川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

やはり核兵器禁止しかない――ウクライナ危機から考える

本日、日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターによる『ひろしまレポート』ウェビナーが開催されました。私は、広島県(へいわ創造機構ひろしま)の『ひろしまレポート』作成に関わる他の専門家の皆さんと共に、「ロシアのウクライナ侵略の核問題への含意」ということについて発言をしました。限られた時間でしたので十分に伝えきれたか分かりませんので、そのときに発言したかったことの趣旨を以下に記します。 現在のウクライナ危機は、核兵器禁止の緊急性を浮き彫りにしています。昨年発効し、今年6月に第一回締約国会議が開かれる核兵器禁止条約が、今こそ重要です。この条約を、世界的に普遍化しなければなりません。その理由を、以下5点にわたって述べたいと思います。 第一に、核兵器は戦争を防がなかったということです。これまで核兵器があることで、そのバランスによって世界は第三次世界大戦を免れているという人たちがいました。しかし私たちは今、第三次世界大戦が明日起きてもおかしくないという状況下にあります。今回ロシアは、NATO(北大西洋条約機構)を敵に回すことを分かっていて戦争をあえて仕掛けたのです。NATO側・米国側の核は、ロシアの軍事行動を抑止しませんでした。これまで核兵器は「戦略的安定性」のために必要だとさんざんいわれてきました。つまり大国間の戦争を防ぐためにということです。しかしそれは、崩れました。 これに対して、「いや、ロシアの核がNATO側の介入を阻止しているから核抑止は効いているのだ」とか、「米側の脅しが足りなかったからロシアが行動を起こしたのだ。もっと脅しておくべきだった」とか言う人がいます。そのような作戦の局面ごとの抑止力の議論はいろいろとあるでしょう。しかし、より大きな視点で、今や核兵器は戦争を止めるためにではなく、戦争を遂行するための道具になっているということを直視すべきであると思います。「戦略的安定」どころではありません。真逆です。 第二に、核不拡散条約(NPT)上の核兵器国の一つが、国際法を破壊する行動に出ているということです。これまで、NPT上の核兵器国というのは、まがりなりにも大国としての責任を自覚して、軍縮・不拡散に取り組む、あるいは少なくとも取り組む姿勢はみせるものだと理解されてきました。問題はむしろ、NPTの枠外で核保有をしている国々であるとか、NPTから飛び出て核保有に走ろうとする国にあると考えられてきました。実際、これまでの『ひろしまレポート』でも、9つの核保有国のうち、5核兵器国の核軍縮に関する評点は、他の4カ国に比べると明らかに高いものでした。 NPTの外での核保有を企てる国々は、「ならず者国家」などと呼ばれてきました。しかし今では、NPTの核兵器国の一つ、しかも世界の核兵器の9割を持つ二大核保有国の一つが、世界に向けて核の恫喝を行いながら国際法違反の侵略行為を続けている。まさに「ならず者」です。 もちろん、5核兵器国の全てがそういう国だとはいえないかもしれない。では今後は、西側民主主義国の核兵器はよいが、東側の「専制主義国」の核兵器はダメだというのでしょうか。いいえ、そんな議論が成り立つはずがありません。どちらも自分たちが正義で、相手側が悪だと信じているからです。「核を持ってよい国」と「わるい国」があるというNPTの線引きは、もともと無理がありましたが、ここへ来て、完全に破綻しています。 第三に、核兵器の使用は全面的に禁止しなければならず、例外的な使用を認めたならば意味がないということです。ロシア大統領府報道官は「国家存亡の危機ならば核兵器を使う」と述べましたが、これは実は、1996年の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見とほぼ変わらない立場表明です。ICJ勧告は、核兵器の使用・威嚇は一般的には国際法違反だが、「国家存亡に関わる自衛の極限的状況」では違法であるかないか判断できないとしていました。核兵器国は、それをもって、国家存亡に関わる状況下では核兵器を使用してよいのだと解釈してきました。