川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2018.10] 兵器の被害者

被団協新聞の10月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 兵器の被害者 ピースボートのツアーでカンボジア・シエムリアップの地雷原を訪ねた。約30年続いた戦争により多数の地雷、クラスター弾、不発弾が残され、和平協定から25年以上が経つ今も撤去作業は続いている。地元民が金属探知機を持ち確認の杭を打ちながら歩き、反応があれば手作業で掘り出すという地道な作業だ。除去が完了するにはまだ10年近くを要する。 現地の平和博物館には戦争で使われた膨大な兵器が展示されていて、気が滅入る。対ベトナム攻撃の延長で米軍がカンボジアに投下したクラスター弾の総計は2千7百万に上るという。カンボジアの人口の実に倍である。 対人地雷禁止条約には被害者援助の義務が定められ、同様の規定は核兵器禁止条約にも作られた。だが被害者が現に直面する課題は途方もないもので、被害者援助といった法律用語が軽々しく聞こえてしまうほどだ。(川崎哲、ピースボート)

2018/10/22 · Leave a comment

核兵器禁止条約への参加を促す国連決議案に日本は反対するのか

現在ニューヨークで開かれている国連総会第一委員会に、オーストリアなどが中心となり、核兵器禁止条約の署名・批准を促進するための決議案が提出されました(こちら)。きわめてシンプルな内容で、核兵器禁止条約の採択を歓迎し、これまでに69カ国の署名と19カ国の批准が得られたことを歓迎し、未署名・未批准国に対して早期に署名・批准することを呼びかける内容です。 オーストリアを中心に起草されたものですが、以下の53カ国が共同提案国として名を連ねています。 Algeria, Angola, Antigua & Barbuda, Austria, Benin, Bolivia, Brazil, Chile, Costa Rica, Cuba, Dominican Republic, DRC (Congo), Ecuador, El Salvador, eSwatini, Ghana, Guatemala, Guyana, Honduras, Indonesia, Ireland, Jamaica, … Continue reading

2018/10/19 · 1 Comment

Denis Mukwege, Nadia Murad両氏のノーベル平和賞受賞を歓迎します

2018年のノーベル平和賞が、コンゴの医師で社会活動家のDenis Mukwege 氏と、イラクでIS(イスラム国)による性暴力の被害にあったNadia Murad氏に贈られました。両氏の受賞を心より祝福します。 ノルウェー・ノーベル委員会は今回、戦時下における性暴力に焦点を当てました。昨年は、核兵器の非人道性に焦点を当て、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に賞をくださいました。同委員会がこのように戦争の中での暴力とその被害に着目し人道と人権に焦点を当てている姿勢は、素晴らしものだと思います。 Mukwege、Murad両氏は、ノーベル平和賞によって、活動を飛躍させることができるでしょう。昨年10月からの一年間は、ICANにとってそのような飛躍の年となりました。戦時下の性暴力をめぐっては、世界5000団体からなる「紛争におけるレイプと性暴力を止める国際キャンペーン(The International Campaign to Stop Rape & Gender Violence in Conflict)」があり、ピースボートもそのメンバーです。こうしたつながりを生かして、両氏とも連携を図っていきたいと思います。 ノーベル委員会は「戦争の兵器として性暴力を利用することを終わらせる」と述べました。これは日本にとっても人ごとではありません。かつて日本がアジア諸国で展開した「慰安婦」制度は、まさに戦争に組み込まれた組織的な性暴力と人権侵害の制度でした。その被害者らへの謝罪と補償、名誉と信頼の回復はいまだ達成されていません。第二次世界大戦中の問題と今日の問題は連続しています。これを機に、過去、現在そして未来に向けて、戦争における性暴力の利用を終わらせるための議論と行動が、日本でも活発化することを期待します。 2018.10.5 川崎哲 (ピースボート共同代表、ICAN国際運営委員) (ICANの公式ステートメントはこちら)  

2018/10/05 · Leave a comment