川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

広島・長崎の平和式典

広島・長崎での平和記念式典への参列や、さまざまなイベント開催を終えて、東京に戻りました。 このかん、イスラエルを平和記念式典に招待するかどうかという問題、そしてそれに対する米国をはじめとするG7諸国の対応という問題について、多くの報道がありました。この問題について、私もいろいろと発言しましたが、その報道等を以下にご紹介します。8月9日に公開されたデモクラシータイムスの番組(約70分)では、この問題について、そもそも平和式典というものがどのようなもので、どうあるべきかということについて、私の考え方をたっぷりとお話ししています。 X(ツイッター)の投稿:https://twitter.com/kawasaki_akira/status/1821142399751745806 毎日新聞(8月6日付):「ロシアを招かず、イスラエルは招いた広島の平和式典 その理由と評価」https://mainichi.jp/articles/20240806/k00/00m/040/310000c Japan Times(8月8日付):Nagasaki peace ceremony overshadowed by diplomatic wranglinghttps://www.japantimes.co.jp/news/2024/08/08/japan/nagasaki-ceremony-suzuki/ Asia Times(8月9日付)Pro-Israel G7 ambos boycott Japan A-bomb ceremonyhttps://asiatimes.com/2024/08/pro-israel-g7-ambos-boycott-japan-a-bomb-ceremony/ 朝日新聞(8月10日付):「大使ら欠席の背景に「許した」の誤解 ICAN川崎さんが感じた変化」https://digital.asahi.com/articles/ASS894CJMS89PTIL016M.html デモクラシータイムス(8月9日公開):G7大使「長崎」ボイコット 政治利用される平和の式典

2024/08/11 · Leave a comment

『平和研究』に投稿しました――「軍事力への依存から脱却するために」

日本平和学会のジャーナル『平和研究』第62号に「軍事力への依存から脱却するために」と題して投稿しました。こちらで読むことができます。これは、2023年6月に奈良大学で開かれた日本平和学会2023年度春季研究大会の部会(写真▲)における、平和構想提言「戦争ではなく平和の準備を」をベースにした報告と討論に基づく論考です。このたび地平社から出版された青井未帆さんとの共編著『戦争ではなく平和の準備を』の問題意識とも重なるものです。世界の分断が深まり軍拡が進む中で、軍事力に依存しない安全保障を考える一助になれば幸いです。 日本平和学会『平和研究』第62号(2024年7月)所収川崎哲「軍事力への依存から脱却するために」 (抄録) 日本政府は、2022年12月に閣議決定した国家安全保障戦略など安全保障3文書をもとに「防衛力の抜本的強化」へと突き進んでいる。憲法9条の下での「専守防衛」政策は本質的に転換された。戦後約80年が経ち、軍事的「抑止力」を肯定する意識はかなり主流化した。本稿では、そこにみられる軍事力中心主義を批判的に検証し、それから脱却するための視点を探る。 筆者が共同座長をつとめる「平和構想提言会議」(2022年10月発足)が出してきた提言や関連の声明を踏まえ、まず軍事力増強が戦争のリスクをむしろ高めることを指摘する。そして、東アジアで戦争が起きたらどうなるかを論じ、それを回避するための軍縮と緊張緩和、信頼醸成の必要性を説く。 軍事力そのものへの根本的批判として、(1) 軍拡競争と安全保障のジレンマ、(2) 軍拡の機会費用、(3) 抑止と威嚇の関係、(4) 人権と民主主義、(5) 軍事力が問題を何ら解決しないといった論点を挙げる。 そこからの脱却には、第一に防衛・安保政策の決定プロセスの民主化、第二に東アジアの信頼醸成のための対話、第三に平和的生存権や紛争の平和的解決といった原則の復権が必要である。 世界を「西側」対「それ以外」の二項対立でとらえ、日本が米国との「同盟強化」一辺倒で進むのは危険である。アジア近隣諸国や非同盟諸国との連携を強め、市民社会が参加する多元的な安全保障を追求すべきである。

