核戦争の準備を勝手に進めるな――日米「核使用」準備の報道を受けて
◆2つの報道 共同通信が、日米による「核の使用」をめぐって2つの重要な報道を行った。1つは、日米両政府が「拡大抑止協議」の一環で有事を想定したシミュレーション(机上演習)を実施し、その中で米軍が核兵器を使用するシナリオを議論してきたというものだ。核使用時の政府間調整の手順を定めた非公開の指針が、昨年12月に策定されたという(7月27日各紙報道)。2つ目は、昨年2月に実施した台湾有事を想定した机上演習において、中国が核使用を示唆する発言をしたという設定のうえで、日本の自衛隊が米軍に対して「核の脅し」で対抗するように再三求めていたというものだ。米側は当初慎重だったが、吉田圭秀統合幕僚長が繰り返し求め、米司令官も最終的に同意したという。こうして米中が共に核で脅し合う状況となったが、この演習では最終的に米中共に核兵器は使用しなかったとしている(7月28日各紙報道)。 ◆日米が核戦争の準備 日米の外務・防衛当局が「核兵器の使用」を具体的に議論し、実際の演習の中で自衛隊が米軍に対して核の脅しを強く求めていたというのは、驚くべき、恐ろしいことである。今日核兵器を使用すれば、80年前の広島・長崎の惨状と比べてもはるかに破滅的な事態となることは明らかで、その影響は国境を越え、長期にわたり続く。一発の核の使用が、報復合戦と世界規模の核戦争に発展する可能性も高い。 もちろん、日本政府は米国の核を含む拡大抑止に依存するという国家戦略を採用しているので、最終的には米国に核の使用を求めるのが日本の政策なのだといってしまえばその通りだ。しかし現実に核使用を想定してその指針を策定したり、演習の中で実際に中国に向けて核の脅しを行ったりしているということであるから、これはもはや理論上の話ではない。「核兵器の使用」が日米の実際の作戦の一つとして具体的に準備されているということだ。つまり日本は、米国と共に、核戦争の計画と準備を行っているのである。 脅すことと実際に使うことは異なるという人がいるかもしれない。しかし、有効に「脅す」ためには、実際に使用できるという能力と態勢を確立し、その意思を示さなければならない。つまり核の威嚇は、核の使用を前提にしなければ成り立たない。自衛隊が米軍に核の脅しを求めたということは、日本が米国に対して核兵器を使用すること、あるいは少なくとも使用の準備をすることを求めたのに等しい。 ◆「核不使用の規範」こそ強めなければいけない時に 昨年日本被団協が、被爆者の証言活動を通じて「核のタブー」を確立することに貢献したとしてノーベル平和賞を受賞した。そのノーベル委員会のフリードネス委員長は、被爆80年の8月を前に現在来日中であり、「核のタブー」すなわち核兵器不使用の規範を堅持する必要性を広島、長崎、東京で説いている。そのさなかに、日本のこのような現実が暴かれたことは、皮肉というほかない。核兵器はいかなる状況下でも使ってはならないという国際規範を強化するために、世界は被爆者や被爆国日本に期待している。それなのに実態は正反対で、日本の政府や自衛隊は、核兵器を使用する準備を米国と共に進めているのだ。 報道によれば、昨年2月の机上演習において、中国が核の使用を示唆、すなわち核の脅しを仕掛けてきたことに対して、米側は事態がエスカレートすることを危惧して当初慎重姿勢だった。しかし、日本の自衛隊の統合幕僚長は、これに対して再三にわたり核の脅しを求めたという。ウクライナ侵略を進めるロシアとの対比で言えば、ロシアが核の使用を再三示唆しウクライナおよび国際社会を核で脅してきたことに対して、米国を含む国際社会は直接的な「核の脅し」で返すようなことはこれまでしていない。事態がエスカレートして核戦争に発展することがないようにするための、一定の抑制が働いてきたと考えるべきである。ロシアが侵略開始から3年半、ロシアに対して核兵器を使わせなかった主たる力は「核兵器は決して使ってはならない」という圧倒的な国際世論である。「核の脅し」の力ではない。 仮に東アジアでの国家間対立や武力紛争において核兵器が使用されかねない状況が生まれてきた場合、日本がすべきことは、核が実際に使われてしまった場合に引き起こされる壊滅的な人道上また環境上の被害を訴え、そのような行為を許さないための広範な国際世論形成を行うことであるはずだ。 報道されている机上演習においては、中国と米国が核で脅し合った結果、結局核兵器は使われずに済んだということになっている。