新刊『僕の仕事は、世界を平和にすること。』が出ました
このたび、旬報社から新しい本を出しました。書名は『僕の仕事は、世界を平和にすること。』。主に10代向けに書きました。中身を自分で説明するのはちょっと恥ずかしいので(自分のことについてたくさん書いている本です)、旬報社さんのホームページにある宣伝文句と本書の目次を以下に貼り付けます。第3章にある「世界を平和にするために 僕が大事だと考える13のこと」は、私なりに自らの活動と人生を振り返って、NGOや平和活動の基本原則13箇条をまとめたものです。「おわりに」では、現在進行中のウクライナ戦争や、今日の世界における軍縮のテーマについての向き合い方を書きました。税込み1,760円です。 川崎哲『僕の仕事は、世界を平和にすること。』旬報社 外交官じゃなくても、国連職員じゃなくても、世界を平和にすることはできる! 「職業:平和活動家」2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の中心メンバーである著者が、平和づくりに体当たりで挑んできた半生を振り返り、一市民として「世界の平和」と向き合うためのヒントを届けます。 目次 はじめに 世界を平和にする仕事 第1章 いま僕がやっていること ピースボートとICANピースボート地球は丸いピースボートのしくみピースボート地球大学世界のことを学ぶステップ国連への提言活動武力紛争の予防日本国憲法九条の意味広島・長崎の被爆者と共にICANと核兵器禁止条約被爆者や市民の役割ノーベル平和賞受賞式国際活動は楽しいけれど、楽ではない原発をどう考えるかNGOとNPO 第2章 僕が「平和」について考えるようになったわけ父と母のこと広島に連れて行っていくれた父中学・高校時代二次方程式の解の公式中国語を学んで中国へ中東・コーカサスへの旅大学で学んだことビルマ民主化運動への支援湾岸戦争が大きなきっかけ外国人労働者とホームレスの支援障害者介助の仕事挫折、NGO、結婚 第3章 世界を平和にするために 僕が大事だと考える13のこと1 まずは日本を飛び出てみる2 国を疑え3 自分も疑え4 自分の意見を表現する5 SNSやメディアとどう付き合うか6 「よい戦争」なんてない7 仲間を増やし、横につながる8 英語はできた方がいい?9 お金は後からついてくる10 現場と政策のあいだを行き来する11 大きな視点をもち、中くらいの目標を立てる12 反対の立場の人と対話する13 活動することと自分の幸せ おわりに 戦争をなくすために
[2023.5] 核兵器への援助
被団協新聞の5月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核兵器への援助 ロシア国防省は4月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い成功したと発表した。新型ミサイルの開発に向けたものだといい、米政府には事前通告をしたとしている。 ミサイルは南部の試験場から発射され、隣国カザフスタンの試験場に置かれた標的に命中したという。カザフスタンの試験場は、これまでもロシアの実験に使われてきた。 カザフスタンは核兵器禁止条約の締約国である。同条約は第1条で、核兵器の開発、保有、使用を禁止し、それらの行為をいかなる形であれ援助、奨励、勧誘することを禁止している(e項)。ICBMは核兵器の運搬手段であり、その実験に協力することは核兵器開発の援助にあたると考えるべきだろう。カザフスタン政府は締約国としてまずはしっかりと説明し、今後ミサイル実験に協力しないと表明すべきだ。(川崎哲、ピースボート)
NHK「日曜討論」ご視聴ありがとうございました
5月14日にNHK・日曜討論「G7広島サミット “核なき世界”への道は」に出演しました。ご視聴くださった皆さまありがとうございました。5月21日(日)午前10時まで「見逃し配信」での視聴が可能です。以下のリンクから(NHK+への登録が必要)。https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2023051421424
G7とヒロシマ サミットは核の廃絶を語れ
岩波書店『世界』6月号に「G7とヒロシマ サミットは核の廃絶を語れ」と題する文章を寄せました。ロシアによるウクライナ侵略戦争が続き、岸田政権下で日本の大軍拡が進められている中で、G7という核保有国と核依存国の首脳らが広島に集まります。これに対する市民社会・NGOによる提言を紹介し、G7首脳が被爆地広島から発するべきメッセージと、発してはならないメッセージについて、論じました。 岩波書店『世界』2023年6月号 > https://www.iwanami.co.jp/book/b626485.html
[2023.4] G7広島サミットへ
被団協新聞の4月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 G7広島サミットへ 5月19日に始まるG7広島サミットは、被爆地で開催される初の主要国首脳会合となる。核廃絶に向けてサミットがなすべき事項を端的に3つ挙げたい。 第一に、首脳らは被爆者と会い証言を聞き、原爆資料館をしっかりと見学すべきである。 第二に、首脳宣言は、核兵器のあらゆる使用がもたらす壊滅的な非人道的結末への憂慮を表明すべきである。これは過去のNPT再検討会議で合意されている表現である。核保有3カ国と核傘下4カ国の首脳が再表明することの意義は大きい。 第三に首脳らは「核兵器のいかなる使用・威嚇も許されない」ことを明示的に表明すべきである。昨年11月のG20バリ宣言はこれを表明しているから、G7にもできるはずだ。ロシアの核を非難するのは当然だが、あらゆる核の使用・威嚇が許されないと確認することこそ、その廃絶への第一歩となる。(川崎哲、ピースボート)
