ブックレット『非核三原則 いま何が問われているのか』
このたび、核兵器をなくす日本キャンペーン・コーディネーターの浅野英男さんと共著で、ブックレット『非核三原則 いま何が問われているのか』を地平社から刊行することとなりました(5月1日刊行、予約受付中)。昨年10月に発足した高市政権のもと、「非核三原則の見直し」が与党内で議論される見通しとの報道が出ていることから、これに対して非核三原則の内容、意義、成立の経緯をしっかりと踏まえた議論を行うことが大事だと考え、このブックレットを作りました。 このブックレットを、核兵器をなくす日本キャンペーンの活動と重ねて、普及していきたいと思います。普及のためのまとめ買いも歓迎です。予約受付中。5月15日(金)には出版記念イベントを予定しています。詳しくは、核兵器をなくす日本キャンペーンのウェブサイトをご覧下さい。 『非核三原則 いま何が問われているのか』 【基本情報】出版社:地平社書籍名:ブックレット『非核三原則 いま何が問われているのか』著者名:川崎哲・浅野英男ISBN:978-4-911256-49-7 価格:定価1,000円+税発売予定日:2026年5月1日 【目次】はじめに――今、なぜ「核」を問うのか第1章 非核三原則とは何か第2章 非核三原則成立の歴史――日米安保との葛藤第3章 激動する世界と非核三原則第4章 安保強化で揺らぐ「核のタブー」第5章 非核三原則はどこへ向かうのか――四つのシナリオ 以下、地平社のウェブサイトから、紹介文です。 揺らぐ国是――日本の選択を問う 非核三原則とはなにか。その成立から今日までの経過を解説し、その意義と可能性を深堀りする初の入門書。核保有論さえ語られる今、進むべき道筋を市民社会の目線から捉えなおす。 紹介 核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則は、日本の「国是」とされてきた。それは、広島・長崎への原爆投下を経験した唯一の戦争被爆国である日本が核兵器は拒否するという基本姿勢を表明してきたものといえる。それは長く国民的な支持を集め、国際的にも評価されてきた。また、非核三原則は、専守防衛に徹することや軍事大国にならないことと並んで、日本国の安全保障政策における基本方針として定められている。これらは、過去の戦争の過ちをくり返さないと決意した平和憲法の精神を形にしたものであるということができる。 一方で、非核三原則は、日本国憲法に明記されているわけでもなければ、それ自体が法律でもない。それゆえ、政府が方針を転換し変更することも可能だ。実際、二〇二五年一〇月に高市早苗氏が首相に就任して以降、与党内で非核三原則の「見直し」が行なわれる見込みとの報道が出てきている。そのような状況を踏まえて、本書は、非核三原則の成立の経緯やその意義、問題点、さらに今後の課題を示すものである。 ――本書「はじめに」より
[2026.3] START後の軍縮
被団協新聞の3月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 START後の軍縮 2月5日、米ロの戦略兵器削減条約(新START)が失効した。これにより両国間には核軍縮条約がなくなった。 新STARTは、配備する戦略核やその運搬手段の上限を定めていた。ロシアは、今後も「米国が制限を超えない限り」条約の制限を守るとしている。米国は、今後は中国も巻き込んだ核軍縮でないと意味がないと主張している。米ロの核は各5000発以上で、両国で世界の9割近くを占める。配備戦略核は、新STARTの上限1550発を少し切ったところだ。一方の中国は、保有総数が約600で、近年増加が顕著だ。とはいえ米ロ両国とは一桁違う。中国は、米ロがさらに削減しない限り核軍縮交渉には応じないという立場だ。まずは米ロがさらに核軍縮を進めつつ、中国との軍縮対話の糸口を見つける必要がある。 NPTは、核兵器国の軍縮義務を定めた唯一の多国間条約である。4月の再検討会議が重要になる。(川崎哲、ピースボート)
[2026.2] 「法の支配」を
被団協新聞の2月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 「法の支配」を 米軍がベネズエラを軍事攻撃しマドゥーロ大統領を拘束して連行した。今後は米国が同国を運営し石油も管理するとトランプ大統領は公言している。国連憲章で定められた諸国民の自決権、主権平等、紛争の平和的解決、武力の使用・威嚇の禁止といった諸原則に違反する、帝国主義的侵略といわざるをえない。 マドゥーロ政権は独裁や人権侵害が批判されてきた。だからといって他国が武力で政権を転覆してよいはずがない。そんなことが認められれば世界は無秩序となってしまう。 ピースボートはこれまでベネズエラを何度も訪問してきた。今回暫定大統領に就任したロドリゲス氏は、外相だった15年に被爆者一行を温かく歓迎してくれている。核廃絶への国家的関心は高い。 核武装した軍事大国による他国への侵略がくり返されている。これを止め、「法の支配」を回復し強化しなければならない。(川崎哲、ピースボート)
核兵器をなくす日本キャンペーン、事務局スタッフ募集中
一般社団法人核兵器をなくす日本キャンペーンでは、2024年の発足以来、核兵器禁止条約への日本の参加を求めるキャンペーンを進めています。このキャンペーンをさらに拡大させるために、このたび、組織拡大を主たる仕事とする事務局スタッフ(パートタイム)を公募します。詳細は以下の通りです。どうぞふるってご応募ください。また、周りにご関心のありそうな方がいらっしゃれば、是非ともお伝えください。
[2026.1] 非人道性を基礎に
被団協新聞の1月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 非人道性を基礎に 2026年をどのような年にすべきか。昨年は、被団協ノーベル平和賞と被爆80年で、核の非人道性を改めて語り伝える一年だった。今年はそれを、法と政治に反映させる年にしたい。NPT(核不拡散条約)と核兵器禁止条約の再検討会議が、それぞれ4月と11月に開かれるからである。 NPT再検討会議では「核兵器がもたらす壊滅的な非人道的被害」の再確認を何としても各国に求めたい。そのうえで核兵器国は核戦争をしないと誓約し、核軍拡ではなく核廃絶への約束を誠実に履行することを表明すべきである。核実験再開など言語道断だ。 核禁条約においては、発効後5年で広がった支持を力にして、非人道兵器たる核兵器をあらゆる防衛・安保政策から排除する流れを作りたい。それこそが、厳しい国際情勢の中における真の安全と生存への道だということを、常識として確立していかねばならない。(川崎哲、ピースボート)
[2025.12] 核実験の再開?
