核兵器禁止条約の発効に先立ち1月15日に記者会見を行います
1月22日、核兵器禁止条約が発効します。核兵器が国際法でついに違法化されます。これに先立ち、以下の通り記者会見を行いますので、ご案内します。 2021年1月15日(金)14:00~ 【実施形態】オンライン(Zoomを利用します。開始までにZoomアプリをインストール願います) 【発言】川崎哲 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員/ピースボート共同代表 【内容】1.核兵器禁止条約「発効」の意義2.今後の課題と、ICANおよび日本国内での取り組み3.1月22日前後の国内外でのさまざまな取り組み 【※登録は締め切りました】事前登録された方は、13:55よりZoomに入室可能です。14:00までにお入りください。 【問い合わせ先】ピースボート(担当:松村)pbglobal (a) peaceboat.gr.jp
核なき世界へスタート!
1月22日、ついに核兵器禁止条約が発効します。これを記念して1月23日、東京・広島・長崎ほか各地をつないで全国同時イベント「核なき世界へスタート!」を開催します。オンラインでライブ中継されますので、どうぞこちらからご覧ください。 また、1月22日前後には全国でさまざまな記念行事が開催されます。22日には東京で被爆者が日本政府や国会議員らに核兵器禁止条約への加入を要請し、また、広島や長崎の平和公園でも記念アクションが行われます。こちらのページにこれらの行事の情報をまとめていますので、どうぞ合わせてご覧ください。
[2020.12] バイデン政権の核政策は
被団協新聞の12月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 バイデン政権の核政策は 1月に誕生するバイデン新政権の下で米国の核政策はどう変わるだろうか。バイデン氏はオバマ政権の副大統領としてその核軍縮政策を支えた。とくに核兵器の役割を減らし先制不使用を宣言することを提唱していた。だがこれに強く反対したのが日本だった。日本を含む同盟国が反対しているということが、米政府内で先制不使用を採用しない理由にされたのである。バイデン氏は今回の選挙戦中も先制不使用支持の立場を表明している。 新政権の下で、核の基本政策である「核態勢の見直し」が行われるだろう。その際に同盟国と協議が行われる。そのとき日本は少なくとも先制不使用を支持すべきである。それすらできなければ、オバマ政権時代に続き、日本はまた核軍縮の足かせになってしまう。広島、長崎のような惨劇をくり返さないために、先制使用は望まない。当然のことだ。(川崎哲、ピースボート)
11月24日の誕生日に「議員ウォッチ」へのドネーションをお願いします
11月24日に、私は52才の誕生日を迎えます。そして来年1月22日には、核兵器禁止条約が発効します。 毎年多くの方から誕生日のお祝いをいただけるのはありがたいことです。今年は、誕生プレゼントの代わりに「議員ウオッチ」プロジェクトにご寄付をいただけないでしょうか。 「議員ウォッチ」は、日本の国会議員が核兵器禁止条約に賛同しているかどうかをウォッチするスマホ用のサイトです。いま「Go To ヒジュン!キャンペーン」として、大学生をはじめ多くの皆さんと一緒に「議員ウォッチ」を使って国会議員一人ひとりに働きかけを行っています。日本が核兵器禁止条約に批准するようにするためには、今から1~2年、まずは議員に意識をもってもらい、選挙の争点にもしていくことが重要だと思います。 こちらのボタンで、1,000円から寄付できます。マンスリーサポートは月300円から可能です。決済手数料を除いて全額「議員ウォッチ」プロジェクトに寄付され、「議員ウォッチ」のシステム維持と開発、議員らとの通信や調査経費に使われます。 ご寄付は、こちらから。
[2020.11] NATOも動き始めた