2024/07/27 · Leave a comment

単行本『戦争ではなく平和の準備を』が出ます

平和構想提言会議が2022年12月に出した提言「戦争ではなく平和の準備を―”抑止力”で戦争は防げない」を基にした単行本が地平社から出ます(7月29日出版)。同会議の事務局をつとめる平和構想研究会の研究会合でこれまで報告をされてきた皆さまを中心に短期間で執筆していただき、学習院大学教授の青井未帆さんと私の共編という形でとりまとめをさせていただきました。平和構想提言会議のこれまでの提言と声明は、全文を掲載しています。 また、9月6日(金)午後4時~6時に、衆議院第二議員会館にて、本書の出版を記念するシンポジウムを開催する予定にしております。詳しくはまたご案内いたします。 ================(以下、地平社のサイトより)================ 戦争ではなく平和の準備を 加速する戦争準備に抗うための論集。軍事費の大幅な増加や、さらなる米軍との一体化など、政府は急速に「抑止力の強化」=軍拡を進めている。 「安全保障環境の変化」がその口実だが、軍拡がさらなる軍拡をもたらし、「安全保障環境」を自ら悪化させてはいないか。 戦争への準備そのものが、戦争のリスクを増やしているのではないか。 そして、だからこそ、私たちは憲法によって、政府が戦争に備えることを禁じたのではなかったか。 戦争ではなく平和を構想していくために、気鋭の研究者や専門家が論点を掘り下げる。 著・編者:川崎 哲/青井未帆2024年7月29日発売四六判並製、256ページ、1800円(税別)地平社 もくじはじめに――〈侵食〉に抗する粘り強い思考を(青井未帆)第1章 いま、なぜ市民の平和構想が必要なのか(川崎 哲)第2章 戦争準備と沖縄(池尾靖志)第3章 「対米従属」の現在地(猿田佐世)第4章 変容する日本の国際援助(今井高樹)第5章 軍事費増大の構造と歴史(山田 朗)第6章 ジェンダーの視点から軍拡を考える(秋林こずえ)第7章 「死の商人国家」への堕落をどう食い止めるか(杉原浩司)第8章 平和学は平和の実践とどうつながるのか(堀 芳枝)第9章 平和のアジェンダを再設定する(君島東彦)第10章 【提言】戦争ではなく平和の準備を    【声明】「戦争の時代」を拒み、平和の選択をおわりに 平和への議論の共有を(平和構想研究会) 著・編者について川崎 哲(かわさき・あきら)ピースボート共同代表。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員。平和構想提言会議共同座長。著書に『核兵器 禁止から廃絶へ』(岩波ブックレット)など多数。平和構想研究会代表。青井未帆(あおい・みほ )学習院大学大学院法務研究科教授。専攻は憲法学。平和構想提言会議共同座長。著書に『憲法を守るのは誰か』(幻冬舎新書)、『憲法と政治』(岩波新書)など多数。 詳細:https://chiheisha.co.jp/2024/07/12/9784911256114/

2024/07/18 · Leave a comment

『世界』8月号――「戦争をやめ、核兵器禁止条約に参加せよ」

岩波書店『世界』8月号(7月8日発売)に、「戦争をやめ、核兵器禁止条約に参加せよ」と題する文章を寄せました。 現在の世界の核兵器をめぐる情勢、岸田政権の核軍縮政策の批判的検討、核兵器をなくす日本キャンペーンの発足、そして、NPT準備委員会、核兵器禁止条約第3回締約国会議、さらに被爆80年への課題を整理しています。 詳しくは、こちらから▼https://www.iwanami.co.jp/book/b649447.html

2024/07/07 · Leave a comment

『地平』8月号に平和構想研究会の論文と座談会が掲載されました

先月創刊された地平社の月刊誌『地平』の8月号(7月5日発売)に、 「加速する戦争準備と溶解する立法府」と題して、 今年の通常国会会期中に行われた安全保障関連の立法や政策発表をまとめた論文を平和構想研究会として発表しました。 そして、その内容に関連して、猿田佐世さん、杉原浩司さんと私の座談会「平和への市民側の課題をめぐって」も掲載されています。 これは同誌・同号における「戦争準備への対抗」という特集の一環で、このほかに、前田哲男さん「米軍従属の到達点――統合作戦司令部の本質」、海渡雄一さん「経済秘密保護法は何が問題か」などが掲載されています。 詳しくは、こちらから▼https://chiheisha.co.jp/2024/06/27/chihei8/