ロシアもそう表明しているのです。 しかし私たちはロシア政府のそのような声明を聞いて、震え上がります。なぜなら、ロシアが何をもって「国家存亡の危機」とみなすか誰にも分からないし、恣意的な解釈がいくらでもできてしまうからです。経済制裁で追い込まれたから「国家存亡の危機」だと主張することだってできます。だから、例外的な使用を認めてはいけないのです。いかなる状況下でも使ってはならないと明確に定めなければならない。1996年のICJ勧告にあったその曖昧さを埋めたのが、いかなる状況下でも核兵器の使用・威嚇を禁止した2017年の核兵器禁止条約です。 もちろん、そのような国際法があってもロシアは破るではないかという主張もあるでしょう。実際に、病院や避難所が爆撃されています。クラスター弾が使われたという報告もあります。生物・化学兵器を使用するのではないかという疑いももたれています。しかしロシアは、こうした国際法上非人道的とされる行為に関する報道があると、いつもそれを否定したり、そのような行為はウクライナ側がやったのだと言ったりしています。生物・化学兵器については、自ら使うとは言いません。ロシアは生物兵器禁止条約と化学兵器禁止条約の締約国ですから、使うなどとはいえないのです。ロシアのような国でも、国際人道法について気にせざるをえないのです。 核兵器が生物兵器・化学兵器と同様に全面的に禁止されていて、その規範をロシアも受け入れていれば、「核兵器を使います」とはとても言えません。残念ながら核兵器禁止条約の締約国はまだ60カ国で、核兵器国を包囲するほどの力になっていません。核兵器禁止条約の締約国を国際社会の圧倒的多数へと増やし、核兵器国といえども「核兵器を使う」などと容易には発言できない状況を作らなければなりません。 国際社会が、民間人を標的にした爆撃が国際人道法違反で、クラスター弾や生物・化学兵器の使用が国際条約違反であるといって非難しておきながら、核兵器の使用は違法ではありませんなどといっていたら、国際法そのものの信頼性が崩れてしまいます。 第四に、一部の国家指導者に人類の命運を委ねていいのかということです。この期に及んで「核の抑止は効いている」とか「もっとうまく相手を脅し、もっと強く抑止を効かせれば大丈夫だ」なんてことをいう人がいます。しかしそうした抑止論は、国家指導者があらゆる情報を正確に把握し理性的な判断をするということを前提にしてはじめて、有効になりえます。今回のロシアについてはどうでしょうか。これまでさんざん有識者や専門家がロシアの行動を分析して発言してきましたが、結局のところ皆「プーチン大統領が何を考え、どう判断するのかは分からない」と言うではないですか。 人類を皆殺しにする核戦争を開始するボタンを持っている人間の思考回路の正確なところが誰にも分からないのだったら、その人間を「うまく抑止」するための最適の答えにたどり着けるわけがありません。誤算やボタンの掛け違いが破滅を生む前に、核兵器そのものを禁止し廃絶しなければならないのです。 第五に、今のウクライナ情勢をみながら「やはり核兵器が必要だ」という国々が出てくるという現実があることです。それがいかに不合理なことであったとしても、戦乱の恐怖の中で、強大な軍事力にすがろうとする人々の心理や、それを煽ろうとする政治指導者の動きが出てくるのは止められません。被爆国日本においてすら「核共有」を求める議論が出てきたことは、その表れです。そういう動きが出てくるからこそ、核兵器が絶対に許されない非人道的な兵器なのだという強力な規範が必要なのです。 幸い、今この世界には、核兵器禁止条約があります。もし、このロシアによるウクライナへの侵略戦争が、核兵器禁止条約が未だない世界で始まっていたらどうなったでしょうか。NPTの信頼は地に墜ち、それに代わる国際法もなく、まさに世界的な核の無秩序へ一直線です。核兵器禁止条約は、そうなることを防ぐための強い力となります。今こそ核兵器禁止条約の価値を高く掲げ、第一回締約国会議に向けて締約国を増やし、この条約を強化していかねばなりません。この条約には今すぐ入れないという立場をとっている国々も、締約国会議に参加して、核兵器の禁止と廃絶に向けてしっかりと議論をすべきです。日本も当然、オブザーバー参加すべきです。 2022年3月28日 川崎哲

