川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2020.7] 核実験再開?

被団協新聞の7月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核実験再開? 5月、米政府が核実験再開を検討したとの報道が出た。正確には核爆発を伴う実験のことだ。1996年にあらゆる核爆発実験を禁ずる包括的核実験禁止条約(CTBT)ができると、クリントン大統領は署名した。そして核爆発を伴わない未臨界実験を通じて核兵器の維持を行ってきた。だがブッシュ政権下で議会はCTBTの批准を否決。米国は核爆発実験のオプションを手放すべきでないという主張は当時より根強い。 トランプ政権は、ロシアや中国がCTBTに違反して小規模な核爆発実験を行っている可能性があると批判している。これまでトランプ政権は、INF条約でもイラン合意でも、相手の違反を主張し自ら脱退を宣言するという行動を繰り返してきた。今度はCTBT「署名撤回」が懸念される。そのような事態になれば、国際法に基づく核軍縮自体が危機に瀕する。(川崎哲、ピースボート)

2020/07/20 · Leave a comment

パンデミックから軍縮へ――『世界』8月号に寄稿しました

7月8日に発売となった岩波書店『世界』8月号に「パンデミックから軍縮へ」と題する文章を寄せました。コロナ危機が世界の安全保障議論をどう変えるか、兵器に使われるお金と医療・保健に使われるお金の比較、米中対立と国際協調、核軍縮をめぐる好機と難局などについて論じました。ご一読いただければ幸いです。

2020/07/13 · Leave a comment

【7/7】「核兵器禁止条約」誕生から3年 ~これからどうする

来る7月7日で、核兵器禁止条約が国連で採択されてから3年となります。この夜19:30から、核兵器禁止条約発効への展望や今後の課題について、以下のとおりピースボート主催のオンラインイベントでお話をいたします。事前登録が必要ですので、どうぞよろしくお願いします。 なおまた、これとは別に、同夜23:00から、サーロー節子さんの証言会がやはりピースボートの主催で行われます。こちらは英語で、フランス語と中文の通訳がつきますが、日本語はありません。ピースボートでは7月7日を皮切りに計4回、世界の人々向けに被爆証言会をさまざまな言語で約一カ月かけて行っていきます(7/15:山下泰昭さん(メキシコ)、7/23:森田隆さん(ブラジル)、7/31:李鐘根さん(日本/韓国))。詳しくはこちらをご覧ください。> Hear the Voices of the Survivors: Hiroshima and Nagasaki 75 years on) 7/7 「核兵器禁止条約」誕生から3年 ~これからどうする https://peaceboat.org/33869.html ———————————————————————- 2017年7月7日、核兵器禁止条約が国連で採択されました。国連加盟国の3分の2近い122カ国の賛成によって生まれたこの条約は、現在、各国による署名・批准のプロセスが進み、発効に向けて前進しています。6月27日現在38カ国が批准しており、あと12カ国が批准すると計50カ国となり、その90日後に発効します。 その一方で核保有国はこの条約に背を向け、核軍拡競争を続けています。核不拡散や核実験禁止といったこれまでの数々の国際的な枠組みが危機にあります。被爆国・日本の政府もまた、核兵器禁止条約への反対姿勢を変えようとしていません。 核兵器をめぐって世界は、今後どう動いていくのか。世界のNGOや市民運動はどのように活動を進め、核兵器廃絶への道を切り開いていこうとしているのか。 このイベントでは、2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員をつとめるピースボートの川崎哲がお話しし、その後、質疑応答とディスカッションを行います。 広島・長崎「被爆75年」の8月を前に、私たちにできることを考えましょう。 日時 2020年7月7日 (火) 19:30~21:00 イベントはオンラインで行われます。「Zoom」を使用して行いますので、開始までにZoomアプリをインストールしておいてください。 講師 … Continue reading

2020/06/29 · Leave a comment

[2020.6] 条約は発展する

被団協新聞の6月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 条約は発展する NPT(核不拡散条約)が発効して50年。条約の規定じたいは変わらないが、その後に生まれた条約がNPTをも発展させてきた。 例えば96年、CTBT(包括的核実験禁止条約)があらゆる核爆発を禁止した。これによりNPT第5条に定められていた「平和的核爆発」という考え方は事実上無効になった。 これまでの条約より厳しい条約ができれば、規範が上書きされる。 核兵器禁止条約についても同様だ。禁止条約は核兵器の使用・威嚇やその援助、他国の核の国内配備など、NPTにはなかった行為も禁止している。これまで欧州5カ国が米国の核を自国内に配備する行為はNPTには違反しないと解釈されてきたが、禁止条約ができた今、その解釈はいつまでもつか。核軍縮・不拡散の両面で、規範をたえず発展させていくことが、核廃絶を達成するためには不可欠である。(川崎哲、ピースボート)