2024/07/06 · Leave a comment

原爆国際民衆法廷のためのフォーラムで発言しました

6月7日から8日にかけて、原爆国際民衆法廷のための第2回国際討論会が広島国際会議場で開かれています。原爆国際民衆法廷とは、米国による原爆投下の違法性を裁こうというもので、韓国の被爆者と彼らを支える韓国の市民団体(SPARK)が2026年の開催に向けて準備しています。詳しくは、6月2日付の毎日新聞の記事(こちら)をご参照ください。初日(6月7日)は、民衆国際法廷開催に向けた国際組織委員会を作るためのパネル討論が行われ、私も招待されて発言しました。ピースボートも核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)もその国際組織委員会には入っていませんが、私は、この取り組みに対する問題提起として、以下のような内容の発言をしました。(発言は英語で行いました。原稿はこちら(English text here)。以下の日本語はその概要です。韓国語訳はこちら) 原爆国際民衆法廷のための第2回国際討論会国際組織委員会を作るためのパネル討論における発言 主催者の皆様に対して、この重要な取り組みに感謝を申し上げるとともに、発言の機会をいただいたことにも感謝いたします。 1945年8月の米国による原爆投下の違法性を裁く民衆法廷の取り組みは、広島や長崎の被爆者とともに核兵器の非人道性を訴えてきたピースボートの活動や、核兵器禁止条約の普遍化を求めるICANの活動と、多くの面で重なり合います。 その一方で、民衆法廷の取り組みに対しては、市民運動の観点から、いくつか乗り越えなければいけない課題があるとも感じています。学術的、法的観点というよりも、政治的あるいは社会的観点からです。 第一に、この民衆法廷は、米国による原爆投下の責任を問うことが主眼ですが、この取り組みにおいて、日本政府の責任をどう問うていくのかという問題です。 日本の被爆者運動は、1950年代以降、一貫して、日本政府による被爆者への国家補償と、核兵器廃絶の2本柱の要求を掲げてきました。それは、日本政府には戦争を開始した責任があると考えるからです。 実は、この国家補償の要求は、いまだに実現していません。日本には、被爆者に対する医療や手当など様々な援護施策があります。しかしそれらはあくまで社会サービスであって、法的な賠償ではないというのが政府の考え方です。これではダメだと、今日でも、日本の被爆者は要求を続けています。 韓国の被爆者の皆さんは、米国による原爆投下の被害者であると同時に、日本の植民地支配の被害者でもあります。日本政府の責任をどう扱うのかという問題を今一度議論する必要があるのではないでしょうか。 もちろん、日本政府の責任を棚上げにして、米国の犯罪行為を追及することに集中するというのも、一つの運動論としてはありえます。そのようなキャンペーンは、日本でも多くの支持を集める可能性があります。しかしそれは同時に「第二次世界大戦における被害者は日本だったのだ」というような意識を広げ、日本のナショナリズムを誤った形で助長する危険性を持ちます。私はこれを、あえて危険性と呼びます。このような日本のナショナリズムは、このアジアにおいて戦争を繰り返させないという私たちの共通の願いにとって、逆効果となる可能性があるからです。 いずれにせよ、日本の被爆者も、韓国の被爆者も、等しく米国による原爆投下の被害者です。ですので、韓国の被爆者の皆さんが民衆法廷の取り組みを進めるにあたっては、今後、日本の被爆者団体との綿密な協議が必要になると思います。 第二に、1945年の原爆投下の違法性を問うことと、今日の核兵器廃絶の取り組みの関係についてです。 原爆投下の犯罪性を議論することは、今日における核抑止論の不当性を明らかにすることに繋がります。 一方で、例えば米国の指導層の議論を見たときに、原爆投下はやむを得なかったが、今日においては核兵器は不要であり、その危険性に鑑みて廃絶すべきであるという議論があります。このような考え方の人々を、核兵器廃絶運動にとって仲間と見るのか、説得して改心してもらうべき相手と見るのか、という問題があります。 8年前、米国の現職大統領として初めて広島を訪れたバラク・オバマ氏に対して、広島は謝罪を求めるのか、求めないのかという論争がありました。これは極めて複雑な思考と感情が入り混じった論争になりました。結果、広島は公式には謝罪を求めませんでしたし、オバマ氏ももちろん謝罪はしませんでした。それでも彼が広島を訪れて、核兵器廃絶の目標を語ったことはプラスに評価できるという見方が、私の理解する限り、多数派です。しかし、本当は謝罪してほしかったという気持ちを持っている人も、決して少なくありません。 原爆投下の違法性とそれへの謝罪を重点に置いた運動は、こうした被爆地の複雑な世論にどう向き合っていくのかを考える必要があります。 第三に、2021年に発効した核兵器禁止条約との関係です。この条約には、核兵器の使用・実験による被害者を援助するという規定があります。来年の第3回締約国会議に向けて、被害者援助のための国際信託基金を作るという議論が進行中です。 この条約での被害者援助の規定は、条約締約国に核被害者が生活している場合に、第一義的にはその締約国政府が彼らを援助をする義務を負うというものです。その上で国際協力の制度を作り、当該政府を国際的に支援しようというものです。 例えば韓国がこの条約に入ったならば、韓国政府は、自国内にいる被爆者を支援する法的義務を負うことになります。 なぜ、核兵器を使用・実験した国に直接責任を問わないのか、と疑問に感じる方がいるかもしれません。しかし、このような仕組みの方が現実的なのです。核兵器を使用・実験した国は、このような条約に進んで入ってくることはしません。そこで、彼らが入ってくるのを気長に待つのではなく、目の前に被害者がいる以上まず救済しよう、そのために国際社会が協力しようというアプローチです。核兵器を使用・実験した国には、その国際協力への参加を求めていきます。 被爆者も、核実験の被害者も高齢化しています。彼らを現実的に救済する制度づくりに、いま国際的な期待が高まっています。 米国に補償を求めていくという民衆法廷の運動が、こうした核兵器禁止条約の取り組みとどのように関係を築いていくのかという点も、今後議論が必要だと思います。 ご清聴ありがとうございました。 川崎哲(ICAN国際運営委員、ピースボート共同代表)2024.6.7 英語原稿はこちら(English text here)韓国語はこちら

