川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2019.6] 核軍縮の「環境作り」?

被団協新聞の6月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核軍縮の「環境作り」? NPT準備委で米国は核軍縮の「環境作り(CEND)」に取り組むグループを立ち上げると発表した。核兵器国が核兵器禁止条約を頑なに拒否するなか、核軍縮を少なくとも議論する姿勢を示したことは評価できる。 だが懸念も多い。まず「環境が整わなければ軍縮できない」という言い訳に使われないか。核軍縮は核兵器国がNPTの下で負っている、環境いかんに拘わらず履行すべき法的義務だ。米政府主催のサイドイベントでは、これまでの義務や約束を反故にするようなものであってはならないとの注文が相次いだ。また核兵器国がNPTの外にグループを作ることがNPT形骸化につながるおそれもある。 元来、核兵器の非人道性の認識を広め核兵器禁止条約の締約国を増やすことは、まさに核軍縮を促す環境作りになる。グループ参加国にはその点も忘れないでもらいたい。(川崎哲、ピースボート)

2019/06/25 · Leave a comment

ピースボート平和と音楽の船旅~明子さんの被爆ピアノとともに

今夏ピースボートは、8月6日と9日の原爆の日にそれぞれ広島、長崎に寄港する船旅において、一般社団法人HOPEプロジェクトとの協力のもとで、「明子さんの被爆ピアノ」と「パルチコフさんの被爆バイオリン」を広島から船に乗せ、各地で演奏会を行います。 http://peaceboat.org/28324.html ピースボートは2008年、広島・長崎の被爆者のみなさんの声を世界各地に届ける活動を始めました。しかし、10年以上が経ち、自らの体験を語りながら旅のできる被爆者の方は本当に少なくなってしまいました。「被爆者なき時代」が、もう目前に迫っています。一方、原爆投下後74年の月日は、その被害を知らない世代の関心や理解を薄めています。そんなとき、私たちは被爆遺品である「明子さんの被爆ピアノ」と「パルチコフさんの被爆バイオリン」に出会いました。 「明子さんの被爆ピアノ」の持ち主だった河本明子さん(当時19歳)は8月6日、建物疎開の作業中に被爆しました。家までたどりつくも、翌日「急性放射能障害」で亡くなり、ご両親によって荼毘に付されました。彼女が残した21冊の日記には、日々ピアノを練習したことやショパンが大好きだったことなどが事細かに書かれ、明子さんのピアノはいまも、そのメッセージを運ぶように優しい音色を奏でています。「パルチコフさんの被爆バイオリン」は、ロシア革命を逃れて来日した広島女学院の音楽教師、セルゲイ・パルチコフ先生の持ち物でした。 被爆し、修復され、また再び優しい音色を奏でる2つの楽器の力を借り、あの日キノコ雲の下で何が起こったのかを一緒に想像し、核兵器のおそろしさを感じ、平和の大切さや命の尊さを考える機会をつくりたいと考えています。本プロジェクトには、広島市からの後援もいただきました。 ◆本プロジェクトについて、6月20日に広島で、同24日に長崎で記者会見を行います。詳細はお問い合わせ下さい。(03-3363-7561 ピースボート 担当:渡辺里香、松村真澄) ◆クラウドファンディングでのご支援を呼びかけています。(6月末まで!あと約20万円です。よろしくお願いします!) 今年8月のクルーズには、最初の寄港地・広島から最終下船地の神戸(18日間)まで、各地で演奏会を行います。航海中の演奏家の移動費、調律費用、ドキュメント映像制作など、この企画を有意義なものとするため、みなさんのご支援を、心よりお待ち申し上げます。 こちらから:https://camp-fire.jp/projects/view/143571 ◆口座振り込みでのご支援金も歓迎です。 ◇郵便振替◇ 00180-3-177458 加入者名 ピースボート ※通信欄は「被爆ピアノ」とご記入ください ◇ゆうちょ銀行◇ 支店〇一九(ゼロイチキュウ)店 当座0177458 口座名義 ピースボート ※お名前の前に、「ヒバクピアノ」とご入力ください 「平和と音楽の船旅~明子さんの被爆ピアノとともに」 http://peaceboat.org/28324.html    

