被団協新聞の3月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。
核軍縮はどこへ行く?
米国がINF(中距離核戦力)条約離脱を宣言し、同条約は8月に失効する見通しだ。米国の動機はロシアの条約違反や中国の核戦力だと言われる。だが自ら条約を破棄したことで、もはやロシアの違反を主張できなくなった。中国を巻き込んだ新条約をとの声もあるが、中国への誘因はなく実現見通しはない。
冷戦後の米ロ核軍縮の二本柱は、戦略核を減らすSTARTと、中距離核全廃のINF条約だった。その一本が破棄された。これで21年に期限切れを迎えるSTARTが更新されなければ、冷戦後初めて、米ロが核軍縮の具体的な法的義務を負わない状態となる。
NPT第6条の核軍縮義務はどうなるのか。米国は昨年来、核軍縮の「条件創出」を提唱し始めた。いわば、安全保障面での条件が整わなければ軍縮できないという言い訳だ。核軍縮そのものが雲散霧消の勢いだ。(川崎哲、ピースボート)
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