2022/03/28 · 1 Comment

核の脅しを止めよ

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続くなか、プーチン大統領は、核兵器部隊を戦闘態勢に入れました。邪魔をする国には核兵器を使うぞと、世界中を脅しているのです。こんなことを許してはなりません。核兵器による威嚇は、国際人道法違反です。ロシア自身が今年1月の核保有5カ国の声明で「核戦争をしてはならない」と宣言していたことにも反します。 こうしたなか日本で、ウクライナのようにならないためには日本も核武装したり、米国の核兵器を持ち込んで配備したりする必要があるといい出している人がいます。たいへん危険な主張です。 まず「ウクライナはかつて核を保有していたが、それを手放したので攻め込まれた」という主張がありますが、これは全くの誤りです。ウクライナには、旧ソ連すなわちロシアの核兵器が置かれていましたが、1990年代半ばにロシアに返還しました。そのことが理由で今日攻め込まれたといえる根拠は、何もありません。 また、今回侵攻したロシアは、西側の核軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)と長らく対峙してきましたが、ウクライナに攻め入ればNATOと対決する形になることは分かっていました。それでもロシアは、無謀にも軍事侵攻を始めたのです。核兵器は、この侵攻を抑止しませんでした。 さらにこのたび、ウクライナに隣接するロシアの同盟国ベラルーシでは、独裁者ルカシェンコ大統領が、ロシアの核兵器を国内に配備できるように、憲法を変えてしまいました。このことで現在の紛争において核のリスクが一段と高まったことはいうまでもありません。 これらのいずれをとっても、核兵器は紛争をエスカレートさせることはあっても、安定させたり収束させたりしていないのです。 国際ルールを破って戦争を始め、核の脅しをしているのはロシアです。私たちはこの行為を批判し、国際ルールを立て直す努力をしなければいけないのであって、自分たちも核の脅しに加わろうというのでは、世界はますます危険になるだけです。核戦争を防ぐ唯一の道は、核兵器の全面的な禁止と廃絶です。 2022年3月1日川崎哲

2022/03/01 · 1 Comment

ロシアは軍事攻撃を即時に停止せよ

ロシアがウクライナに対する軍事攻撃を開始したと報道されています。これは国連憲章に明らかに違反する行為であり、ロシア政府は即時に、軍事行動を止めるべきです。この軍事行動に先立ち、ロシアがウクライナ東部に国家を承認したという行為も、同国の主権と領土を侵害するものであることはいうまでもありません。ロシア政府に、ただちに軍事行動を止め、ウクライナから撤退するよう求めます。 国際社会は一致して、このような暴挙を許さず、非軍事的な方法による厳しい制裁措置によって、ロシアに軍事行動を止めさせるようにしなければなりません。攻撃を受けているウクライナの人々に対しては、適切な人道上の救援が提供されなければならず、当事国はそのアクセスを保証すべきです。 そして、これが全面的な戦争に発展するようなことは絶対に防がなければなりません。戦争が拡大すれば、核の大惨事に発展する可能性もあります。ウクライナには合計15基の原発があり、また、1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原発も依然放射線を放った状態です。 そして何よりも、核保有国であるロシアと核保有国の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)が武力で対決するような事態になれば、核兵器の使用に発展する可能性さえあります。ヒロシマ・ナガサキをくり返してはなりません。今年1月、ロシアを含む世界の核保有五カ国は、核保有国間の戦争を起こさないことが「最大の責任である」と述べていたはずです。 戦争に反対する世界の世論を高め、軍事行動を直ちに終わらせ、残された課題は国際法の下で外交交渉を通じて解決するよう、ロシア政府をはじめとする関係諸国に強く求めていきましょう。 2022年2月24日 川崎哲