しかし現実にもそうなるという保証はない。脅し合いがエスカレートすれば、核戦争にも容易に発展しうる。そうなってしまったときに、一体誰が責任をとれるというのか。相手が脅してきているのだからこちらも脅すのだ、などという単純な議論では済まされない。 ◆法的観点――日本国憲法、核兵器禁止条約、ICJ勧告的意見 法的な観点で言えば、まず、日本国憲法との関係が問われなければならない。憲法9条第1項は「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。核兵器によって他国を威嚇すること、あるいは核兵器を持つ国に要請して他国を威嚇してもらうことは、そもそも9条第1項が「永久に放棄」しているところの「武力による威嚇」に該当するのではないか。この演習では、中国が核で威嚇してきたのでそれに応じる措置だということかもしれない。しかし、核兵器が使用されれば、他の通常兵器とは全く異なる形で、多数の民間人が不可避的に犠牲になることは明らかである。そのような脅しをすることは、憲法9条違反である疑いが濃厚である。 次に国際法との関係でいえば、2017年に採択され2021年に発効した核兵器禁止条約において、核兵器の使用および使用の威嚇は「いかなる状況下においても」禁止されている。そして、それらの行為を「援助、奨励、勧誘」することも禁止されている。もちろん日本政府は核兵器禁止条約に署名・批准していないので、これには縛られないということもできる。しかしこの条約に、すでに世界の約半数の国が参加しているという現実は重い。 遡って1996年には国際司法裁判所(ICJ)が勧告的意見において、核兵器の威嚇や使用は「一般的に国際法違反」と判断している。この勧告的意見については、日本政府も受け入れている。但しこのICJ勧告的意見は「国家存亡に関わる自衛の極限的状況」においては核兵器の威嚇・使用の合法性は判断できないとしているため、そのような極限的状況においては核兵器の威嚇・使用が許されると解釈している国もある(日本政府はその点を曖昧にしている)。仮にそのような場合は「許される」と解釈したとしても、「国家存亡に関わる自衛の極限的状況」にあるかどうかの判断を誰がどのように行うのかという問題が残る。自衛隊の統合幕僚長が現場レベルで勝手に判断して米軍に要請するなどということが許されるはずがない。 昨年2月にこのような日米演習が行われていたとするならば、憲法上も国際法上も深刻な問題をはらんでいるというべきであって、当時の岸田文雄首相、木原稔防衛大臣、上川陽子外務大臣の責任は重大である。 ◆徹底追及と情報公開を 8月1日には臨時国会が召集され、その後まもなく被爆80年の広島・長崎原爆の日を迎える。国会において、このたび報道されている日米演習の内容が徹底的に追及されなければならないし、当時関わった責任者らは厳正に処分されるべきである。そして、これを機に、これまでずっと密室の中で進められてきた「日米拡大抑止協議」に関する徹底的な情報公開がなされる必要がある。 2025年7月28日川崎哲本投稿のPDF版はこちら
広島-ICANアカデミー2025、受講生募集中です
広島県とICANが協力して2019年から行っている「核兵器と安全保障を考える広島-ICANアカデミー」、今年度の募集が始まっています。応募締切は6月1日(日)。世界の若者たちと共に英語で学ぶプログラムです。ウェビナーセッション(7~8月)と広島現地セッション(10月)の2部構成からなっています。軍縮・平和・安全保障について、人道の視点と国際的視野をもって学び活躍したい皆さんにお勧めです。詳しくはこちらのリンクから。
ピースボート Voyage120 戦後80年特別プロジェクト「TIME FOR PEACE」を行っています
4月23日に横浜を出航したピースボート地球一周の船旅 Voyage120では、戦後80年特別プロジェクト「TIME FOR PEACE」を行っています。私は船に長期間乗るのは本当に久しぶりなのですが、横浜からニューヨークまで乗船予定で、多くのスタッフと一緒にこのプロジェクトを進めています。プロジェクトの様子は、ピースボートのFacebookページで紹介されているほか、私のSNSアカウントでも随時報告しています。どうぞご覧ください。TIME FOR PEACE(今こそ平和を)!