2019/06/19 · Leave a comment

[2019.5] オランダでの議論

被団協新聞の5月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 オランダでの議論 核兵器禁止条約への加入を表明した国は、米同盟国ではまだない。そんな中でも、オランダは積極的な国内議論を行っている。昨年議会が政府に対し同条約への加入に関する検討を行うよう求め、これに政府が回答した。 それによれば、オランダが同条約に加入するために国内法を何ら変更する必要はない。しかし、NATO加盟国である以上は核抑止政策から脱することはできず、ゆえに同条約には入れないというのだ。条約に入れないのは法的理由ではなく政治的理由からだということになる。したがって、将来政策が変われば加入はありうるともいえる。 オランダはNATO国で唯一禁止条約交渉に参加した国だ。その背景には、市民活動と議会の連携がある。それに比べて日本では国会が静かすぎる。市民が国会を刺激し、同様の議論をさせていかなければならない。(川崎哲、ピースボート)

2019/05/23 · Leave a comment

NPT準備委員会が始まります

2020年核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が、4月29日から2週間かけてニューヨーク国連本部で開かれます。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のキャンペーナー会議なども開かれるため、私は少し前から現地入りして、NPT準備委員会の最初の4日間を傍聴する予定です。 日本からは多くのNGO関係者が参加する予定ですが、ヒバクシャ国際署名連絡会として被爆者を2名派遣し、現地で被爆者証言や訴え、署名への協力要請を行う予定です。 NPT準備委員会の期間中の各種スケジュールや、各国政府の声明、NGOとしての分析などは、NGO「リーチング・クリティカル・ウィル(RCW)」のサイト上で更新されていきます。そこにあるように、準備委員会の中でのNGOの公式発言は5月1日(水)に予定され、ヒバクシャ国際署名としてのサイドイベントは3日(金)の昼休みに行われます(協力:世界宗教者平和会議日本委員会、PEAC Institute)。 NPT準備委員会に先立ち、日本のNGOは外務省との意見交換会を4月23日(火)に開催します。そこで出されるNGOから日本政府への要請や、意見交換の概要については、核兵器廃絶日本NGO連絡会のウェブサイトで報告していきます。同日午後5時からは、同連絡会とヒバクシャ国際署名連絡会の共催で記者会見を渋谷で行い、外務省との意見交換会の様子やニューヨークに派遣される被爆者らによる決意表明などがあります。記者会見の詳細はヒバクシャ国際署名連絡会までお問い合わせ下さい(03-3438-1897 被団協内、info[a]hibakusha-appeal.net ) 日本政府は、2017年に立ち上げた「核軍縮の実質的進展のための賢人会議」から2020年NPT再検討会議に提言を出していくことを中心的な取り組みにしているようです。賢人会議は昨年3月に最初の提言を出したほか、先月京都で第4回会合を行った後「京都アピール」という文書を今年のNPT準備委員会向けに出しています(概要はこちら)。賢人会議の提言がそのまま日本政府の立場になるわけではありませんが、私たちNGOとしては、賢人会議に一歩でも二歩でも前向きな提言を出してもらい、それによって日本政府の政策も牽引していってもらいたいと考え、さまざまな働きかけを行っています。 NPTをめぐる各国の動きについては、広島県が「国際平和拠点ひろしま構想」の一環として行っている毎年の「ひろしまレポート」の最新版が先ごろ公表されましたので、これを参照されるといいと思います(全文はこちら)。核保有国と不詳な非核保有国の昨年の動向が、核軍縮、核不拡散、核セキュリティの観点から詳細に記述され、NPT合意との関係での「評点」もつけられています。私はこのレポート策定の研究委員の一人を務めていて、主に核軍縮の観点からのインプットをさせてもらっています。 NPT準備委員会の期間中の動きについては、英語であれば上記RCWやICANのウェブサイト、関連ツイッター、また、日本語であれば核兵器廃絶日本NGO連絡会のウェブサイトやヒバクシャ国際署名のツイッター(日本語、英語)でフォローしていただきたいと思います。 こうした国際的な動きについて、政府や専門家だけでなく、議員たちにも関心を持ってもらいたいです。なんといっても、国の意思を決定するのは国会であり、それを構成しているのは国会議員ですから。そう考えてこのたび「核兵器 Yes or No!? 議員ウォッチ」を始めました。議員ウォッチのサイトを活用して、核兵器問題についての国会議員らの立場を知り、さらに彼らに問い合わせるなど、アクションを起こしてもらいたいと思います。

