
石破首相は、3月に開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議への参加を見送る方向であると報道されている。しかし首相はこれまで、過去にオブザーバー参加してきた国の事例を検証すると言ってきた。どのような検証を行い、どのような検証結果が出たのか。それをまず公表すべきであり、それをもとに国会で与野党において、日本としてどう対応するかを議論すべきだ。そのような過程なしに結論を出すことは、到底受け入れられない。
先月の日本被団協へのノーベル平和賞授賞式において、ノーベル委員会のフリドネス委員長は「より多くの国が核兵器禁止条約に批准しなければならない」と述べ、田中熙巳代表委員は「核兵器禁止条約のさらなる普遍化」を訴えた。石破首相は、これらのメッセージをどう受け止めたのか。世界で核の脅威が高まる中、核兵器の非人道性を率先して訴えるべき責任が、被爆国日本にはあるはずだ。
政府は、過去のオブザーバー参加の事例について、いったい何をどのように検証したのか。オブザーバー参加したノルウェー、ドイツ、オーストラリアのいずれをとっても、対米関係への悪影響は何らみられない。これらの国は、核被害者援助や核軍縮検証など、実際的な議論にも貢献し、評価されている。
締約国会議に参加することは、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに資するものであって、阻害するものではないずだ。そもそも「検証」といっても、過去2回の締約国会議に参加し議論に深く関わってきた我々NGOや、日本の国会議員に対して、聴き取りにすら来ていない。
これまで、全国の市長、知事、地方議会、そして与野党の国会議員が、政府に対して同条約への参加を求めてきた。石破政権が「熟議」を掲げるのならば、まずは政府としての検証過程と検証結果を明らかにして、その上で、国会で開かれた議論を行うべきだ。国会議員たちも、このまま「はい、そうですか」と受け入れてはならない。週明けに始まる国会審議に期待する。
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