[2022.5] 核使用の条件?
被団協新聞の5月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核使用の条件? 3月、ロシアの報道官が「国家存亡への脅威があれば核兵器を使用する」と発言した。それがロシアの公式の核政策である。国際司法裁判所は1996年の勧告的意見で核兵器の使用・威嚇は「一般的に国際法違反」だが「国家存亡に関わる極限状況では判断できない」とした。核兵器国は、だから国家存亡の危機では核使用は許されると解釈してきた。 だが「国家存亡の危機」など、いかようにも解釈可能だ。たとえば経済制裁で国家存亡の危機とだって言える。 一方米バイデン政権は核態勢見直しで、核の先制不使用の約束はせず、米国や同盟国の死活的利益を守る「極限状況」では核を使用するとしている。これまた何をもって極限状況というかは不明だ。 結局、条件付きで認めてはダメなのだ。核兵器禁止条約のように、いかなる場合でも使用禁止にしないと、本当の安全はない。(川崎哲、ピースボート)
【5/22】侵略戦争と人権(ウクライナ戦争への視座―平和学から考える)
日本平和学会(会長:奥本京子大阪女学院大学教授)では、「ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻を非難し、平和を希求する人々と連帯する声明」を理事会有志で2月28日に発表しています。この趣旨に沿って、ウクライナ戦争への視座を平和学の観点から示そうという企画を、同学会の地区研究会において行うことになりました。私は今年から、関東地区研究会の代表をつとめています。関東地区研究会の企画として、来る5月22日に、下記のような企画を行うこととしました。 企画タイトル:<ウクライナ戦争への視座――平和学から考える>「侵略戦争と人権」 日時:2022年5月22日(日)14:00~15:30 形式:オンライン(YouTube配信)一般公開、無料、申込不要アーカイブ▼ 主催:日本平和学会関東地区研究会 企画趣旨:ロシアによるウクライナへの侵略戦争において数々の戦争犯罪や人権蹂躙が行われている。これらを止めていくためには、侵略戦争が進められていく構造を分析しつつ、国際人道・人権法を生かしていく必要がある。今回のイベントでは、日本がかつてアジアで行った侵略戦争も教訓として振り返りつつ、戦争を止め人権を守る道を考える。 報告:申惠丰(しん・へぼん 青山学院大学教授) 人権と平和 ウクライナ危機にみる国内法と国際法の接点笠原十九司(かさはら・とくし 都留文科大学名誉教授) 日本の中国侵略とその教訓内海愛子(うつみ・あいこ 早稲田大学平和学研究所招聘研究員) 裁かれた日本の捕虜政策 ジュネーブ条約の「準用」をめぐって コメント:中束友幸(なかつか・ともゆき 東京大学大学院総合文化研究科博士課程) 司会:川崎哲(かわさき・あきら ピースボート共同代表) 問い合わせ:kawasaki(a)peaceboat.gr.jp (川崎哲) 備考:●終了後は、日本平和学会のホームページにリンクを張り、公開を続けます。●日本平和学会 関東地区研究会 https://www.psaj.org/chiku-kanto [付記]なお、6月4日(土)14:00~には、日本平和学会関西地区研究会主催で<ウクライナ戦争への視座――平和学から考える>「私たちが見ていないもの、そしてモヤモヤ感」と題するイベントが同じくYouTube配信で行われます。語り手:安斎育郎(立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長)ロニー・アレキサンダー(神戸大学名誉教授・ポーポキ・ピース・プロジェクト代表)詳細:https://www.psaj.org/chiku-kansai/
核兵器禁止条約という現実的選択――日本は締約国会議に参加せよ(『世界』6月号)
5月8日発売の岩波書店『世界』6月号に「核兵器禁止条約という現実的選択――日本は締約国会議に参加せよ」と題する文章を寄せました。現在のウクライナ情勢と核兵器の脅威、その中での核兵器禁止条約の意義、6月に開催される第1回締約国会議で議論されること、そしてNGOの取り組みについて概説し、この会議に日本が参加すべきことを論じました。今号は核軍縮特集になっており、中満泉国連事務次長、共同通信の太田昌克編集委員、長崎大学の吉田文彦核兵器廃絶研究センター長らの論考も載っています。こちらからどうぞ。
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