川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

核兵器禁止条約あるある(FAQ) その1「我が国はアプローチが違う」

Q1.なぜ日本政府は核兵器禁止条約に署名・批准しないのですか?

A1.核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約は、核抑止力を否定するものです。米国の核抑止力がなければ、日本の安全が保てません。

Q2.「日本や米国には核兵器による抑止力が必要だ。でも北朝鮮は完全に非核化すべきだ。」核兵器を持っていい国と悪い国がある、という議論は通用しないのではないですか。

A2.核不拡散条約(NPT)体制は、核兵器の保有が許される国を5カ国(米ロ英仏中)に限定し、その他の国々の核保有を禁じています。世界はこのルールを守るべきであり、北朝鮮はNPTに戻るべきです。

Q3.しかし、ある国に核兵器保有の正当性を認めたら、他の国も「我々も持ちたい」と考えるのではないですか。実際、NPTがありながら、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮など、核保有国は増えてきましたよね。

A3.たしかにNPTには問題もあります。しかし、核不拡散はおおむね機能してきましたし、核兵器国は核軍縮の義務を負い、それを履行してきました。

Q4.NPTの下で核兵器国が核軍縮を行ってきたといいますが、冷戦終結から約30年たつというのに、いまだに世界には1万4000発以上の核兵器がありますよね。冷戦時代と同じように、即時発射態勢に置かれた核兵器も少なくありません。核兵器国の核軍縮努力が十分だったといえますか。

A4.たしかに核兵器国の核軍縮には不十分な面もあります。しかし、だからといって、核兵器国との対立をいたずらに煽ることは、核軍縮にとってプラスであるとは思えません。核兵器禁止条約ができたことで、核兵器国と非核兵器国の溝が深まっています。

Q5.ですが、核兵器国の善意と自発性に頼っていて、果たして核兵器の廃絶が達成できるのですか。広島・長崎への原爆投下から73年もたっているのですよ。それでまだ1万4000発ある。核兵器禁止は時期尚早といいますが、いったいいつまで待てというのですか。

A5.粘り強くやるべきです。日本政府は、米国など核兵器国の協力も得ながら、粘り強く核兵器廃絶を求めています。日本提出の国連総会決議は、じれったいと思われるかもしれませんが、そのようなアプローチにより、核兵器国の賛同もえて、多くの国に支持されています。

Q6.しかし日本提出の国連総会決議は、核兵器国の賛同をえることが自己目的化して、過去のNPT会議の核軍縮合意の文言を薄めたり弱めたりしているではないですか。核兵器国による核軍縮の約束を弱める役割しか果たしていないではないですか。

A6.現実問題として核軍縮というのは、核兵器国が実施しなければならないことです。核兵器国が拒絶しているものを無理矢理やらせようといったって、無理があります。

Q7.しかし今年の場合、米国は、NPTにおける核軍縮の義務を定めた条項(第6条)に言及することも嫌だといって、日本決議に賛成しませんでした。核兵器国の協力を得るといいつつ、賛同を得られていないじゃないですか。

A7.確かに今年米国は棄権しましたが、核兵器国として英国1カ国は賛成しました(汗)。 核兵器国は、自らが約束してきたはずの核軍縮を実行できない理由として、「安全保障環境が厳しい」ことを挙げています。実際、国際的な安全保障環境は厳しい。その点はある程度理解しなければなりません。

Q8.「安全保障環境が厳しい」からといって核軍縮をしなければ、核兵器の脅威は減らず、結局「安全保障環境は厳しい」ままで、何も状況は改善しないのではないですか。

A8.実際に国際的な安全保障環境が厳しいことは事実です。それは、日本を取り巻く環境についてもそうです。

Q9.「国際的な安全保障環境が厳しい」から、核軍縮は進められないし、核兵器禁止条約は支持できない、ということなのですか。

A9.我々は「安全保障環境が厳しい」ということを、核兵器国が核軍縮をしない口実として認めるつもりはありません。

Q10.そもそも日本は、核兵器廃絶を求めているのですか?国際的な安全保障環境が厳しい以上、核抑止力は手放せない、というふうに言っていったら、日本も米国も北朝鮮も、核兵器を手放せませんよね。核兵器なくす気、あるんですか。

A10.日本は、唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界を求めています。それは確かです。しかし、核兵器廃絶という崇高な理想があろうとも、現実の安全保障環境が厳しい限り、粘り強いアプローチで進んでいくしかないです。核兵器禁止条約は、最終ゴールであっても、今日日本が参加できるものではない。

Q11.では、核兵器禁止条約を最終ゴールとして、そこに至るまでに、日本は、どうやって核抑止力への依存を減らしていくつもりなのですか。報道では、米国が核兵器の先制不使用政策を検討していたときに、日本政府はそれに反対したと言われていますね。

A11.今日の日本を取り巻く安全保障環境を現実的に考えると、核兵器の先制不使用という政策によって日本の安全が保たれるかどうかは、疑問無しとしません。

Q12.核兵器の先制不使用にも反対だったら、どうやって核兵器をなくすんですか。

A12.粘り強く、核兵器国とも協力しながら、一歩ずつ進めてまいる所存です。

Q13.ほんとうに核兵器をなくすつもりがあるのですか。

A13.核兵器のない世界という究極の目標に向かって、粘り強く一歩ずつ進めていくのが我が国のアプローチです。

・・・というようなやりとりを何十年も繰り返した結果、この人たちの言うことを真に受けていたらいつまでたっても核兵器はなくならない。だから、核兵器は「絶対悪」であるという規範を作ることにより、核軍縮に新たなムーブメントを起こさなければいけないと考え、私たちは2007年にICANを結成し、行動し、昨年核兵器禁止条約を作り上げたのです。

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This entry was posted on 2018/12/02 by in Uncategorized.
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