被団協新聞の10号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。
核兵器国による報告
NPT再検討会議で議論されたことの一つに、核兵器国による報告の問題がある。2010年の再検討会議での合意事項の一つで、核兵器国が核戦力や核物質の保有量やその削減状況を報告する。核軍縮を口約束に終わらせないための措置で、日本政府が重視する「透明性」にも資する。
その後核兵器国は報告書を出すようになったが、書式や頻度は決められていない。各国が好き勝手にやっている。そこで標準書式を作ろうとなり、2015年の再検討会議では具体的な提案が出た。だがそのときも今回も会議は決裂し、決定までこぎ着けなかった。
今年の最終文書案に残ったのは標準書式を作る作業を「さらに続ける」という言葉だった。結局、報告をすることが決まってから12年経って書式一つできていないのだ。核兵器国は核軍縮の入り口の、さらに入り口で足踏みしたままだ。(川崎哲、ピースボート)
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