被団協新聞の11月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 NATOも動き始めた 核兵器禁止条約に対して北大西洋条約機構(NATO)諸国や日、韓、豪など米国と同盟関係を結ぶ国はいずれも未署名のままだ。だが最近、NATOで新しい動きが出てきた。 9月、2名の元NATO事務総長や潘基文元国連事務総長など米国の核の傘下国22カ国から計56人の元首脳・元外相らが核兵器禁止条約への支持と加入を求める書簡を公開した。 10月には、ベルギーで誕生した新連立政権が「核兵器禁止条約によって多国間の核軍縮をさらに加速させられるような方法を模索したい」とする政策を発表した。条約への加入を直接意味するものではないが、核兵器禁止条約に前向きに言及するのはNATO加盟国としては初めてだ。 核保有国との同盟国でも核兵器禁止条約に入ることは法的に可能だ。NATO諸国の新しい動きを踏まえ、日本の国会でも方針転換を論ずるべきだ。(川崎哲、ピースボート)
核兵器の終わりが始まったー核兵器禁止条約発効の意味
本日発売の岩波書店『世界』12月号に「核兵器の終わりが始まった」と題して、核兵器禁止条約発効の意味について文章を寄せました。この条約に「実効性がない」との批判に反論し、同条約の歴史的意義を論じ、締約国会議への課題を整理し、日本を批准させるための道筋について提案しています。詳しくはこちら。
『軍縮教育 ピースボートの方法論』(Navigating Disarmament Education: The Peace Boat Model)を出版しました
このたび、国連軍縮部(UNODA)の「市民社会と軍縮(Civil Society and Disarmament)」シリーズの出版物として、『軍縮教育 ピースボートの方法論』(Navigating Disarmament Education: The Peace Boat Model)という英語の本を出版しました。そして11月3日に、国連総会第一委員会期間における「軍縮週間」のイベントとして、出版記念オンライン・イベントをUNODAとピースボートの共催により行いました。また11月4日には、共著者である畠山澄子さんが本書の内容を日本語で解説する出版記念トークをピースボートの定例勉強会の一環で行いました。 1983年に発足したピースボートは、戦争や兵器がもたらす世界のさまざまな問題について、現地を訪ね、現場に学び、当事者の体験や証言に焦点をあてながら解決策を模索するという独自の方法論で、幅広い教育やアドボカシー活動を行ってきました。広島・長崎の被爆者が船旅を通じて世界各地で被爆証言をしていく「おりづるプロジェクト」は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によるアドボカシーと連携しながら、核兵器禁止条約の成立に貢献しました。 今回の書籍は、こうしたピースボートの活動を「軍縮教育」の1つのモデルとしてとらえ、その方法論を豊富な実践例に基づいてまとめたものです。私と畠山澄子さんの共著というかたちをとっていますが、ピースボートのチームとして取り組んだ出版です。主たる著者は畠山さんで、メリ・ジョイスさんが全般的な執筆補助、ピースボートUSのエミリー・マグローンさんが国連との折衝を担当しました。 ◆書籍詳細◆「Navigating Disarmament Education: The Peace Boat Model(「軍縮教育 ピースボートの方法論」 )」共著:畠山澄子(ピースボートスタッフ)、川崎哲(ピースボート共同代表/ICAN国際運営委員)序言:中満泉(国連軍縮担当上級代表)、サーロー節子(被爆者)A5版114ページダウンロードはこちらから:https://www.un.org/disarmament/civil-society-and-disarmament-2020/
[2020.10] ミサイル軍縮をこそ
