被団協新聞の12月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。
過去の合意はどこへ?
今年の国連総会第一委員会で日本が提出した決議案は、米ロに核削減を求めず、核兵器の非人道性について「深い憂慮」の表現を削除するなど後退が甚だしいものだった。だが最大の問題は、過去のNPT会議での核軍縮合意への言及をほとんどなくしたことだ。かわりに「未来志向の対話」を掲げ、核軍縮と安全保障の関係を議論しようという。
核軍縮が諸国の安全保障に資するという議論なら結構だ。しかし往々にしてこれは、安全保障環境が悪いから核軍縮はできないという言い訳に使われる。米国が提唱する「核軍縮の環境作り」にもそのような含意がある。
核軍縮はNPTが定める法的義務であり、環境が整ってからやればよいというものではない。来年の再検討会議を前に核兵器国に義務履行を求めるべきところ、逆にそれから逃れる助け船を出すかのような決議だ。(川崎哲、ピースボート)
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