2024/06/07 · Leave a comment

参議院の外交・安保調査会でFMCTについて意見陳述しました

本日(2024年2月21日)、参議院「外交・安全保障に関する調査会」(会長:猪口邦子参議院議員)で「FMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉開始への取組と課題」をテーマにした会合が開かれ、私は3人の参考人の1人として出席しました。 FMCTとは、核兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウランやプルトニウムなど)の生産を禁止する条約で、その交渉開始に向けた取組が1990年代から続いています。岸田首相は、核兵器禁止条約については昨年末の締約国会議へもオブザーバー参加を見送るなど消極的な姿勢ですが、FMCTについては積極的で、昨年9月の国連総会ではハイレベル会合を開催するなどしています。こうした政府の姿勢も背景に、この度、FMCTに焦点を当てた調査会の会合が開かれる運びとなりました。 私は、秋山信将一橋大学大学院法学研究科教授と阿部達也青山学院大学国際政治経済学部教授に続いて、3人目の参考人として20分間の意見陳述を行い、その後、与野党の国会議員からの質疑に答えました。この会合の様子は、参議院のインターネット審議中継のページから「外交・安全保障に関する調査会」「2024年2月21日」で検索すると、動画で見ることができます。 私の意見陳述の内容は、以下の通りです。以下は準備原稿で、多少言葉遣いを変えたところがありますが、ほぼこのまま発言しました。また、配付資料は、以下の通りです。配付資料 こちら(PDF)別紙資料 表4 分離プルトニウム・高濃縮ウラン保有総量 表5 分離プルトニウム・高濃縮ウラン保有マップ いずれも出典は長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) <以下、意見陳述原稿> 参議院「外交・安全保障に関する調査会」2024年2月21日21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~「FMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉開始への取組と課題」川崎哲 はじめに 猪口会長、委員の皆さま、本日はこのような機会をいただきありがとうございます。 私は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に集う世界中の仲間たちや、広島・長崎の被爆者の皆さんと協力しながら、核兵器廃絶のための活動を続けてきました。2017年7月、核兵器を非人道兵器と断じ、その開発、保有、使用を全面的に禁止する核兵器禁止条約が採択されました。同条約が2021年1月に発効してから3年が経ち、締約国または署名国として加わっている国の総数は97カ国に上っています。 しかし、表1にあるように、未だに世界では9カ国が合計1万2000発以上の核兵器を保有しています。冷戦終結以降、核兵器の総数は減少し続けてきましたが、近年、現役の核弾頭数はむしろ増加に転じています。提案されているFMCTは、核兵器の材料物質の生産を禁止し核軍拡を止めることが、その最大の意義です。FMCTをめぐる課題について、私自身がその成立に関わってきた核兵器禁止条約との関係に触れながら、意見を述べたいと思います。 1,FMCTとは何のための条約か まず、FMCTとは何のための条約であるかについてです。 表2をご覧ください。FMCTは、核兵器を規制・禁止するさまざまな国際的取り組みの中の1つに位置づけられます。今日、全世界的な規範を作るための多国間条約としては、NPT(核兵器不拡散条約)、CTBT(包括的核実験禁止条約)、そしてTPNWとも称される核兵器禁止条約が存在します。 このうちNPTは、新たな核保有国の出現を防ぐ核不拡散については厳しく規定していますが、核保有国による核軍縮については一般的な、甘い規定に留まっています。そこでNPTが1995年に無期限延長される際に、具体的な核軍縮措置として、核実験を禁止するCTBTと、核兵器の材料物質の生産を禁止するFMCTの2つが、優先課題として合意されました。 そのうちCTBTは、ジュネーブ軍縮会議で交渉され、1996年に採択されました。一方のFMCTは、未だ交渉開始に至っておらず、その見通しも立っていません。 その一方で、核兵器禁止条約は、1997年にNGOによるモデル案が示され、2010年以降機運が高まり、2017年に交渉のうえ採択され、今日では世界の約半数の国が参加するに至っています。 表3をご覧ください。これら多国間条約の基本的な対比を示しています。  FMCTが規制しようとしているのは、核兵器の材料物質、すなわち高濃縮ウランとプルトニウムです。これらの核分裂性物質を核兵器目的で生産することを禁止しようというものです。1995年にジュネーブ軍縮会議で「差別的でなく、多国間の、検証可能な」FMCTを交渉するという基本的な構想が示されました。 これに対して、これら核分裂性物質の将来の生産のみを禁止するのか、それとも既存の核分裂性物質も規制の対象に含めるのかという論争が続いてきました。 将来の生産だけ禁止し既存の物質を対象にしなければ、当然、これまで多くの核分裂性物質を生産し貯蔵してきた核保有国に有利に働くことになります。 こうしたことから、南アフリカなど非同盟諸国を中心に、多くの国が、既存の貯蔵分も対象に含めることが核軍縮にとっては不可欠であると主張しています。 実はCTBTにも、同じように、先に核保有国となった国と、後進の核保有国の格差という問題があります。