川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2019.7] 核軍拡競争の危機

被団協新聞の7月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核軍拡競争の危機 「核戦争に勝者はいない。ゆえに核戦争を戦ってはならない。」冷戦末期に米ソ首脳はこの認識の下で中距離核戦力(INF)全廃に合意し、長距離の戦略核は互いに削減するというSTARTプロセスを始めた。 冷戦終結から約30年が経った今、こうした核軍縮の土台が崩れようとしている。米国は、ロシアがINF条約に違反しているとして条約の破棄を通告。ロシアもこれに応じ、同条約は8月2日に失効する見通しだ。新STARTも21年に期限を迎える。延長や更新の見通しは立っていない。このままいけば1970年代以来初めて、世界の核二大国が保有核の法的な上限規制に縛られない状態が登場する。核軍拡競争の再来は現実的な危機である。 国際NGOは共同で、米ロのSTART延長早期合意、いかなる国も中距離ミサイルを配備しないとの約束等を提言している。(川崎哲、ピースボート)

2019/07/25 · Leave a comment

核兵器Yes or No!? 参議院選挙にあたって議員ウォッチを参考にしてください

参議院選挙の選挙戦がスタートしました。4月に立ち上げた「議員ウォッチ」をぜひ参考にしていただきたいと思います。 議員ウォッチは、すべての現職の国会議員に、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名(通称「ヒバクシャ国際署名」)への賛同の有無を尋ねています。本日現在、ヒバクシャ国際署名に賛同を表明しているのは全国会議員の13パーセントにとどまっています。不賛同を表明したのは1名のみ。その他の約86パーセントは「未回答」です。議員ウォッチのプロジェクトチームは今年1月の発足以来、さまざまな方法でくり返し議員たちに回答を求めてきましたが、回答がこれだけ少ないのは、議員の関心が低いこと、さらには、回答しなくても国民の関心も高くないし問題ないだろうと議員が高をくくっていられる現状を示していると思います。(2019.6.25 毎日新聞ー 「議員ウォッチ」から見える国会議員の実態 運営者「非常に貧弱」) 議員ウォッチでは、現職以外の参議院選挙の候補者にも自身の立場を表明するよう呼びかけてきました。報道されている全予定候補者に公示前に呼びかけました。その結果、本日までに24名が「賛同」の立場を表明し、「不賛同」を表明した方はいませんでした。現職以外の立候補者は273名ということですので、1割弱です。つまり、現職であれ候補者であれ、核兵器の問題に積極的に関心を表明しているのは、国政に関わろうという方々の1割程度だということになります。これは残念な数字でありますが、まあ冷静に考えると、実際そのくらいかなという気もします。 これをどうやって2割、3割、4割へと増やしていくかが、私たち市民の課題だということになります。 ちなみに議員ウォッチでは、ヒバクシャ国際署名への賛同の有無を聞いています。ヒバクシャ国際署名は、すべての国に核兵器禁止条約に加わりすみやかに核兵器を廃絶せよと求める被爆者の訴えに賛同するというものです。ここには、いくつかのポイントがあります。第一に、被爆国日本の政治家として、広島・長崎の被爆者の訴えにどう向き合うのかということです。第二に、すべての国に核兵器禁止条約に加わり核兵器を廃絶することを求めているわけですから、日本や米国や北朝鮮や中国など、どこか特定の国だけに求めているわけではないということです。この署名に賛同した上で、では日本政府がいつ何をすべきかということについては、さらに具体的な政策論があって然るべきだと思います。第三に、賛同するにせよしないにせよ「その理由」を尋ねていますから、どちらの場合もぜひ「理由」を述べてほしいと思います。核兵器廃絶への効果的な道筋にはさまざまな意見があるでしょう。議員や候補者たちが賛同、不賛同の理由を述べ合うことによって、日本の政策がどうあるべきかという議論を促進したい。議員ウォッチは、そのためにあるのです。 議員ウォッチは、皆さんに使っていただくためのツールです。議員に対して質問や意見のメッセージを送る、電話をかける、ファックスすることもできます。候補者の方でまだ登録していない人がいれば、議員ウォッチに登録するよう声をかけてください。そして「選挙だっていわれても、どんな人が立候補しているのか、どんな政党がどんな政策を出しているのか、よくわからない」という多くの人たちに見ていただきたいと思います。議員ウォッチをぜひ周りに紹介してください。

2019/07/05 · Leave a comment