2022/02/24 · Leave a comment

核兵器禁止条約の締約国会議に日本はなぜオブザーバー参加すべきなのか

核兵器禁止条約の締約国会議に日本はなぜオブザーバー参加すべきなのか、2分間の動画にまとめました。 議員ウォッチを活用して、全ての国会議員に働きかけ、日本のオブザーバー参加をなんとしても実現したいと思います。この活動への財政面での応援をお願いしています(>「核兵器禁止条約」1歳のバースデーに、日本の参加を応援するキャンペーン) このビデオで私が話している内容は、以下の通りです。 核兵器禁止条約の締約国会議になぜオブザーバー参加すべきなのか 川崎哲(ピースボート共同代表/ICAN国際運営委員) まもなく、核兵器禁止条約の第1回締約国会議がウィーンで開催されます。日本はこの会議に、オブザーバー参加すべきです。日本政府はこの条約に署名・批准するつもりはないとしていますが、それでも会議にオブザーバーとして参加することできます。発言もできます。 日本が被爆国として核兵器のない世界をめざすというのであれば、核兵器を非人道兵器として禁止したこの条約に加わった国々としっかりと話し合い、信頼関係を築くべきです。岸田首相は、核保有国を動かすことが必要で、アメリカとの信頼関係が重要だといいます。 しかしアメリカや核保有国への働きかけをしながら、禁止条約の締約国との信頼関係も作ることはできます。日本政府は「橋渡し」をするといってきたのですから、その両方をすべきです。 日本は、核兵器禁止条約の締約国会議で、2つの貢献ができます。 1つは、世界の核実験被害者の援助と核実験で汚染された環境の回復についてです。日本は、原爆被害者の援護制度や、福島原発事故後の除染といった経験と知見を有しています。これを生かして人道面、環境面で貢献すれば、高く評価されるでしょう。 もう1つは、核兵器の廃棄の検証制度についてです。核保有国が核を廃棄するときに国際機関がその検証をしていかなければなりません。そのための期限や、組織のあり方が議論されます。そうした議論に日本が加わることは、朝鮮半島の非核化、ひいては日本の安全保障にも有益です。 この会議に参加しなければ、日本の国際的な発言力や信頼に大きな傷がつくでしょう。 すでに国会議員の過半数が、日本はオブザーバー参加すべきだといっています。野党はもちろん、自民党や公明党の中でも賛成が増えています。議員ウォッチをどうぞご覧ください。この活動へのご寄付もお願いしています。 さあ総理!ウィーンに行きましょう。 2022年1月27日 ※核兵器禁止条約については、私の解説!動画シリーズもご覧ください。

2022/01/27 · 1 Comment

新刊・岩波ブックレット『核兵器 禁止から廃絶へ』が出版されます【12/7に出版記念トーク】

12月3日に新しい岩波ブックレット『核兵器 禁止から廃絶へ』が出版されます。 川崎哲著『核兵器 禁止から廃絶へ』(岩波ブックレット No.1055)体裁  A5 ・ 並製 ・ 72頁定価  638円 これは、『核兵器を禁止する』(2014年8月)、『新版 核兵器を禁止する』(2018年2月)、を引き継ぐ新刊で、核兵器禁止条約採択・発効への背景と経過、条約の内容を踏まえて、この条約を通じて核兵器のない世界を達成するための展望を簡潔にまとめています。核兵器禁止条約の意義と今後に関して、全体像が分かる入門書となっていると思います。 この出版にあたり、ピースボートの主催により12月7日(火)に記念トークイベントを行います。このイベントは事前登録制で、チケット代(1,500円)には新刊ブックレット1冊の代金と送料が含まれています。12月2日(木)までに申し込まれた方にはイベント当日までにブックレットが届くようにいたします。 12/7 出版記念トーク!川崎哲『核兵器 禁止から廃絶へ』 日時:2021年12月7日(火)19:00~20:30場所:「Zoom」を使用して行います。トーク:川崎哲(ピースボート共同代表、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)国際運営委員)参加費:1,500円(ブックレット代金・送料込) 参加申込み:https://tpnwbooklet.peatix.com/※お申し込み後、イベント参加に関する情報の確認メールが届きます。 核兵器禁止条約が発効してからまもなく1年。来年3月には、第一回締約国会議がウィーンで開かれます。核兵器を禁止から廃絶へと導くプロセスが始まるのです。しかし日本政府は、いまだにこの条約に背を向けています。世論調査では7割を超える人々が、被爆国・日本は「核兵器禁止条約に加わるべき」と答えています。ところが国会議員でこの条約に賛同を示しているのは3割に過ぎません。広島選出の岸田首相は「核兵器のない世界をめざす」と言いながら、核兵器禁止条約には加わろうとせず、具体的な行動を何もとっていません。 このたび、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員をつとめるピースボートの川崎哲が、岩波ブックレット『核兵器 禁止から廃絶へ』を出版します(12月3日刊行)。これは2018年の『新版 核兵器を禁止する』を引き継ぐ新刊で、核兵器禁止条約の基本的な内容に加え、「日本はなぜ参加しないのか」「核抑止力という神話」を解説し「これからの道筋」を描いた入門書です。 出版を記念して、トーク・イベントを行うことになりました。著者が、この新刊ブックレットの内容を踏まえて、1月に開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議や核兵器禁止条約締約国会議に向けた世界と日本の動きについて話します。核兵器を本当になくすための道筋を考えていきましょう。 問い合わせ先:ピースボート(担当:松村) pbglobal (a) peaceboat.gr.jp