すなわち、米国のように既に多くの核実験を行った国が、他の国々が新たに核実験を行うことをとめるという性格があるわけです。 つまり、CTBTやFMCTは、核軍縮のための措置と言われますが、同時に、新たな核保有国の出現の防止という「核不拡散」の側面や、後進の核保有国の活動を制限するという「垂直拡散の防止」という側面があるのです。  日本政府は、名指しこそしないものの、中国の核軍拡を封じるという観点を中心に置いて、FMCTを促進しているように見えます。 ヒロシマ・アクション・プランにおいても、昨年のG7広島サミットにおいても、中国を念頭に核戦力の透明性の必要性を強調し、その文脈の中で、FMCTの交渉開始を呼びかけています。 しかし、NPTが世界を「5つの核兵器国」と「それ以外の国」に分けたように、FMCTが新たな差別構造を持ち込むような形で作られるならば、それは国際的な支持を得られません。  ジュネーブ軍縮会議においては、パキスタンが「既存の貯蔵分を含めないFMCTは差別的だ」と主張して、ほぼ1カ国のみで議論をブロックし続けてきました。そのパキスタンは核保有国であり、年々、核兵器を増産し続けています。 皮肉なことに、「不平等なFMCTには反対だ」というパキスタンの主張は、その不平等を埋めんとばかりの同国の核軍拡を許す結果につながってきたのです。 中国も「最大の核保有国である米ロがまず核軍縮をして初めて、他の核保有国も核軍縮プロセスに参加できるようになる」と主張しています。中国の核軍備増強は懸念されるところですが、それでも総数において米ロとは一桁異なります。米ロにおける核軍縮の停滞は、結果的に中国の核軍拡を許すことにもつながっています。 したがって、FMCTをめざすのであれば、それが核保有国間の格差を固定するためではなく、核不拡散のためだけでもなく、あくまでその目的が「核兵器のない世界」をめざした核軍縮にあることを明確にしなければなりません。そして、すべての国に対して普遍的に規制をかけるものにしなければなりません。さもなくば信頼を得られず、結局、実効性も持ち得ないでしょう。 2,核兵器禁止条約とFMCT さて次に、核兵器禁止条約とFMCTの関係についてです。 2017年の核兵器禁止条約によって、核兵器の開発や生産は全面的に禁止されました。核兵器の材料物質の生産は、同条約の下で既に禁止されていると解釈できます。したがって、核兵器禁止条約の締約国は、FMCTに入るまでもなく、核兵器の材料物質の生産を禁止されていることになります。 それゆえ、日本はまずもって核兵器禁止条約に加わり、他国に対してもそのことを促せばよいと考えられますが、政府はそのようにはしていません。このことの妥当性について国会議員の皆さんにはよく考えて、審議していただきたいと思います。  しかし、それはさておき、核兵器禁止条約が既に存在する上で、さらにFMCTを作るとしたら、どのような意義があるかについて考えたいと思います。 一つには、核分裂性物質に焦点を当てて、技術的な検証を含む精緻な禁止と規制を行うというところに意義があります。 もう一つは、核保有国が加わる可能性があるということです。核兵器禁止条約には、現在核保有国は1カ国も加わっておらず、近い将来加わる見通しも、残念ながらありません。これに対して、新たにFMCTを作り、そこに核保有国が一定程度加わる見通しが立つのであれば、それには意義があると言えるでしょう。 3,核分裂性物質の禁止と規制 ここで、核分裂性物質の禁止や規制のあり方について考えたいと思います。 FMCTについて、将来の生産禁止だけではなく既存の貯蔵分も規制対象に含めるかという論点があることは、既に述べたとおりです。真に核軍縮に資するFMCTにするためには、核保有国が、既存の貯蔵分を核兵器の維持や近代化に使うことに対しても規制をかけることが必要です。 それに加えて、明示的に核兵器目的とされていなかったとしても、核兵器に利用可能な物質であるならば規制対象にすべきではないかという論点があります。 例えば今日、中国が民生用として開発している再処理施設等が核兵器目的に使われる可能性が指摘されています。こうした懸念を背景に、G7サミットでの核軍縮「広島ビジョン」には「民生用プログラムを装った軍事用プログラムのためのプルトニウムの生産または生産支援のいかなる試みにも反対する」と記されました。 「民生用」とされていても、高濃縮ウランやプルトニウムは本質的に核兵器に利用可能です。したがって、それらの生産や保有を適切に規制しない限り、抜け穴となってしまいます。  過去を遡れば、1991年の朝鮮半島非核化共同宣言は、南北両国が核兵器を持たないとうたうにあたり、両国とも「再処理施設とウラン濃縮施設を持たない」と定めました。そうすることで、非核化に実効性を持たせようとしたのです。 また、2014年にハーグで開かれた核セキュリティ・サミットでは「高濃縮ウランの保有量を最小化し、分離プルトニウムの保有量を最小限のレベルに維持する」ことがうたわれました。 「核分裂性物質に関する国際パネル」や「カーネギー国際平和財団」といった専門家グループからは、プルトニウムの分離は利用目的にかかわらず中止または禁止する、また、高濃縮ウランについては使用を全面的にやめて低濃縮ウランに転換する、といった提言が出されています。  いま世界には約1万2000発の核兵器がありますが、核兵器の材料として使われるおそれのある高濃縮ウランやプルトニウムの量は、表4と表5にある通り、核兵器11万発以上分にも上ります。これらに対する総合的な管理の視点が必要です。 プルトニウムについては、国際原子力機関(IAEA)の下で管理指針(INFCIRC549)が策定されていますが、こうした透明性措置の強化が不可欠です。  