のメンバーによるこの会議は、政府による「国家安全保障戦略」に対置する「平和構想」を文書にまとめ、12月中旬に発表する予定です。 ●平和構想提言会議 メンバー 青井未帆(学習院大学教授)※ 秋林こずえ(同志社大学大学院教授) 池尾靖志(立命館大学) 内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授) 岡田充(ジャーナリスト) 川崎哲(ピースボート共同代表)※ 君島東彦(立命館大学教授) 清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授) 佐々木寛(新潟国際情報大学教授) 申惠丰(青山学院大学教授) 杉原浩司(武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表) 谷山博史(日本国際ボランティアセンター(JVC)前代表理事) 中野晃一(上智大学教授) 畠山澄子(ピースボート) 前泊博盛(沖縄国際大学教授) (計15名、敬称略、50音順。11月21日現在) ※印の2名が共同座長。 ●発足の経緯 研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らによる有志の研究会「平和構想研究会」(2021年10月発足、代表・川崎哲ピースボート共同代表)では、今年4月「憲法の原則を逸脱し戦争への危険を高める自民党<安保提言>に抗議する」と題する緊急声明を23名の識者の連名により発表し、各界から600名以上の賛同を得た(https://www.facebook.com/heiwakosoken/posts/5759069647442239)。この取り組みを引き継ぐ形で同研究会が呼びかけて、平和構想提言会議が発足した。10月29日に第1回会議を開催。第2回会議を、11月21日に公開会議の形で行う。12月中旬に「平和構想」提言を発表する予定。 ●問い合わせ先shudantekijieiken@gmail.com (平和構想研究会)

2022/11/24 · Leave a comment