2021/11/28 · Leave a comment

核被害者と出会い、行動しよう――世界核被害者フォーラム2021(12月3日)のご案内

ピースボートは、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と協力して、2021年12月2~3日(日本時間では12月3日)に「世界核被害者フォーラム2021」をオンラインで開催します。これは、世界の核兵器の被害者の声を集め、被害地域の状況を学び合い、その取り組みや行動について共有するためのオンラインの国際フォーラムです。太平洋、北米、ヨーロッパ、そして日本を含むアジアから、ウラン採掘、核実験、核兵器の生産そして使用の被害者らが集まります。 今年1月に発効した核兵器禁止条約は、第6条と第7条で、核兵器の被害者に対する援助と環境の回復ならびにそのための国際協力について定めています。2022年3月にウィーンで開催される第1回締約国会議は、それらの義務の履行について議論します。「世界核被害者フォーラム2021」は、この締約国会議に先立ち、核被害当事者が声を上げ、今日何が必要とされているか国際的な議論を促すために開催されるものです。 フォーラムのプログラムと参加方法は、こちらをご覧ください。 フォーラムは、事前登録の必要なく、誰でも視聴し参加することができます。上記のホームページ上も、また、YouTube上でもご覧になれます。フォーラムのアーカイブ映像は、その後も残ります。 なお、このフォーラムに賛同し広報等の面で協力してくださる「賛同団体」、および、このフォーラムへの「後援」として財政的支援をして下さる団体や個人を募集しています。ホームページ上のフォームからご連絡またお問い合わせください。 世界核被害者フォーラム2021https://nuclearsurvivors.org/jp/

2021/11/24 · Leave a comment

第33回谷本清平和賞を受賞いたしました

本日(2021年11月14日)、広島工業大学広島校舎にて、第33回谷本清平和賞の贈呈式がありました。公益財団法人ヒロシマ・ピース・センターの鶴衛理事長より、表彰状、平和の盾、目録を贈呈され、近藤紘子さまより花束の贈呈を受けました。身に余る光栄であり、心より深く感謝申し上げます。約30分にわたり、謝辞を述べ講演をいたしました。その全文はこちらの通りです。本平和賞を励みに、今後とも核兵器廃絶と平和のための活動を前進させてまいりたいと思います。皆さまありがとうございました。 贈呈式の様子は、ピースボートおりづるプロジェクトのブログをどうぞご覧ください。 メディア報道 2021.11.14 テレビ新広島 核兵器廃絶へ向けて活動 ICAN川崎哲さん 谷本清平和賞を受賞 2021.11.15 NHK(広島) 川崎哲さんに谷本清平和賞贈呈 2021.11.15 広島テレビ ICAN川崎哲氏が谷本清平和賞受賞 2021.11.16 中国新聞 被爆の惨状 世界に伝える 谷本清平和賞 川崎さんに贈呈