表5にある通り、日本は今日、約45トンのプルトニウムを保有しており、その量は核兵器7600発分にも相当します。非核保有国としては突出した量です。もちろんこれはIAEAの保障措置下にありますので、即座に核兵器に転用できるというわけではありません。それでも、計算誤差の問題は発生します。なんと言っても、日本の場合には量が格段に多いわけです。 2018年に政府は、当時の保有量約47トンを上限とし、保有プルトニウムを減らしていくことを公約しました。確実に削減し、国際的疑念を持たれないようにするためには、青森県六ヶ所村の再処理工場の本格稼働を中止することで、これ以上プルトニウムを増やさないようにすることが必要です。 このように、国際的に核分裂性物質への管理を強化していく中では、日本が民生用として進めている核燃料サイクル政策も再検討を迫られていくことは必至です。自国の分は民生用だから大丈夫、しかし他国の分は民生用と言われても怪しい、といった態度は通りません。 4,条約制定プロセスと保有国の関与 次に、FMCTを条約として制定させるプロセスと、そこへの核保有国の関与について考えたいと思います。どのような場で条約を交渉するかという問題です。 これまでジュネーブ軍縮会議での交渉が呼びかけられてきましたが、軍縮会議は全会一致制をとっているので、全ての国が拒否権を持つのと同じことです。今後、軍縮会議で条約交渉が開始できるとは思えません。 1997年の対人地雷禁止条約や2008年のクラスター弾禁止条約は、国連の枠組みを飛び越えて、有志国の外交会議を重ねて成立へとこぎ着けました。  核兵器禁止条約の場合は、第一段階として有志国が核兵器の非人道性に関する議論を重ね、第二段階として核兵器禁止をめざす有志国の誓約を集め、第三段階として国連総会決議を通じて国連の下で交渉会議を行い、条約を成立させました。 この過程では、対人地雷やクラスター弾と同様に、完全に有志国会議で進めるべきとの意見もありました。その方がスピードが速いからです。しかし、将来的に核保有国も巻き込むためには国連という枠組みの下で作るべきだという意見がそれに優りました。私はこれが正しい選択だったと考えています。  今後FMCTを作る場合にどのような制定過程をとるかという問題は、核保有国をどのように巻き込んでいくかと関係します。 核兵器禁止条約の場合は、核保有国がすぐには参加しない条約でも、早く成立させて強い禁止規範をつくることを優先すべきだという考え方の下で、今日の条約がつくられました。その結果、たしかに核保有国は未だ入っていませんが、核兵器の非人道性に関する認識は国際社会に遍く広がりました。 FMCTの場合に、保有国の参加を重視するのか、それとも規範形成を優先するのかということは、重要な論点となります。これは、条約の発効要件とも関係します。  改めて表3をご覧ください。主たる条約の発効要件、発効状況、現在の締約国数、そして核保有国9カ国のうちどこまでをカバーできているかをまとめています。 このうちCTBTは、原子力活動を行っている44カ国が批准して初めて発効するという厳格な定めをしました。その結果、今日に至っても未発効です。こうした状況を踏まえ、核兵器禁止条約の場合には、単純に50カ国が批准すれば発効すると定めました。 一方、CTBTも、未発効だから効力がないということではありません。既に圧倒的多数の国が締約国となっていること、そして、全世界に核実験の監視システムを張り巡らせていることから、実質的に核実験を抑制する効果を発揮しています。  現実問題としては、核保有9カ国全てが最初から参加する条約をつくるということはほぼ不可能ですから、FMCTにおいて何を優先させるかを慎重に検討する必要があります。 条約の交渉が始まっても、先に述べたように、既存の貯蔵分を対象に含めるかどうかといった点で交渉は難航するでしょう。どこまでの内容の条約にするかによって、どの国の参加が期待できるかということも変わってきます。 まとめ 核軍縮の世界では、表2や表3に記したさまざまな条約や制度が組み合わさって「アーキテクチャ」すなわち建造物が作られているという言い方がよくなされます。NPT、CTBT、そして核兵器禁止条約は相互補完的な関係にあり、そこにFMCTをどう組み合わせるのがもっとも効果的かを考える必要があります。 FMCTを通じて核分裂性物質に対する国際的な管理を強化し、その検証制度を作っていくことは、NPTに対しても、核兵器禁止条約に対しても、実効性を高めるために有益です。 いずれにせよ、大前提として、核兵器がいかなる国にとっても許されない非人道兵器であるという基本認識を確認することがたえず求められます。 そのためにも、日本は、核兵器禁止条約に加わる政治的意思を示しつつ、同条約の締約国会議には積極的に参加して、核分裂性物質の生産禁止、管理強化、そしてその検証に向けた実質的な議論を牽引すべきであると考えます。 最後に 最後に一言申し上げます。本日私は、他の参考人の先生方がどなたかを知らされることなく、この役割を引き受けましたが、その後3人とも男性であったことを知り、残念に思っています。近年、核軍縮の世界においてもジェンダーの議論はさかんです。核兵器は女性に偏った被害をもたらす一方で、核兵器をめぐる議論や意思決定の場が男性に依然支配されていることは、大きな問題です。 2022年のNPT再検討会議において、日本は、67カ国による「ジェンダーと多様性、包摂」に関する共同声明に連名しています。猪口会長および委員の皆さまには、今後の調査会での参考人の選定にあたってジェンダーの多様性を重視していただけますようお願いを申し上げて、私の意見陳述を終えます。 ご清聴ありがとうございました。

