被団協新聞の12月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。
迷走する日本決議
国連総会第一委員会で日本が提出した核兵器廃絶決議が賛成多数で採択され、政府は核兵器国と非核兵器国の橋渡しをしたとしている。だが実際は、これまで賛成していた米仏は棄権で、核兵器国からの賛成は英のみだ。オーストリアやメキシコなど核兵器禁止条約の推進諸国は昨年に続き棄権している。核兵器禁止条約に言及しないばかりか、過去のNPT合意文書にある核軍縮の表現を大幅に薄めているからだ。
昨年の日本決議はこうした核兵器国へのすり寄りが厳しく批判され、賛成を大幅に減らした。そこで今年は少し核軍縮の言及を復活させた。すると今度は米仏が拒絶した。米国は、NPT第6条(核軍縮)や過去のNPT合意への言及を嫌ったという。これらの条文や合意じたいを拒絶するようではNPT体制の信頼性が揺らぐ。開き直る核兵器国へのすり寄りは危険だ。(川崎哲、ピースボート)
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