2018年のノーベル平和賞が、コンゴの医師で社会活動家のDenis Mukwege 氏と、イラクでIS(イスラム国)による性暴力の被害にあったNadia Murad氏に贈られました。両氏の受賞を心より祝福します。
ノルウェー・ノーベル委員会は今回、戦時下における性暴力に焦点を当てました。昨年は、核兵器の非人道性に焦点を当て、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に賞をくださいました。同委員会がこのように戦争の中での暴力とその被害に着目し人道と人権に焦点を当てている姿勢は、素晴らしものだと思います。
Mukwege、Murad両氏は、ノーベル平和賞によって、活動を飛躍させることができるでしょう。昨年10月からの一年間は、ICANにとってそのような飛躍の年となりました。戦時下の性暴力をめぐっては、世界5000団体からなる「紛争におけるレイプと性暴力を止める国際キャンペーン(The International Campaign to Stop Rape & Gender Violence in Conflict)」があり、ピースボートもそのメンバーです。こうしたつながりを生かして、両氏とも連携を図っていきたいと思います。
ノーベル委員会は「戦争の兵器として性暴力を利用することを終わらせる」と述べました。これは日本にとっても人ごとではありません。かつて日本がアジア諸国で展開した「慰安婦」制度は、まさに戦争に組み込まれた組織的な性暴力と人権侵害の制度でした。その被害者らへの謝罪と補償、名誉と信頼の回復はいまだ達成されていません。第二次世界大戦中の問題と今日の問題は連続しています。これを機に、過去、現在そして未来に向けて、戦争における性暴力の利用を終わらせるための議論と行動が、日本でも活発化することを期待します。
2018.10.5 川崎哲
(ピースボート共同代表、ICAN国際運営委員)
(ICANの公式ステートメントはこちら)
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