2024/02/21 · 1 Comment

核兵器をなくすための「日本キャンペーン」を始めます。クラウドファンディングにご協力ください

このたび、「本気で核兵器をなくす」ための大規模な日本キャンペーンを始めることを決め、その立ち上げのためのクラウドファンディングを開始しました。世界には核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)があり、核兵器禁止条約をつくることに成功しました。ならば日本には、核兵器廃絶日本キャンペーンが必要ではないか。核兵器廃絶日本キャンペーンが、核兵器禁止条約に日本が加わることを求める大きなキャンペーンを行い、そしてそれを実現させる必要がある。そう考えたのです。 大事なことは、日本の核兵器禁止条約への参加を「本当に実現する」、そしてそのために「本気を出す」ということです。条約ができてから6年が経ちましたが、政府は背を向けたままです。これに対してただ「入れー」と言っていただけでは、いつまで経っても日本は入りません。日本の署名・批准を実現するためには、政府や国会議員らが無視できないくらいまで世論を大きくすること、そして、政治に力強く働きかけていく必要があります。与野党問わず、すべての政党に働きかけていくことが肝要です。 年に一回、8月の広島・長崎の「原爆の日」の頃にだけ「核兵器廃絶」を語る、というようなことをくり返していても、前には進みません。たえず、くりかえし、強力な世論喚起と政治への働きかけを継続していかなければなりません。そのためには、このキャンペーンに専属で動ける人たちを何名か雇用することも必要になります。核兵器禁止条約が成立して以降、日本の若い世代の間で、このテーマに関心をもって積極的に活動する高校生、大学生、大学院生らがとても増えたと感じています。昨年の核兵器禁止条約締約国会議でも、そうした若者が日本から多数ウィーンに集まりました。私は、こうした人たちの中で意欲ある人たちが核兵器廃絶日本キャンペーンのスタッフとして活動できる状況を作り出したいと考えています。 核兵器廃絶に取り組む日本の多くの団体・個人が集う核兵器廃絶日本NGO連絡会では、昨年来、こうした日本キャンペーンの立ち上げの可能性について議論を重ねてきました。そしてこのたび、同連絡会が母体となった新しい日本キャンペーンを立ちあげることを決め、その立ち上げのためのクラウドファンディングを開始したのです。国際平和デーである9月21日(木)までに1000万円を集めることを目標にしています。7月24日に始め、出だしは順調ですが、1000万円というのはそう簡単に集められる金額ではありません。皆さんお一人お一人のご支援が必要です。どうぞよろしくお願いします。 核兵器廃絶日本NGO連絡会は、2010年から活動を続けています。ピースボートは当初からの参加団体の一つであり、私は同連絡会の共同代表の一人を務めています。世界に核兵器廃絶国際キャンペーンがあり、日本に核兵器廃絶日本キャンペーンがある状況が生まれれば、世界における核の脅威のこれ以上の高まりをおさえ、核兵器を廃絶へと導くための運動がこれまでとは違った次元で展開できるようになるはずです。皆さんのご理解と、あたたかいご協力をお願いします。ご寄付は、是非、今日お願いします。(善は急げ!)クラウドファンディングはこちらからhttps://camp-fire.jp/projects/view/685805 以下、核兵器廃絶日本NGO連絡会からのメッセージです。ぜひ、転送・転載して、広めてください。皆さんのご協力をよろしくお願いします。川崎哲 核兵器をなくすための「日本キャンペーン」クラウドファンディングにご協力くださいhttps://camp-fire.jp/projects/view/685805  本気で核兵器をなくしたい。そのために、日本の核兵器禁止条約への参加を必ず実現したい。そのための大規模な「日本キャンペーン」を立ち上げようと、核兵器廃絶日本NGO連絡会はこのたび、クラウドファンディングを始めました。国際平和デーである9月21日(木)までに1000万円を集めることを目標にしています。 ■日本は核兵器禁止条約へ参加を いま世界には、1万2000発以上の核兵器があります。そして年間10兆円以上のお金が、核兵器のために、世界で費やされています。でも、核兵器をなくすことはできます。核兵器をなくせば、この世界は、今よりもずっと平和で、豊かで、誰もが暮らしやすいものになります。核戦争におびえないで生きられる社会をつくりましょう。 核兵器禁止条約が、すでに、できています。すでに世界の半数近くの国が、この条約に加わっています。それでも、日本は、まだ加わっていません。日本は、核兵器禁止条約に加わるべきです。広島・長崎の原爆被害を経験した国・日本がこの条約に加われば、世界を大きく動かします。核なき世界へと、大きく近づきます。 そのために、日本政府を動かすような、力強い、政治への働きかけが必要です。私たちは、日本政府と、すべての政党の議員たちに、働きかけをしていきます。核兵器をなくすための「日本キャンペーン」を始めます。https://camp-fire.jp/projects/view/685805 ■「日本キャンペーン」が取り組むこと 日本が核兵器禁止条約に参加することが、核なき世界への入り口です。「日本キャンペーン」では、日本の条約参加に向けて、以下のような取り組みを行うことを計画しています。集まったお金は、こうした活動のための諸経費(人件費含む)に充てられます。https://camp-fire.jp/projects/view/685805 【1】国会議員への働きかけ:核禁条約に関する議員向け解説冊子作成 / 全政党要請・勉強会の開 催 / 全議員訪問、「誓約」要請、国会質問の作成協力 / 政党代表者間の討論会開催【2】政府への働きかけ:政府との意見交換会の定期開催 / 国際会議に合わせた対政府要請【3】核兵器禁止条約に関する広報・イベント:核禁条約に関するパンフレットの作成と普及 / 9.26 「核兵器廃絶国際デー」イベント開催【4】「核兵器禁止条約フォーラム」開催:専門家を招いて「核兵器禁止条約に日本が加わる道筋」 を議論 / 反対派、慎重派の声も聞きながら幅広い議論を展開 皆さまのご協力をお願いします。https://camp-fire.jp/projects/view/685805 お問合せ> nuclear.abolition.japan (a) … Continue reading