被団協新聞の12月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核実験の再開? 10月末、トランプ米大統領が「核実験の実施」を国防総省に指示したとSNSで発表した。真意は定かでないが、核爆発実験を再開するという意味なら実に33年ぶりのこととなる。プーチン露大統領は、米国が核実験を行ったらすぐに対抗実験を行えるよう準備を命じた。中国や北朝鮮も続くだろう。 米エネルギー長官は核爆発実験は行わないとし、従来からの未臨界実験の継続だと示唆した。その一方で国連総会で米国は、これまで賛成していた包括的核実験禁止条約(CTBT)促進決議にただ1国反対した。トランプ政権は核実験容認へ舵を切ったのだ。90年代以降、核実験禁止の規範は広がり、今世紀に核爆発実験を行ったのは北朝鮮だけだ。この規範を米国が崩すなら、世界は新たな核開発競争に突入する。日本は「いかなる国の核実験も認めない」との明確なメッセージを発信すべきだ。(川崎哲、ピースボート)
[2025.11] 日本が原潜を導入?
被団協新聞の11月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 日本が原潜を導入? 9月、防衛省の有識者会議は「防衛力の抜本的強化」に関する報告書を提出し、原子力潜水艦の導入を念頭に「次世代の動力の活用の検討も含めた研究・技術開発」を提言した。長射程ミサイルを発射できるVLS(垂直発射装置)を搭載し「長距離・長期間の移動や潜航」ができる潜水艦が必要だというのだ。 敵基地攻撃能力の増強を企図したものといえ、憲法9条の下での専守防衛をさらに大きく逸脱するものだ。原子力を動力とする潜水艦は、それ自体は核兵器ではないが、ウラン燃料を軍事的に利用するわけだから、原子力は平和目的に限ると定めた原子力基本法に反する。国際的な核不拡散体制への悪影響も大きい。環境汚染や事故の危険性の問題もある。 この報告書はそれ以外にも武器輸出や軍事費のさらなる拡大を提言している。新政権がこのような危険な道に進む前に、声を上げて止める必要がある。(川崎哲、ピースボート)
[2025.10] 核戦争の準備を許すな
被団協新聞の10月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核戦争の準備を許すな 日米両政府が核兵器の使用・威嚇を想定した演習を行っていると、7月に共同通信が報じた。両政府は「拡大抑止協議」の中で米軍による核使用シナリオを議論し、昨年12月にはその手続きを定めた指針を策定したという。今年2月の机上演習では、「台湾有事」で中国が核の使用を示唆したという設定で、日本の自衛隊が米軍に核の威嚇で対抗することを再三求めたという。米軍は当初慎重だったが、最終的に同意した。 さらにロイター通信は8月、米元当局者の話として、日本が敵基地攻撃能力として取得・配備しているミサイルが「米国の核戦力を支援する」よう議論していると報じた。22年の「安保三文書」以来加速する自衛隊の実戦準備において、米国による核使用とその支援が具体的に検討されているのだ。きわめて危険な動きであり、国会で徹底追及すべきだ。核戦争の準備を勝手に進めるな。(川崎哲、ピースボート)
[2025.9] 被爆者展を案内して
被団協新聞の9月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 被爆者展を案内して ピースボートは4月から、日本被団協のノーベル平和賞特別展を船内に設置し航海している。ノーベル平和センターが制作したこの展示は、広島の資料館所蔵の写真や被爆者の絵、今を生きる被爆者の肖像、今日の核の脅威や核廃絶への取り組みを紹介している。 私は約2カ月間乗船し、寄港する各国で訪問者らにこの展示を案内した。私が対応した計数百人の反応として印象に残っているのは2つだ。一つは多くの見学者が「キノコ雲の写真は見たことがあるが、その下にいた人たちのことをこれまで想像したことはなかった」と正直に語ってくれたことだ。もう一つは、案内の最後に私が「なぜ今被団協が受賞したのか。それは核がまた使われてしまうかもしれない世界情勢だからではないか」と問いかけると、皆が一様に深くうなずいていたことだ。この危機感を、さらなる行動につなげたい。(川崎哲、ピースボート)
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