核兵器をなっくすラジオ
核兵器をなくす日本キャンペーンでは、「核兵器をなっくすラジオ」を始めました。 「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く」核兵器廃絶のあれこれを語り、盛り上げていこうという番組です。 Podcasts, Amazon Music, YouTube, Spotifyの各媒体で聴くことができます▼ ご感想等は核兵器をなくす日本キャンペーン事務局までお寄せください。 info@nuclearabolitionjpn.com
外務省による「検証」はきわめて一面的で不十分――核兵器禁止条約 オブザーバー参加問題
昨年10月に日本被団協のノーベル平和賞受賞が発表された直後、石破茂首相は、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加について「真剣に検討する」と表明した。過去2回の締約国会議(2022年、23年)に参加しなかった日本政府が、来る第3回の締約国会議(2025年3月3~7日、ニューヨーク国連本部、議長はカザフスタン)にオブザーバー参加する可能性が出てきたものとして、注目された。 その後首相は、日本と同様に米国の「核の傘」の下にいる国で過去オブザーバー参加した国の事例を「検証する」と表明した(11月27日、斉藤鉄夫公明党代表との会談にて)。以後政府は、この問題について問われると、現在その検証を行っており、その結果等を踏まえて日本としての対応を決めると説明し続けてきた。 2月14日の記者会見で岩屋毅外相は、検証状況について問われて、以下のように説明した(全文はこちら)。• ドイツ、ベルギー、ノルウェーは、連立政権の合意方針としてオブザーバー参加した。オランダは、議会の動議を受けてオブザーバー参加した。• オランダは第1回会議に参加したが「さらに参加することに意味はない」と外相が判断して第2回は参加しなかった。• (NATOに加盟申請し加盟した)スウェーデンとフィンランドは第1回のみ参加し、第2回は参加しなかった。• オブザーバー参加したNATO加盟国(ドイツなど)は、同会議において、核抑止への支持を強調し核兵器禁止条約の締約国になることはないと発言している。また、NPTの重要性についても発言している。 以上が、日本外務省による「検証結果」であるとするならば、驚きである。 第一に、かけた時間のわりに内容が乏しすぎる。この程度の情報を収集するのに、なぜ2カ月半もの時間が必要だったのか。上記のような事実は、すべて公知のものであり、その事実確認には1週間も要しないはずだ。 第二に、結果が一面的すぎる。第1回会議にオブザーバー参加した国には、第2回会議にも参加した国(ドイツ、ノルウェー、ベルギー、オーストラリア)もあれば、第2回会議には参加しなかった国(オランダ、スウェーデン、フィンランド)もある。岩屋外相の説明は、第2回に参加しなかった国にのみ焦点を当てており、第2回にも参加した国の言動についての検証や説明がほとんどなされていない。 第三に、本来検証すべき内容に全く目を向けていない。「核の傘」の下にありながらオブザーバー参加した国の政府が、自分たちは核抑止政策をとっており核兵器禁止条約の締約国になることはできないと発言したということは事実であるが、これはいわば当たり前のことである。これは、検証の結果というより、検証する理由であるというべきだ。 ただちに締約国にはなれないが、それでも同条約に関与しようとしている国々が、実際にどのような言動をしているかを調査することが、この検証の本来の目的であるはずだ。