2023/07/30 · Leave a comment

新刊『僕の仕事は、世界を平和にすること。』が出ました

このたび、旬報社から新しい本を出しました。書名は『僕の仕事は、世界を平和にすること。』。主に10代向けに書きました。中身を自分で説明するのはちょっと恥ずかしいので(自分のことについてたくさん書いている本です)、旬報社さんのホームページにある宣伝文句と本書の目次を以下に貼り付けます。第3章にある「世界を平和にするために 僕が大事だと考える13のこと」は、私なりに自らの活動と人生を振り返って、NGOや平和活動の基本原則13箇条をまとめたものです。「おわりに」では、現在進行中のウクライナ戦争や、今日の世界における軍縮のテーマについての向き合い方を書きました。税込み1,760円です。 川崎哲『僕の仕事は、世界を平和にすること。』旬報社 外交官じゃなくても、国連職員じゃなくても、世界を平和にすることはできる! 「職業:平和活動家」2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の中心メンバーである著者が、平和づくりに体当たりで挑んできた半生を振り返り、一市民として「世界の平和」と向き合うためのヒントを届けます。 目次 はじめに 世界を平和にする仕事 第1章 いま僕がやっていること ピースボートとICANピースボート地球は丸いピースボートのしくみピースボート地球大学世界のことを学ぶステップ国連への提言活動武力紛争の予防日本国憲法九条の意味広島・長崎の被爆者と共にICANと核兵器禁止条約被爆者や市民の役割ノーベル平和賞受賞式国際活動は楽しいけれど、楽ではない原発をどう考えるかNGOとNPO 第2章 僕が「平和」について考えるようになったわけ父と母のこと広島に連れて行っていくれた父中学・高校時代二次方程式の解の公式中国語を学んで中国へ中東・コーカサスへの旅大学で学んだことビルマ民主化運動への支援湾岸戦争が大きなきっかけ外国人労働者とホームレスの支援障害者介助の仕事挫折、NGO、結婚 第3章 世界を平和にするために 僕が大事だと考える13のこと1 まずは日本を飛び出てみる2 国を疑え3 自分も疑え4 自分の意見を表現する5 SNSやメディアとどう付き合うか6 「よい戦争」なんてない7 仲間を増やし、横につながる8 英語はできた方がいい?9 お金は後からついてくる10 現場と政策のあいだを行き来する11 大きな視点をもち、中くらいの目標を立てる12 反対の立場の人と対話する13 活動することと自分の幸せ おわりに 戦争をなくすために 6月19日にピースボートセンターとうきょうで出版記念トークをやりました。そのときの動画です▼

2023/05/28 · Leave a comment