2020/06/16 · Leave a comment

三菱UFJによる核兵器製造への融資を禁止する指針改定を歓迎します

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が5月13日に「環境・社会ポリシーフレームワーク」を改訂し、核兵器を生物・化学兵器や対人地雷と並ぶ「非人道兵器」として、その製造に対する融資を禁止しました。6月7日、共同通信が報道しました(「核兵器製造への融資禁止 三菱UFJが指針改定」)。重要な一歩であり、歓迎したいと思います。(「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」の改訂について) 7月1日から適用される新しいポリシーは、次のように規定しています。 「非人道兵器セクター: 戦争・紛争において使用することを目的に製造され、一般市民も含めて、無差別かつ甚大な影響を与える核兵器、生物・化学兵器、対人地雷は、クラスター弾と同様に人道上の懸念が大きいと国際社会で認知されています。核兵器、生物・化学兵器、対人地雷の非人道性を踏まえ、これら非人道兵器の製造に対するファイナンスを禁止しています。」 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)は、核兵器の製造への融資を禁止するだけでなく、核兵器を製造している企業への一切の投資を禁ずるべきだと訴えています。そうでないと、企業に核兵器製造をやめさせる力にならないからです。MUFGの新ポリシーはそこにまで至るものではありませんが、日本のメガバンクの一つが核兵器を「非人道兵器」と明記して融資を禁じた意義は大きく、第一歩として歓迎したいと思います。これに続く次なる措置を期待します。 参考:「核兵器にお金を貸すな」2019年版レポート

2020/06/08 · Leave a comment

日本が武器を買うお金で、これだけのことができる

2020年度の日本の防衛費は、5.3兆円である。これは前年度より1.1パーセント増で、防衛費は第二次安倍政権発足後8年連続で増加、6年連続で過去最大を更新している。このうち、自衛隊員の給与など「人件・糧食費」が2.1兆円、「物件費」が3.2兆円である。この「物件費」の中に、戦闘機や武器の購入、艦船の建造、施設整備、研究開発、基地対策経費(いわゆる米軍への「思いやり予算」を含む)、そしてそれらの維持費が含まれる。「物件費」のうち、今年度に新規契約されるものの支出が1.1兆円であり、残りは昨年度以前に契約されたものの支出である。 その1.1兆円――すなわち、日本の防衛費の5分の1――を仮に新型コロナウイルス対策に振り向けたら、何ができるだろうか。 日本で年間1.1兆円あれば、集中治療室のベッドを15,000床整備し、人工呼吸器を2万台そろえ、さらに、看護師7万人と医師1万人の給与をまかなうことができる。 今年度の防衛費を個別項目でみていくと、護衛艦「いずも」を事実上の空母に改修するための費用が31億円、同艦で運用するステルス戦闘機F-35Bを米国から6機購入するための費用793億円が計上されている。合計で824億円。この金額で、全国にPCR検査センターを130カ所以上設置できる。 また、陸上配備のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を米国から導入するために、129億円が計上されている。この金額で、高齢者をケアするヘルパーを4,000人増員することができる。 韓国では4月末に防衛費9,897億ウォン(約850億円)を削減し12.2兆ウォンを新型コロナウイルス対策の支援金として国民に支給する補正予算を可決している。削減された防衛費は、F-35ステルス戦闘機、海上作戦ヘリコプター、イージス艦などの費用である。 韓国のように武器や軍事のための費用を削ってコロナ対策に回すという議論が、日本の国会でも今なされるべきはないか。 川崎哲 (協力:ピースボート) 2020.5.27 算出根拠を含む本稿のPDF版はこちら

2020/05/27 · 2 Comments

希望のバラICAN 核兵器のない世界へ

これは、広島の被爆者・田頭数蔵さんが、2017年「核兵器禁止条約」に貢献しノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に心動かされて作った新種のバラです。広島バラ園から、東京の恵泉女学園大学と多摩市に贈られました。被爆75年、その願いを形に。#YesICAN 参考:ピースボートのウェブサイト(こちら)およびおりづるプロジェクトのブログ(こちら)  

2020/05/20 · Leave a comment

[2020.5] 核兵器vs医療のお金

被団協新聞の5月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 核兵器vs医療のお金 新型コロナウイルスによって世界中で医療崩壊が起きている。医療への公的資金を削ってきたのは日本も例外ではない。ICANでは、米英仏が核兵器に使っている資金と医療のニーズと比較した。 フランスは2019年から25年にかけて核軍備に約4.4兆円の予算を充てた。この一年分で10万人分の集中治療室ベッド、1万人分の人工呼吸器、看護師2万人と医師1万人分の給与を賄える。イギリスが核戦力の運用と構築に昨年費やしたのは9,600億円。これはベッド10万台、人工呼吸器3万台、看護師5万人と医師4万人分の給与に相当する。米国は昨年核兵器に約3.9兆円を投入した。これは30万台のベッドと人工呼吸器3.5万台、看護師15万人と医師7.5万人分の給与に当たる。 国民の命を守ることが政府の使命なら、お金の優先順位が見直されねばならない。(川崎哲、ピースボート)

2020/05/12 · Leave a comment

コロナ危機は世界を軍縮に導くか

このたび日本平和学会のウェブサイトに「コロナ危機に立ち向かう」と題するフォーラムができました。新型コロナウイルスの感染拡大との戦いを「戦争」になぞらえて語る人もいますが、逆に「平和」の視点からこの状況をどう考えればよいのか。人間の命、権利、尊厳を基本的価値として平和を探求する立場から、現在の危機と来るべき社会の変革について、日本平和学会の会員の方々がこのフォーラムに寄稿します。私自身は「コロナ危機は世界を軍縮に導くか」という文章を寄せました。 この文章で私は、第一に、軍事費と医療・保健のニーズの関係、第二に、軍事力中心の国家安全保障からグローバルな安全保障へのシフト、第三に、経済危機がもたらす武力紛争の危険、第四に、情報通信技術と軍備管理の関係、について問題提起しました。どうぞご一読ください。

2020/04/20 · 1 Comment