[2023.3] 敵基地攻撃
被団協新聞の3月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 敵基地攻撃 政府は昨年末の国家安全保障戦略で「反撃能力」と称する敵基地攻撃能力の保有を決定した。そして長射程ミサイルの購入・配備計画を進めている。 政府は従来、ミサイルの脅威には迎撃網を強化するとしてきた。しかし今回「ミサイル防衛網だけで完全に対応することは難し」いとして「有効な反撃を加える能力」の保有を決めたというのである。 実際に相手からミサイル攻撃があり日本が反撃すれば、さらに相手は反撃してくるだろう。これを迎撃しきれないことは政府が認めているとおりであり、ミサイル撃ち合いの戦争になるのである。 政府は「抑止力の強化」のためだというが、実際にしていることは、抑止が破れて戦争になった場合の戦闘能力の整備だ。それをみた相手も当然、戦闘態勢を強化するだろう。 このような軍拡競争は止め、軍縮外交こそ進めるべきだ。(川崎哲、ピースボート)
軍拡ではなく、戦争をさせないための外交を
2月14日付の朝日新聞オピニオン面で「『力の時代』の道は」というテーマの「交論」に、私のインタビューが掲載されました。私は、敵基地攻撃能力の保有を含む安全保障3文書を批判しました。これに対して、元外務事務次官の佐々江賢一郎日本国際問題研究所理事長が、「力で平和担保」が「世界構造の底流」であるとの主張をされています。 朝日新聞 2023.2.14(交論)「力の時代」の道は 佐々江賢一郎さん、川崎哲さんhttps://digital.asahi.com/articles/DA3S15554854.html 「敵基地攻撃はミサイルの撃ち合いに」 川崎哲さんが訴える平和構想https://digital.asahi.com/articles/ASR2F4SR5R29UPQJ005.html 朝日新聞社の許可を得て、私のインタビュー記事を掲載します。承諾番号23-0493朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。
[2023.2] 学者の利益相反
被団協新聞の2月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 学者の利益相反 昨年末、パリの2人の研究者が「核兵器政策における調査資金と利益相反」と題する論文を発表した。外交政策シンクタンクの多くが、核兵器関連企業や核抑止戦略を掲げる政府から資金を得ており、こうした利害関係者からの資金が知的自由に影響を及ぼしているという内容だ。世界45のシンクタンクへのインタビューと調査の結果として明らかにした。 その影響とは検閲、またより多くの場合は自主規制としてみられる。とくに「議題の設定」に強い影響をもつ。ある防衛業者は、資金提供によって自社に不利となる調査結果を出さなくなることを期待していると証言した。ある政府関係者は「論争を起こしたくないなら批判者に資金提供をするのがよい方法だ」と述べた。核兵器が世界平和に必要だという学者がいたら、その人がどこからお金をもらっているのかを検証する必要があろう。(川崎哲、ピースボート)
公開セミナー「戦争ではなく平和の準備を」始めました
昨年12月、「国家安全保障戦略」など安保3文書が閣議決定されました。それは、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の大幅増額、さらには武器輸出の全面解禁へと向かう内容を含んでおり、日本の防衛・安全保障政策を根本的に転換させるものです。日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、軍拡競争を助長し、戦争のリスクを高めるきわめて危険なものといわなければなりません。こうした決定が、十分な国会審議も経ないまま強行されてしました。政府・与党が勝手に憲法を上書きしようとしている状況を、このまま受け入れることはできません。 この閣議決定に先立ち、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らによる平和構想提言会議は「戦争ではなく平和の準備を」と題する提言を発表しました。この提言は、軍拡ではなく軍縮と平和外交こそが必要であり、それは可能であると説いています。同会議の事務局を担った平和構想研究会は、この一連の問題を扱う公開セミナーをオンラインで開催していくことにしました。 第1回は1月26日に、平和構想提言会議の共同座長をつとめた学習院大学の青井未帆教授を招いて「憲法の視点から安保3文書を読み解く」として開催しました。そのアーカイブは以下のリンクでご覧になれます。今後とも是非平和構想研究会の活動にご注目ください。 なお、平和構想提言会議および平和構想研究会の活動は、いずれも、皆さまからのご寄付に支えられています。皆さまからのご寄付をどうぞよろしくお願いします。
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