被団協新聞の10月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 ミサイル軍縮をこそ 敵基地攻撃能力の保有に政府・与党が前のめりだ。ミサイルの脅威に対し現在の迎撃システムが十分でないので、ミサイルが飛来する前に相手領内で叩こうというものだ。専守防衛の範囲内だとして「攻撃」とは言わず「ミサイル阻止」と称している。だが事実上の先制攻撃に道を開くものであり、憲法違反の疑いが濃厚である。 冷戦時代に米ソはABM条約を結び、互いにミサイル迎撃を禁ずることで均衡を図った。だが今世紀に入り米国はこれを離脱しミサイル迎撃網を構築。日本は米国と共同で開発、配備した。ロシアや中国はこれを脅威と捉え、軍拡に走った。迎撃だけでなく攻撃もするとなれば、当然相手は反応する。危険な軍拡競争のスパイラルである。 本来注力すべきは、ミサイルを落とすことより発射させないことだ。ミサイル管理と削減のための軍縮協議こそ必要である。(川崎哲、ピースボート)
「なんだ学者が偉そうに」という前に(日本学術会議への人事介入問題について考えること)
「学問の自由」というのは、単に学者個人が何を研究してもかまいませんよ、どうぞご勝手にという話ではない。学問が公権力や私企業に支配されることなく独立している必要があるということだ。それが、戦前の歴史からの教訓だ。 独立というのなら、じゃあ学者たちが自分のお金と責任で勝手におやりください、ということなのかといえば、それも違う。そもそも、研究も教育も、公的支援がなければできない。そうでなければ学問は金持ちの道楽か、あるいはお金に余裕のある企業のお抱えの研究ばかりになってしまう。 学術研究と教育に国家がお金を出す。これは現代の国家のもっとも基本的な役割の一つだ。狭い意味での国策を達成するためにということではない。私企業のお抱え研究所じゃないんだから。もっと広い意味で、幅広く学術研究と教育の場を保障する。その多様性、包含性が、国家の豊かさにもつながる。 と言いつつも、何だ学者は偉そうに、大して役にも立たない仕事をして特権階級じゃないか、と思う人もいるだろう。私だって周りの人を見てそう感じることもある。しかし実際のところは、大事な研究や教育に携わっている多くの人たちが必要な支援を受けられずヒーヒー言っているのが実情だ。その状況は近年、悪化の一途をたどっている。 とにかく今の日本では、学術研究や教育に対して拠出される公的資金が少なすぎる。大学の授業料がものすごく高いのは皆さんご存じの通り。それに対して奨学金は、近年少し改善されたとはいえ、まだまだ不足している。実態は、多くの学生が将来にわたって多額の借金を背負わされているというものだ。 行政改革の対象として日本学術会議を見直すという。絶対に見直すなとまでは言わない。そりゃあ日本は財政難だし、どこにでも無駄はあるだろうから、他の多くの組織と並んで見直すべきかもしれない。だが今回の話は、首相が行った法的に説明のつかない恣意的人事から目をそらすための措置のようだ。 今でも全然足りていないのに、学術研究や教育にかける公的なお金をこれ以上削っていったら、日本は今以上に、本当に貧弱な国になっていく。国としての厚みも、魅力も、失われていく。本当にそれでいいのか。 首相が行った法的に説明のつかない恣意的人事の問題をごまかすために、もともと学術会議が悪いんだとか、そもそも学者っていうのがムカつくんだとか、そんなキャンペーンが張られていくのだろう。批判されると「フェイクだ!既得権益だ!」と逆ギレするあたりが、ドナルド・トランプと一緒だ。 学問も報道も芸術も、ときに社会や政治を批判する。それが役割であって、それが自然な姿だ。私自身は、NGO活動家兼大学講師だから、はっきり言って批判してばっかりだ。煙たがる気持ちも分かるが、批判的なものを排除するとか、金を出さないとか、要職に就けないとかし始めたら、国家として終わりだ。惨めですらある。 それだけではない。専門家の批判を煙たがって排除することが、危機につながることもある。日本がかつて戦争に突入したことはだいぶ前の話であるが、9年半前の福島での原発の過酷事故もまさにそのような人災として起きた。自由闊達に批判的な研究や議論がなされ、指導者がそれに耳を傾けることで社会は進歩する。国家でも企業でもどんなグループ、コミュニティでも、それは同じことだろう。 2020.10.11川﨑哲
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