ドイツの場合には、自分たちは締約国にはなれないが、しかし核被害者援助の分野では貢献したいと発言している。オーストラリアの場合には、核軍縮の検証や条約の執行体制について意見表明している(これらの詳細はこちら)。岩屋外相の説明は、こうした事実に全く言及すらしていない。これでは、検証結果とはとてもいえない。 また、米国の同盟国がオブザーバー参加した際に、米国との外交関係において何らかの問題が生じたか否かという点についても、検証が行われたのかどうかが明確にされていない。これは、日本がオブザーバー参加を検討するにあたって重要な点である。外相は「相手国との関係もあり対外的に明らかにできない点がある」と言っているが、そのような検証が行われた形跡は示されていない。そうした調査をしていないのだとすれば、この2カ月半、いったい何をしてきたというのか。 第四に、そもそも誰にヒアリングを行い、どのような検証を行ってきたのかが疑問である。• オブザーバー参加した国の政府と直接やり取りしたのか。• 第1回、第2回締約国会議の議長をつとめたオーストリアやメキシコの政府、あるいは同条約の締約国会議の運営を担っている国連軍縮部と、直接やり取りしたのか。これら議長国や事務局が、オブザーバー参加をどう受け止めているのかについて、見解を直接聞いたのか。• 第1回、第2回の日本の与野党の政党の国会議員が、議員として過去オブザーバー参加している。これらの国会議員にはヒアリングしていないのではないか。• 核兵器禁止条約の制定過程や過去の締約国会議に深く関与してきた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や日本被団協に、ヒアリングをしていない。 政府は、この程度の「検証結果」をもって、来る第3回締約国会議にはオブザーバー参加しないと結論づけようということなのかもしれない。もしそうだとすれば、検証とは名ばかりの、結論ありきの時間稼ぎだったと言わざるをえない。 与野党は、政府のこのような「検証結果」を鵜呑みにしてはならない。上述のような、政府の説明には含まれてい重要な諸点を指摘し、ここから議論を開始しなければならない。 これまで、広島・長崎の両県知事や両市長(全国1,740の平和首長会議国内加盟都市を代表して)、そして日本被団協をはじめ核兵器廃絶を求める多くのNGOが、政府に対して核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を強く求めてきた。また、全国の市区町村議会の約4割が、日本が核兵器禁止条約に署名・批准すべきとの意見書を可決し政府に送っている。各種世論調査では、日本がこの条約に署名・批准すべきだという意見が6割を超えている。 昨年日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、今年は広島・長崎への原爆投下から80年となる節目の年である。唯一の戦争被爆国日本から世界に向けて、核兵器の非人道性と核兵器廃絶の必要性を訴えることが、今求められている。 そのような日本の世界的・歴史的立ち位置をしっかりと見すえて、国会において真摯な議論を継続するよう、すべての国会議員および政府に対して求めたい。 2025年2月15日川崎哲核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員ピースボート共同代表核兵器をなくす日本キャンペーン専務理事(PDF版はこちら)
「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」へあなたも!
