被団協新聞の4月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。
イギリスの危険な決定
英ジョンソン政権は3月、新しい外交安保政策で、保有核弾頭数の上限引き上げを発表した。同国は昨年6月現在195発の核弾頭を持っている。これを20年代半ばまでに180発以下にすると公約してきたが、今回これを撤回し、保有上限を260発にするというのだ。4割以上の引き上げである。イギリスはこれまで5核兵器国の中ではもっとも誠実に核軍縮に取り組んできただけに、驚くべき方針転換である。
脅威として名指しされたロシアや中国が反発して同様の行動を取れば、世界規模で核軍拡競争を助長しかねない。グテーレス国連事務総長も憂慮を表明している。NPT第6条の核軍縮義務や過去の再検討会議合意に違反していることは明らかであり、8月のNPT再検討会議でどう説明するのかが注目される。日本政府はきちんと憂慮を伝達し説明を求めるべきだ。(川崎哲、ピースボート)
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