川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2020.9] 人種差別と核廃絶

被団協新聞の9月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 人種差別と核廃絶 5月に米国で黒人男性が白人警官に殺された事件をきっかけにブラック・ライブズ・マターという反人種差別の運動が世界に広がっている。核廃絶運動においても、反差別や人権とのつながりを意識した議論が頻繁に聞かれるようになった。 論点は多様だ。そもそも原爆がドイツでなく日本に落とされた背景には人種差別があったという主張。また、核実験など核開発が植民地や先住民族の土地で行われてきたという「核の植民地主義」への批判。米国では、朝鮮戦争に際し核兵器が使用されてはならないと大きな声を上げたのはアフリカ系市民だったとの報告がある。 核兵器禁止条約は核被害者の権利に着目した人権条約でもある。核廃絶を広島・長崎だけでなく普遍的課題として世界に広める好機だ。一方、運動やNGOの中での人権と多様性保障という課題も忘れてはならない。(川崎哲、ピースボート)

2020/09/19 · Leave a comment

[提言] 敵基地攻撃能力ではなく、北東アジアの軍縮協議を

私が代表をつとめる集団的自衛権問題研究会は、岩波書店『世界』10月号(9月8日発売)に「敵基地攻撃能力ではなく、北東アジアの軍縮協議を」と題する緊急提言を発表しました。 8月4日に出された自民党の政府への提言は、その表現こそ用いていないものの事実上「敵基地攻撃能力」の保有を提言するものです。それはいくら「自衛目的」と強弁してみても、実質的には他国領内で先制的に、またはそれに近い形で武力を行使することに他なりません。専守防衛から明らかに逸脱するものであり、憲法9条に違反する疑いが濃厚です。 私たちの提言の骨子は以下の通りです。 1.北東アジアにおける核・ミサイルの脅威に対処する軍縮・軍備管理の協議を発展させること ・日中軍縮・不拡散協議の強化。 ・米朝交渉と南北交渉を通じた朝鮮戦争の終結と半島の非核化のための国際的行動。 ・米ロ中韓朝日6カ国による北東アジア軍縮・軍備管理協議。 ・地域のミサイルに関する情報交換から管理・削減へのロードマップ策定(米軍のミサイルも議題に)。 ・北東アジア非核兵器地帯構想の議論を深める。 2.日本は専守防衛を堅持し、これを変更すると受け止められるような政策を止めること ・「攻撃的兵器の不保持」原則の厳格化 ・「敵基地攻撃能力」を構成しうるあらゆる兵器の導入や開発の中止。 ・辺野古の基地建設の中止と普天間返還に向けた米国との交渉。 ・南西諸島における誘導弾部隊の配備やF35戦闘機訓練を前提とする自衛隊基地建設の中止。 3.世界的な核軍縮の進展を後押しすること ・米ロによる新STARTの延長。中国を含む多国間の軍縮・軍備管理協議を時間をかけて形成。 ・日韓による核兵器禁止条約署名。 4.気候変動や感染症が「人間の安全保障」に深刻な脅威をもたらしている現状を踏まえ、安全保障政策の包括的な見直しを進めること ・北東アジア諸国間でコロナ対策に関する情報交換。軍事支出を削減して医療・保健に転用。 ・北東アジア諸国間で感染症対策、気候変動、災害対応など「人間の安全保障」の協力の強化。 なお『世界』同号は「攻撃する自衛隊」と題する特集を組んでおり、半田滋氏による「イチからわかる敵基地攻撃Q&A」や杉原浩司氏による「『敵基地攻撃能力』保有論を批判する」など関連記事を多数載せています。 https://www.iwanami.co.jp/book/b529414.html

2020/09/11 · Leave a comment