日本政府が敵基地攻撃能力保有や防衛費倍増などを含む「安保3文書」改定を図ろうとする中、平和学の研究者やNGO関係者、ジャーナリストなどが集まって、10月29日に「平和構想提言会議」を立ち上げました。政府の「国家安全保障戦略」に対置する「平和構想」の提言を行うことをめざしています。私は、昨秋から進めている「平和構想研究会」(前身は「集団的自衛権問題研究会」)の流れをくんで、今回の提言会議を呼びかけ、学習院大学の青井未帆教授と共に同会議の共同座長となりました。
11月21日には、日本平和学会関東地区研究会との共催で、公開会議を行いました。その様子はこちら▼でご覧になれます。
12月中旬に向けて「平和構想」提言をとりまとめていきますので、どうぞご注目ください。
趣旨等は以下の通りです。
日本政府は、年末までに「国家安全保障戦略」など安全保障関連の3文書を改定する方針です。「防衛力の抜本的強化」を掲げた「有識者会議」が作業を進めており、与党協議も行われています。そして、防衛費を「5年で対GDP比2%以上を念頭に」増額することや、反撃能力という名の敵基地攻撃能力の保有、また、武器輸出の拡大といった政策が議論されています。さらに、そうした政策転換を既定路線として、巡航ミサイル購入などの動きが進んでいます。
これらは、日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、周辺諸国との信頼関係を悪化させ、軍拡競争を助長するきわめて危険な政策です。ウクライナにおける戦争や緊迫する東アジア情勢の中での人々の危機意識に乗じて、いたずらに軍拡に傾斜していくことは、日本とアジアの平和にとって取り返しのつかない事態をもたらす可能性があります。
今本当に必要なのは、日本国憲法の平和主義の原則に基づき、軍拡ではなく軍縮を進めることであり、緊張緩和と信頼醸成のための平和外交を展開することです。そうすることで持続的で安定的な国際関係を構築しない限り、本当の平和も安全保障も実現しません。軍拡のための「戦略」ではなく、平和のための「構想」こそが求められています。
こうした中、10月29日、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らが「平和構想提言会議」を発足させました。15名のメンバーによるこの会議は、政府による「国家安全保障戦略」に対置する「平和構想」を文書にまとめ、12月中旬に発表する予定です。
●平和構想提言会議 メンバー
青井未帆(学習院大学教授)※
秋林こずえ(同志社大学大学院教授)
池尾靖志(立命館大学)
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
岡田充(ジャーナリスト)
川崎哲(ピースボート共同代表)※
君島東彦(立命館大学教授)
清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授)
佐々木寛(新潟国際情報大学教授)
申惠丰(青山学院大学教授)
杉原浩司(武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表)
谷山博史(日本国際ボランティアセンター(JVC)前代表理事)
中野晃一(上智大学教授)
畠山澄子(ピースボート)
前泊博盛(沖縄国際大学教授)
(計15名、敬称略、50音順。11月21日現在)
※印の2名が共同座長。
●発足の経緯
研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らによる有志の研究会「平和構想研究会」(2021年10月発足、代表・川崎哲ピースボート共同代表)では、今年4月「憲法の原則を逸脱し戦争への危険を高める自民党<安保提言>に抗議する」と題する緊急声明を23名の識者の連名により発表し、各界から600名以上の賛同を得た(https://www.facebook.com/heiwakosoken/posts/5759069647442239)。
この取り組みを引き継ぐ形で同研究会が呼びかけて、平和構想提言会議が発足した。10月29日に第1回会議を開催。第2回会議を、11月21日に公開会議の形で行う。12月中旬に「平和構想」提言を発表する予定。
●問い合わせ先
shudantekijieiken@gmail.com (平和構想研究会)
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