2019/04/21 · Leave a comment

核兵器Yes or No!? 「議員ウォッチ」が始まりました

このたび「核兵器Yes or No !? 議員ウォッチ2019」と題して、国会議員らの核兵器に対する立場が一目で分かるスマートホン用のサイトを立ち上げました。 https://giinwatch.jp 2017年に核兵器禁止条約が成立し、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しました。広島・長崎の被爆者たちは、すみやかな核兵器廃絶を求めて「ヒバクシャ国際署名」を展開しています。しかし日本政府は、核兵器禁止条約には署名しないとしています。これに対して全国の地方議会が政府に同条約への参加を求める意見書を採択しています。しかし、国会におけるこの問題の議論は低調といわざるをえません。 「議員ウォッチ2019」プロジェクトは、こうした状況を憂慮し有志が始めた取り組みです。私が代表を務め、神戸大学大学院生で昨年のピースボート「おりづるプロジェクト」でともに活動した安藤真子さん他ボランティアの方々と進めています。 すべての国会議員の姿勢がスマホを通じて一目で分かり、各議員にスマホを使ってすぐにメッセージを送れる機能をもっています。統一地方選が行われ、参議院選挙も予定されている今、有権者が議員たちを監視し働きかける ためのツールとして、活用していただきたいと考えています。 「核兵器Yes or No!? 議員ウォッチ2019」(https://giinwatch.jp)の概要は、 以下の通りです。 ●全国会議員、全都道府県知事について、「ヒバクシャ国際署名」賛同の有無 ●市区町村について、日本政府に核兵器禁止条約を求める意見書等の有無 ●国会議員については、都道府県別や政党別で検索可能 ●賛同者等の全体におけるパーセント表示 ●これらの情報のリアルタイムでの更新 ●国会議員と知事に対しそのままメッセージ、ツイート、メール、電話できる ●参議院選挙の候補者は、自らの立場を入力し公表させることができる ================= なお、この発表会見を、本日15時より下記の通り行います。 日時 2019年4月19日(金)15時~ 場所 参議院議員会館102号室 (通行証をお持ちでない方には、14:45~一階ロビーで通行証を配布します) 発言者 川崎哲 議員ウォッチ2019プロジェクト代表者 … Continue reading

2019/04/19 · Leave a comment

[2019.4] 米朝とベトナム

被団協新聞の4月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 米朝とベトナム 米朝会談に合わせてハノイを訪れた。朝鮮半島非核化へのICANの提言を関係政府やメディアに伝えるためだ。現地では両国旗が街中に並び国を挙げて会談を歓迎していた。 社会主義国ベトナムは北朝鮮と長い友好関係を持つ。昨年のシンガポール同様、米朝ともに良好な関係で治安もよいことが開催地に選ばれた理由だろう。 現地市民団体のリーダーが「ベトナムには朝鮮の人たちに伝えられる経験がある」と誇らしく語っていたのが印象的だ。50年代の朝鮮戦争も60~70年代のベトナム戦争も、米ソ対立を背景に国が分断されての戦争だった。今日のベトナムは、かつての敵国と関係を密にし経済発展に邁進している。この会談の誘致じたい、そうした戦略の一環だ。二回にわたる会談で、えられた非核化の成果は限定的だが、東南アジアの独自外交力は世界に強く示された。(川崎哲、ピースボート)    

2019/04/18 · Leave a comment

日本軍縮学会10周年記念論文集に「核兵器禁止条約の意義と日本の課題」を寄せました

日本軍縮学会設立10周年記念の論文集『軍縮・不拡散の諸相』がこのたび信山社から刊行されました。私は「核兵器禁止条約 の意義と日本の課題」と題する論文を寄せています。この論文の中では、核兵器禁止条約と核抑止力依存の関係や、同条約の義務を日本が履行する可能性について論じています。この条約の意義を積極的に捉えた上で、日本が当面とることができる政策について具体的に論じました。政策立案者の方々に是非お読みいただきたいと思います。 とはいえこの本はとても高いので、研究予算などない限り、一般の人が気軽に買えるようなものではありません。各研究機関や図書館等において入荷していただき、多くの方が閲覧できるものになればと思います。 本の詳細、注文はこちらのリンクからどうぞ。

