川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

日本が武器を買うお金で、これだけのことができる

2020年度の日本の防衛費は、5.3兆円である。これは前年度より1.1パーセント増で、防衛費は第二次安倍政権発足後8年連続で増加、6年連続で過去最大を更新している。このうち、自衛隊員の給与など「人件・糧食費」が2.1兆円、「物件費」が3.2兆円である。この「物件費」の中に、戦闘機や武器の購入、艦船の建造、施設整備、研究開発、基地対策経費(いわゆる米軍への「思いやり予算」を含む)、そしてそれらの維持費が含まれる。「物件費」のうち、今年度に新規契約されるものの支出が1.1兆円であり、残りは昨年度以前に契約されたものの支出である。 その1.1兆円――すなわち、日本の防衛費の5分の1――を仮に新型コロナウイルス対策に振り向けたら、何ができるだろうか。 日本で年間1.1兆円あれば、集中治療室のベッドを15,000床整備し、人工呼吸器を2万台そろえ、さらに、看護師7万人と医師1万人の給与をまかなうことができる。 今年度の防衛費を個別項目でみていくと、護衛艦「いずも」を事実上の空母に改修するための費用が31億円、同艦で運用するステルス戦闘機F-35Bを米国から6機購入するための費用793億円が計上されている。合計で824億円。この金額で、全国にPCR検査センターを130カ所以上設置できる。 また、陸上配備のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を米国から導入するために、129億円が計上されている。この金額で、高齢者をケアするヘルパーを4,000人増員することができる。 韓国では4月末に防衛費9,897億ウォン(約850億円)を削減し12.2兆ウォンを新型コロナウイルス対策の支援金として国民に支給する補正予算を可決している。削減された防衛費は、F-35ステルス戦闘機、海上作戦ヘリコプター、イージス艦などの費用である。 韓国のように武器や軍事のための費用を削ってコロナ対策に回すという議論が、日本の国会でも今なされるべきはないか。 川崎哲 (協力:ピースボート) 2020.5.27 算出根拠を含む本稿のPDF版はこちら

2020/05/27 · 2 Comments

希望のバラICAN 核兵器のない世界へ

これは、広島の被爆者・田頭数蔵さんが、2017年「核兵器禁止条約」に貢献しノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に心動かされて作った新種のバラです。広島バラ園から、東京の恵泉女学園大学と多摩市に贈られました。被爆75年、その願いを形に。#YesICAN 参考:ピースボートのウェブサイト(こちら)およびおりづるプロジェクトのブログ(こちら)  

2020/05/20 · Leave a comment

[2020.5] 核兵器vs医療のお金

被団協新聞の5月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核兵器vs医療のお金 新型コロナウイルスによって世界中で医療崩壊が起きている。医療への公的資金を削ってきたのは日本も例外ではない。ICANでは、米英仏が核兵器に使っている資金と医療のニーズと比較した。 フランスは2019年から25年にかけて核軍備に約4.4兆円の予算を充てた。この一年分で10万人分の集中治療室ベッド、1万人分の人工呼吸器、看護師2万人と医師1万人分の給与を賄える。イギリスが核戦力の運用と構築に昨年費やしたのは9,600億円。これはベッド10万台、人工呼吸器3万台、看護師5万人と医師4万人分の給与に相当する。米国は昨年核兵器に約3.9兆円を投入した。これは30万台のベッドと人工呼吸器3.5万台、看護師15万人と医師7.5万人分の給与に当たる。 国民の命を守ることが政府の使命なら、お金の優先順位が見直されねばならない。(川崎哲、ピースボート)

2020/05/12 · Leave a comment