7月30日付で河出書房新社からエリック・シュローサー氏の『核は暴走する』上・下巻が出版されます。これは、『ファストフードが世界を食いつくす』(2001年)で知られる米国のジャーナリスト、シュローサー氏が2013年に出版した『Command and Control』(指揮と統制)の日本語版です。布施由紀子さんによる翻訳。核兵器の事故の危険性に焦点を当てた大作です。シュローサー氏のこの本は、核兵器の非人道性に関する国際的な議論と核兵器禁止条約の交渉開始に大きな影響を与えました。そのような背景もあり、私は下巻の最後に「解説」を書かせていただきました。
はっきり言って、すごく高くてとても長い本です。上下巻各3900円(税別)、上下合わせて700ページ以上あります。ですので、個人で買って読むのはなかなか大変かもしれません。しかし、学校や図書館に備え付けをお願いするなどして、一人でも多くの人に読んでほしい本です。
“「核抑止」という安全神話の実態を暴く”と題した私の「解説」の一部が、この本の「帯」のところに引用されています。それを引用しましょう。
「本書は、アメリカの核兵器にまつわる事故の実例を膨大な調査により明らかにし、核のリスクを生々しく描いた戦慄の報告であり、警告の書である。(中略)米ソ両国が核兵器で互いを抑止し、その恐怖の均衡によって核戦争は回避されたというのが、『冷戦』の一般的な解釈である。しかし本書が示しているのは、核爆発寸前の事故が各地で起きていたという現実だ。世界が核戦争を免れてきたのは、ほかでもなく、幸運によるものだった。」
核兵器禁止条約なんて意味がない、ICANなんて理想論で現実的でない、現実には核廃絶なんて無理だ、核兵器でバランスをとるのが現実的な安全保障だ・・というふうに考えている人に、是非読んでもらいたいです。
Pingback: 地球倫理:Global Ethics