川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2024.4] オッペンハイマー

被団協新聞の4月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 オッペンハイマー  映画「オッペンハイマー」が公開された。マンハッタン計画を主導した物理学者の生き様を描いた映画だ。広島への原爆投下に米国人が熱狂するシーンは直視するに堪えない。大量殺戮をもたらした現実に本人が悩む姿は描かれているが、その惨状はスクリーン上には全く登場しない。想像力がなければ誤解されうる映画だ。 それでも私はこの映画を高く評価したい。核兵器と軍国主義を描いた映画だと思う。科学と政治、国家と個人、ナチズムや共産主義という「敵」の設定、男性中心社会など現代に通じるテーマが満載だ。AI兵器の登場、ガザの虐殺を止められない「民主主義国家」の矛盾、日本で高まる「国家安全保障」言説の危険性など、現代に多くの問題提起をしている。原爆によって苦しめられた人間には憤りや悔しさを感じるシーンも多いだろうが、一度は観てみることをお勧めする。(川崎哲、ピースボート)

2024/04/19 · Leave a comment