2021/11/14 · 1 Comment

第33回谷本清平和賞 受賞にあたって

本日、第33回谷本清平和賞の受賞発表がありました。  被爆者の救援に身を投じ尽力してこられた谷本清牧師のお名前を冠する賞をいただくのは、大変おそれ多いことです。戦争の恐ろしさを戦争を体験していない人間が伝えていかなければならない時代にいよいよ入ったと感じます。  私はピースボートの船旅を通じて、広島・長崎の被爆者の方々の証言を世界に伝える活動をしてきました。それは常に、多くの人々の共同作業でした。被爆者ご本人、迎え入れる世界各地の人々、その間をつなぐ若者、通訳、メディア。訪ねたその国々の戦争被害者や核の被害者たちともつながってきました。そうした人々の輪を大切にし、さらに広げていきたいと思います。  被爆者に出会い心を動かされた人々が行動したことで、核兵器禁止条約が採択され発効しました。核兵器なんて絶対にダメだと被爆者ご自身が語ってくださる時間はあと僅かです。それでもこの条約は生き続け、将来にわたり国々をしばり続けます。日本をはじめとする全ての国がこの条約に入るよう、ICANの仲間たちと活動をさらに強めてまいります。 2021年10月15日 川崎哲 ※ピースボートでは、被爆者のメッセージを世界に伝える「おりづるプロジェクト」へのご支援を皆さまにお願いしています。こちらのページをどうぞご覧ください。