昨年日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、本年は被爆80年を迎えます。一方、世界各地で戦争が続き、核の脅威は高まっています。終末時計の針は過去もっとも午前零時に近い「89秒前」にまで進められました。核保有国の指導者たちは国際ルールを破る行動を重ねており、このままでは破滅的事態に至りかねません。 こうしたなか、一般社団法人核兵器をなくす日本キャンペーンでは、核廃絶への機運を市民レベルから高めていこうと、来る2月8~9日に「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」を東京・広尾の聖心女子大学で開催いたします。日本政府はいまだに核兵器禁止条約第3回締約国会議へのオブザーバー参加すら決定していない状況ですが、同会議の1カ月前に国際市民フォーラムを開催することで、日本の政府や議員を動かす力にもしていきたいと思っています。 国際市民フォーラムの主要なセッションはオンライン配信されますが、関東圏の方は、是非とも会場にお越しになって、さまざまな分科会、ワークショップにも参加していただきたいと思います。また、団体・個人を問わず、協賛してくださる方々も大募集中です。どうぞよろしくお願いします。 詳細は、以下の通りです。================================================『被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム』 https://2025forum.nuclearabolitionjpn.com/================================================ 本フォーラムでは、被爆80年という節目に、核兵器の非人道性に改めて目を向け、戦争も核兵器もない未来を目指して何ができるかを一緒に考える場を作ります。海外からの多彩なゲストによるトークイベントや、映画上映、展示など、多様な企画をご用意しています。また、「核兵器をなくすカフェ」や親子で楽しめるワークショップ、紙芝居など、気軽に参加できるスペースもあります。会場は、レトロな雰囲気が素敵な聖心女子大学のキャンパスです。教室を散策しながら、お気軽にお楽しみいただけます。 ぜひ、ご家族やご友人をお誘い合わせの上ご参加ください。ご興味のある方への転送も大歓迎です。 【フォーラム概要】 日時: 2025年2月8日(土)・9日(日)会場: 聖心女子大学(東京都渋谷区)https://maps.app.goo.gl/FyReBfLkUZ788Gw4A主催: 一般社団法人核兵器をなくす日本キャンペーン(代表理事: 田中熙巳、副代表理事和田征子) 【プログラム概要】 ◎1日目・ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の田中熙巳さん、和田征子さんらによるオープニング・海外ゲストとのトークセッション(オーストリア外務省アレクサンダー・クメント局長、米国・軍備管理協会や核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)などNGOの代表、マーシャル諸島・仏領ポリネシア議員など)・核兵器禁止条約第3回締約国会議に向けた提言の議論 など ◎2日目分科会&ワークショップ(抜粋) ・被爆者の証言と交流セッション・核兵器とジェンダー・憲法と核兵器禁止条約・映画「Silent Fallout」上映・ミニライブ などなど 他にも盛り沢山!詳しいプログラム内容は、公式ウェブサイトをご覧ください:https://2025forum.nuclearabolitionjpn.com 【参加方法・チケット情報】参加方法は以下の2通りです: ①会場参加◎一日チケット・一般:2000円・15~24歳:1500円※申込締め切り(2月8日分): 2月7日(金)17:00 (2月9日分): 2月8日(土)17:00 ◎二日通しチケット・一般:3000円・15~24歳:2000円※申し込み締め切り:2月7日(金)17:00 *14歳以下は無料(お席の確保のため、無料チケットの取得をお勧めします)*核兵器をなくす日本キャンペーンのマンスリーサポーターの皆さまには割引価格でチケットを販売しています。*両日とも定員に達し次第締め切ります。 ②オンライン参加・無料・オンライン視聴のリンクは追って公式ウェブサイトで公開します。※オンライン配信がない企画もございます。お近くの方、気になるプログラムがある方は、ぜひ会場参加をご検討ください。 ◯詳細・ご購入はこちら:https://nuclearabolitionforum2025.peatix.com/ 【お問い合わせ先】*チケットに関するお問い合わせ: … Continue reading
