被団協新聞の10月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。
兵器の被害者
ピースボートのツアーでカンボジア・シエムリアップの地雷原を訪ねた。約30年続いた戦争により多数の地雷、クラスター弾、不発弾が残され、和平協定から25年以上が経つ今も撤去作業は続いている。地元民が金属探知機を持ち確認の杭を打ちながら歩き、反応があれば手作業で掘り出すという地道な作業だ。除去が完了するにはまだ10年近くを要する。
現地の平和博物館には戦争で使われた膨大な兵器が展示されていて、気が滅入る。対ベトナム攻撃の延長で米軍がカンボジアに投下したクラスター弾の総計は2千7百万に上るという。カンボジアの人口の実に倍である。
対人地雷禁止条約には被害者援助の義務が定められ、同様の規定は核兵器禁止条約にも作られた。だが被害者が現に直面する課題は途方もないもので、被害者援助といった法律用語が軽々しく聞こえてしまうほどだ。(川崎哲、ピースボート)
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