2019/03/28 · Leave a comment

第100回ピースボートが帰港。ブラジルの被爆者・渡辺淳子さんとイベントやります

昨年12月に出航した第100回ピースボートに乗って、ブラジルの被爆者・渡辺淳子さんが4月1日に神戸に到着します。渡辺さんと、おりづるユース特使の森山景さんと一緒に、4月3日に広島で、5日に東京でイベントを行います。1日に神戸で行う記者会見の案内を合わせて、以下のような記者リリースを各社に送っています。ご関心のある方は以下の連絡先にご連絡の上、どうぞお越し下さい。 ———— 報道・メディア関係各位 在ブラジル被爆者の渡辺淳子さんがピースボートに乗って来日し(4月1日に神戸に帰港)、広島(4月3日)と東京(4月5日)で証言会を行います。 2歳のときに広島で黒い雨を浴びて被爆をした渡辺淳子さんは、25歳のときにブラジルに移住しました。そして、38歳のときに広島へ里帰りをした際、自分が被爆者であることを初めて親に聞かされました。渡辺さんは今日「ブラジル被爆者平和協会」の一員として、記憶のない被爆者として後世につなげるメッセージのあり方を探っています。渡辺さんら在ブラジル被爆者の活動の様子は、映画「ブラジルに生きるヒバクシャ」(2012年)にまとめられています。 渡辺さんは、第100回ピースボート(昨年12月日本発、地球一周96日間)に先月ブラジルから乗船し、寄港する南米や太平洋諸国で被爆者としての訴えや核兵器禁止条約の批准要請を、おりづるユース特使の森山景さんと共に行っています。 下記の通り、ピースボート帰港会見ならびに渡辺さんのお話と映画上映のイベントを行いますので、お知らせします。 ■4月1日神戸 帰港会見 日時:4月1日(月) 16:00~ 場所:神戸ポートターミナル3F 兵庫県神戸市中央区新港町4-5 記者会見内容: 第100回ピースボートでの活動、成果。日本での活動予定など。 発言者: 渡辺淳子(被爆者) 森山景(おりづるユース特使) 川崎哲(ピースボート共同代表、ICAN国際運営委員) ※当日の天候等により時刻の変更が発生する可能性があります。参加希望のメディアの方はなるべく前日までにご一報いただけますようお願いします(連絡先は末尾)。 ■4月3日広島 イベント「ブラジルに生きるヒバクシャ 在ブラジル被爆者の渡辺淳子さんを迎えて」 日時:4月3日(水)18:30~ 場所:広島市 合人社ウェンディひと・まちプラザ 北棟6階マルチメディアスタジオ イベント内容: 映画上映 「ブラジルに生きるヒバクシャ」 (ロベルト・フェルナンデス監督/日本公開版編集:有原誠治/78分) はなし 渡辺淳子(被爆者) 森山景(おりづるユース特使) 川崎哲(ピースボート共同代表、ICAN国際運営委員) 参加費:無料 … Continue reading

2019/03/27 · Leave a comment

[2019.3] 核軍縮はどこへ行く?

被団協新聞の3月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核軍縮はどこへ行く? 米国がINF(中距離核戦力)条約離脱を宣言し、同条約は8月に失効する見通しだ。米国の動機はロシアの条約違反や中国の核戦力だと言われる。だが自ら条約を破棄したことで、もはやロシアの違反を主張できなくなった。中国を巻き込んだ新条約をとの声もあるが、中国への誘因はなく実現見通しはない。 冷戦後の米ロ核軍縮の二本柱は、戦略核を減らすSTARTと、中距離核全廃のINF条約だった。その一本が破棄された。これで21年に期限切れを迎えるSTARTが更新されなければ、冷戦後初めて、米ロが核軍縮の具体的な法的義務を負わない状態となる。 NPT第6条の核軍縮義務はどうなるのか。米国は昨年来、核軍縮の「条件創出」を提唱し始めた。いわば、安全保障面での条件が整わなければ軍縮できないという言い訳だ。核軍縮そのものが雲散霧消の勢いだ。(川崎哲、ピースボート)    

2019/03/14 · Leave a comment