核禁条約オブザーバー参加――検証結果を公開し国会で議論せよ
石破首相は、3月に開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議への参加を見送る方向であると報道されている。しかし首相はこれまで、過去にオブザーバー参加してきた国の事例を検証すると言ってきた。どのような検証を行い、どのような検証結果が出たのか。それをまず公表すべきであり、それをもとに国会で与野党において、日本としてどう対応するかを議論すべきだ。そのような過程なしに結論を出すことは、到底受け入れられない。 先月の日本被団協へのノーベル平和賞授賞式において、ノーベル委員会のフリドネス委員長は「より多くの国が核兵器禁止条約に批准しなければならない」と述べ、田中熙巳代表委員は「核兵器禁止条約のさらなる普遍化」を訴えた。石破首相は、これらのメッセージをどう受け止めたのか。世界で核の脅威が高まる中、核兵器の非人道性を率先して訴えるべき責任が、被爆国日本にはあるはずだ。 政府は、過去のオブザーバー参加の事例について、いったい何をどのように検証したのか。オブザーバー参加したノルウェー、ドイツ、オーストラリアのいずれをとっても、対米関係への悪影響は何らみられない。これらの国は、核被害者援助や核軍縮検証など、実際的な議論にも貢献し、評価されている。 締約国会議に参加することは、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに資するものであって、阻害するものではないずだ。そもそも「検証」といっても、過去2回の締約国会議に参加し議論に深く関わってきた我々NGOや、日本の国会議員に対して、聴き取りにすら来ていない。 これまで、全国の市長、知事、地方議会、そして与野党の国会議員が、政府に対して同条約への参加を求めてきた。石破政権が「熟議」を掲げるのならば、まずは政府としての検証過程と検証結果を明らかにして、その上で、国会で開かれた議論を行うべきだ。国会議員たちも、このまま「はい、そうですか」と受け入れてはならない。週明けに始まる国会審議に期待する。
日本被団協のノーベル平和賞受賞にあたって
日本被団協のノーベル平和賞受賞の報を聞き、心から喜んでいます。本当に嬉しいです。これまで、つらい記憶を思い出しながら、きつい体に鞭打ちながら、被爆の実相を語ってきてくださった一人一人のお顔が思い浮かびます。すでに亡くなられた方も数多くいます。そうしたお一人お一人のことを今、考えています。 今こそ世界は、被爆者の声に耳を傾けなければなりません。 ノルウェーノーベル委員会は、世界でまた核兵器が使われるかもしれないという危機的状況である今だからこそ、日本被団協に平和賞を授賞してくださったのだと思います。ヒロシマ・ナガサキを、世界のどこにおいても、決して繰り返してはなりません。 そしてまた、日本においても、戦争体験や被爆体験が風化している現実があります。政治家たちが、核抑止力の強化や、核共有までも口にしている状況です。日本被団協の平和賞受賞は、私たちが改めて、日本が唯一の戦争被爆国であリ、核兵器廃絶に向けて世界を主導する役割を担わなければならないということを思い起こす好機です。 日本は、核兵器禁止条約に署名・批准すべきです。日本政府は、日本被団協に祝辞を贈るのであれば、その中で、日本が核兵器条約への署名・批准を目指すことを明言すべきです。 私は、日本被団協の多くの被爆者の方々から、日本が手にした平和憲法、特に憲法9条がいかに大切であるかを教わってきました。私たちは今こそ、日本の戦後平和主義の原点に立ち返り、武力によらずに諸国民の信頼と国際協調によって平和を作るという原則を高く掲げるべきだと思います。 2024年10月11日 川崎哲 ピースボート共同代表核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員核兵器をなくす日本キャンペーン専務理事
自民党総裁選と核兵器――解説始めました
9月27日に投開票が行われる自民党総裁選挙に、9人が立候補しています。議員ウォッチプロジェクトでは、核兵器をなくす日本キャンペーンのボランティアの皆さんの協力をえて、候補者たちに核兵器に関する政策についてのアンケート調査をしています。しかしいずれの候補者も反応が悪く、回答集めには苦戦しています。とはいえ、調査はめげずに継続していきます。そしてそれと並行して、各候補が核兵器に関わる外交・安保政策について発言している内容を取りあげ、解説をしていくことにしました。この解説が、議論のきっかけになればと思います。解説・川崎哲の「自民党総裁選挙と核兵器」2024は、こちらからご覧になれます。
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