2021/10/15 · Leave a comment

核兵器禁止条約「オブザーバー参加」すら約束できない岸田首相には落胆しかない。来る総選挙で動かそう

 岸田新政権が発足した直後、私は朝日新聞に「核廃絶の道筋 与野党は政策論争を」と題して寄稿し、核兵器禁止条約への署名・批准や同締約国会議へのオブザーバー参加について各党・各候補者はしっかりと議論してほしいと呼びかけた。今年8月に広島でNGOが主催した討論会では、自民党も含め与野党8党の代表者は全員、締約国会議へのオブザーバー参加に前向きな姿勢を示していた。同条約への署名・批准をめざしつつ当面はオブザーバー参加していくということでは、立憲・共産など野党4党の合意内容と、与党である公明の主張は大きくは変わらない。問題は自民党である。日本は核兵器廃絶をめざしていると言いながら、核兵器禁止条約への署名・批准を長期的にでもめざしていくという姿勢を公言している自民党の国会議員は2%程度と、他党に比べて圧倒的に少ない(「議員ウォッチ」調べ)。  そうした中、広島選出の岸田文雄氏が首相に就任し、被爆地の代表として「核兵器のない世界」に向けた努力をくり返していることに、私は一定の期待を寄せていた。ICANのベアトリス・フィン事務局長や被爆者のサーロー節子さんが就任当日に岸田首相に手紙を送ったように、核兵器の非人道性を世界に率先して語ることのできる首相として、核兵器を非人道兵器として全面的に禁止したこの条約について、少なくとも、締約国会議へのオブザーバー参加してほしいし、そのくらいの決断はしてもらえるのではないかと考えていた。  ところがこの数日間の国会での代表質問をみると、岸田首相は、オブザーバー参加を拒否している。岸田氏は、核兵器禁止条約は核兵器のない世界への「出口」ともいえる「重要な条約である」としてこの条約の意義を率直に認めている。この点はこれまでの首相にはなかったことであり、評価できる。しかし、オブザーバー参加せよと求める与野党の声に対しては「ご指摘のような対応よりも、核兵器国を関与させていくような努力をしていく。米国の信頼を得た上で、核兵器のない世界へ向けて取り組んでいく」とくり返し答弁している。「参加しない」とまでは明言していないが、事実上の拒否といえる。  しかし、これには全く納得がいかない。  核兵器国を関与させることは確かに必要であるし、米国と共に核軍縮に取り組むことも重要だ。しかし、だから核兵器禁止条約は無視してよいということにはならない。両方必要なのだ。  核兵器禁止条約は、非核保有国主導の取り組みである。核保有国はこれに反発しており、首相も指摘しているように、一カ国も入っていない。首相はだから核保有国と非核保有国の「橋渡し」をしていくという。しかし「橋渡し」するのが本気なら、核保有国とも軍縮の努力をし、非核保有国とも協力を深めつつ、両者の対話を促進するということになろう。非核保有国が主導する核兵器禁止条約の締約国会議の場に出ていき、そこで日本の立場を述べることこそまさに「橋渡し」にふさわしい行動ではないか。  日本は自らオブザーバー参加すると表明した上で、米国にもオブザーバー参加を促すことができるはずだ。それに米国が応じなくても、締約国会議の場で、日本が米国と共に取り組んでいる内容について締約国に説明することができる。  締約国会議の招集者である国連事務総長は、日本や米国を含むすべての国連加盟国に招待状を出している。ホストするオーストリア政府は、あらゆる国の参加を歓迎すると表明している。橋はそこにあるのだ。それなのに、日本は橋を渡ることを拒んでいる。  今朝、嬉しいニュースが入ってきた。ノルウェーが、核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加することを表明したのである。米国との軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)加盟国として初めての表明となる。  すでに、スウェーデン、スイス、フィンランドそしてマーシャル諸島がオブザーバー参加を表明している。これらの国々の多くは条約制定過程で積極的な役割を果たしたが、条約への署名・批准については国内の政治的意思を固め切れておらず、未署名のまま参加することになる。  ノルウェーがこのたび参加を決定したのは、先月の総選挙で労働党が勝利し政権が交代したことによるものである。ドイツでも新政権が誕生しようとしており、ノルウェーに続いてオブザーバー参加を表明する可能性がある。NATO加盟国でもオブザーバー参加できるのだから、日本は米国との関係があるから参加できないという言い訳はもはや通用しない。  マーシャル諸島は、1954年3月のビキニ水爆実験などで知られるように、核実験の被害国である。核兵器禁止条約には、核兵器の使用や実験で被害を受けた人たちに対する援助と、放射能で汚染された環境の回復の義務に関する規定がある。来年3月にウィーンで開かれる第1回締約国会議では、それが重要な議題になる。だからこそマーシャル諸島はこの会議に参加するのである。  日本は、世界で唯一戦争時に核兵器の被害を受けた国であり、今も十数万人の被爆者が医療的・社会的援助を受けながら暮らしている。日本には、チェルノブイリや福島の原発事故による健康や環境上の被害に関する知見も多く、この分野で数多くの専門家がいる。日本がこの会議に参加して核被害者の援助に関する議論に貢献するのは当然のことである。岸田首相は、被爆国として日本が世界から期待される役割を果たすことを拒むのか。  岸田首相がいうところの「米国の信頼を受けた上で核兵器のない世界に向けて前進していく」ということは、もちろん大事だ。バイデン大統領との初の電話会談で「核兵器のない世界」に向けた努力について話題にしたことは評価する。しかし問題は、それに中身があるのかどうかである。  現在バイデン政権は「核態勢の見直し」に取り組んでいるが、核兵器の先制不使用を宣言するかどうかが焦点となっている。核兵器の全面禁止とまではいかなくても、先に使うことはしない。そう宣言することで、核戦争が起きる危険性を大きく減らし、核削減の条件を作ろうというものだ。  ところがこれまで日本の歴代政権は、米国による核兵器の先制不使用に反対する態度をくり返してきた。「核の傘」が弱まってしまうからというのである。そこで今回ばかりは「日本は先制不使用に反対するな」と、米元高官らが日本の政治指導者に要請する事態にまでなってきている。日本が米国から、「核軍縮の邪魔をするな」と言われてしまっているのだ。  この問題について岸田氏は「日本から米国に核兵器の先制不使用を求めることはない」(自民党総裁選前)と、消極姿勢だ。しかもこれは、日本が反対するのかどうかと問われているのに対して、ピント外れなコメントになっている。  核兵器禁止条約の会議には出ない。核被害者救済の議論にも加わらない。このままではおそらく、日本が今年提出する国連総会決議案も、例年通り、核兵器禁止条約を全く無視した文面になるのだろう。その一方で米国と核軍縮で協力するというが、その中身はこれまでと同じで一歩も踏み出さない。  これではいくら「核廃絶という名の松明を、私もこの手にしっかりと引き継ぎ核兵器のない世界に向け全力を尽くします」(所信表明演説)と言われても、空っぽだ。  岸田首相に対して「このままではいけません」と、心ある与党議員がしっかりと説得してくれるか、あるいは、来る選挙で野党が勝利して、公約通り「署名・批准をめざしてオブザーバー参加する」か――そのどちらかまたは両方が必要だ。  この意味できわめて重要なのが、10月31日の総選挙だ。私たちは、一人ひとりの候補者に対して「核兵器禁止条約、どうするおつもりですか」と声をかけていこう。#お答えください核兵器禁止条約 2021.10.14川崎哲

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