米国の政策に大きな影響を及ぼしているシンクタンクの多くが、米国政府と軍事企業から多額の資金援助を受けて活動している。米国の上位50のシンクタンクに対して、10億ドル以上もの資金が米国政府や軍事企業から提供されている。――このことを明らかにした国際政策センター(Center for International Policy)の報告書(2020年10月)の要旨を、このたびピースボートが日本語に訳しました。
この報告書によれば、米国政府で最大の資金援助を行っているのは、国防長官府、空軍、陸軍、国土安全保障省、国務省であり、軍事企業で最大の資金援助を行っているのは、ノースロップ・グラマン、レイセオン、ボーイング、ロッキード・マーティン、エアバスの各社です。資金の受領額が多いのは、ランド研究所、新アメリカ安全保障センター、新米国研究機構の3組織です。
シンクタンクの多くはこうした資金受領について情報公開しておらず、「利益相反」が隠されている可能性があると、報告書を執筆したベン・フリーマン氏は指摘しています。米国防総省や軍事企業から出資を受けたシンクタンク所属の専門家が、議会証言や調査研究で、防衛費の増額や武器売却の必要性を宣伝する可能性があるからです。この報告書は、結論として、シンクタンクが資金援助元に関する情報を公開することを法的に義務づけるべきだと勧告しています。
要旨の日本語訳はこちらのリンクからよむことができます。
シンクタンクと軍事企業のつながりについては、ICANが、核兵器製造企業からシンクタンクへのお金の流れを明らかにしています(こちらをご参照ください)。
日本においても、武器の購入や兵器の研究開発の必要性を訴える”専門家”や彼らが所属している組織が、どういうところからお金をもらっているのか、注目していく必要があるでしょう。
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