川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

[2022.2] すすむ投資禁止

被団協新聞の2月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 すすむ投資禁止  世界で101の金融機関が核兵器の製造や開発に関わる企業に投資しないという方針(ポリシー)をもっていると、オランダのNGO「PAX」が1月に報告書で発表した。2016年の54機関、19年の77機関にから着実に増えている。 このうち59機関はいかなる形でも核兵器製造企業と金融上の取り引きを行わないという包括的な方針をもっている。最近加わったところとしてアイルランド、オーストラリア、スイス、フィンランド、米国などの金融機関が並ぶ。残りの42機関の方針は包括的禁止と呼ぶには不十分とされる。日本の銀行名は挙がっていない。方針を発表していても、その信頼性を確認する情報が不足しているからだと考えられる。 このような方針の根拠として、多くの金融機関が核兵器禁止条約を挙げている。発効後1年、条約は確実に効果を上げている。(川崎哲、ピースボート)  

2022/02/19 · Leave a comment

[2022.1] オブザーバー参加せよ

被団協新聞の1月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 オブザーバー参加せよ  核兵器禁止条約締約国会議に日本はオブザーバー参加すべきである。被爆国として核の非人道性を訴える好機である。条約に署名・批准することと会議に参加することは次元が異なる。米国の核抑止力に依存する日本は、その政策を変えない限り条約には入れない。だが首相がこの条約が核廃絶の「出口」として重要と言うのだから、出口への道筋を探るためにも参加は必須だ。 米国との信頼関係づくりが先だと首相はいう。だが日本は毎年の核廃絶国連決議で米国の賛成をえて、信頼を得ているではないか。核保有国を巻き込む措置が必要なのは確かだが、だから非核国の会議には出られないということにはならない。 政府は目をそらすな。条約はもう存在する。参加して関与せよ。岸田首相は首脳会談でバイデン大統領にその意思を伝えた上で、会議参加を発表すべきである。(川崎哲、ピースボート)  

2022/01/24 · Leave a comment

[2021.12] 先制不使用の意義

被団協新聞の12月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 先制不使用の意義  米国が検討している核の先制不使用宣言に、日本が反対している。松野官房長官は、先制不使用宣言は「すべての国が検証可能な形で行わなければ有意義でない」からだという。 だが岸田首相は外相時代の14年、長崎で「核兵器の役割低減」が重要だと演説し、核兵器使用は「少なくとも自衛の極限状況に限定する」と宣言をすべきだと述べていた。そして核保有国は宣言と合致するよう「核の配備態勢を見直す」べきだとした。岸田首相は今この考え方に立ち、核の先制不使用宣言を促し、それを裏付ける配備態勢見直しを求めればよいではないか。なぜ今拒否するのか。 なおそのときの岸田演説には「核使用を容認するのか」との批判が出て、政府は事後に釈明した。先制不使用は、報復攻撃を奨励するものではなく、核使用の可能性を減らし最終的にゼロにするための一歩なのだ。(川崎哲、ピースボート)  

2021/12/15 · Leave a comment

[2021.11] ノルウェーは参加へ

被団協新聞の11月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 ノルウェーは参加へ  10月、ノルウェーの新政権が発足した。労働党と中央党の新政権は、核兵器の非人道性に注目しNATO内外の国々と共に核軍縮に取り組むこと、核兵器禁止条約締約国会議にはオブザーバー参加することを表明した。締約国会議への参加表明はNATO加盟国としては初である。 新首相に就任した労働党のストーレ党首は、2013年にノルウェーが核兵器の人道イニシアティブを始動させたときの立役者だ。だが同年秋の選挙で政権が交代し、ノルウェーはその後の禁止条約制定過程で中心的な役割を果たせなかった。このたび8年ぶりの政権交代で、指導力の復活が期待される。 同じくNATO加盟国であるドイツやベルギーでもこれに続く動きがあるだろう。米国の核の傘下にあるといわれてきた国の中で動きが始まったことで、日本がどうするのかが改めて問われる。(川崎哲、ピースボート)  

2021/11/22 · Leave a comment

[2021.10] シンクタンクの出資元

被団協新聞の10月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 シンクタンクの出資元  米国の上位50のシンクタンクに対して米政府と軍事企業が10億ドル以上の資金を提供していることを、民間組織・国際政策センターが明らかにした。昨秋の報告書によれば、米政府では国防総省、国土安全保障省、国務省が、軍事企業ではノースロップ・グラマン、レイセオン、ボーイングなどが多額の出資元だ。受領しているのはランド研究所、新アメリカ安全保障センター、新米国研究機構といったシンクタンクである。 こうした出資を受けるシンクタンクの専門家が、議会証言や調査研究で防衛費増額や武器売却の必要性を宣伝するのは「利益相反」の可能性があると同センターは指摘し、シンクタンクによる出資元の情報公開を法的に義務づけよと提言している。日本でも、いわゆる安保・防衛の専門家がどこからお金をもらって活動しているのか、注意しておくことが必要だ。(川崎哲、ピースボート)  

2021/10/25 · Leave a comment

[2021.9] 先制不使用の要請

被団協新聞の9月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 先制不使用の要請  8月9日、ペリー元国防長官など米国の元高官・専門家らが、バイデン政権が検討している核の先制不使用政策に日本が反対しないよう求める書簡を菅首相および与野党党首に送った。書簡は、日本はオバマ政権が先制不使用政策を採択するのに反対し、今日もまた、国会答弁等で同政策に反対を表明していると指摘。核廃絶を掲げる日本が「この小さな、しかし重要な一歩」に反対するのは悲劇的だと批判している。 さらに、先制不使用政策をとると抑止力の「弱体化」をおそれた日本が核武装する恐れがあるとの強い懸念が米国内にあるという。なんと不名誉なことか。 バイデン政権の核政策見直しは来年1月、NPT再検討会議の頃までに完了する見込みだ。日本政府は、日本の非核三原則は不変であり、米国が先制不使用政策をとることはNPT合意にも沿うもので歓迎する旨、明確に発信すべきだ。(川崎哲、ピースボート)  

2021/09/12 · Leave a comment

[2021.8] コロナ禍でも年8兆円

被団協新聞の8月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 コロナ禍でも年8兆円  昨年、世界の核保有国による核兵器への支出総額は726億ドル(約8兆円)だった。ICANの報告書によるものだ。米国374億ドル、中国101億ドル、ロシア80億ドルと続く。世界の総額は前年より14億ドル増え、1分あたり1500万円の計算だ。新型コロナが拡大しても、安全保障の支出見直しは起きていない。昨年の世界の軍事費総額も前年比2.6%増の2兆ドル(214兆円)で過去最大を記録した。 ICANの報告書はまた、昨年11の企業が核兵器に関わる契約を行い277億ドルの利益を上げたこと、そしてこれらの企業が1億ドル以上でロビイストを雇い、安全保障系のシンクタンクに1000万ドルもの資金提供をしていることを明らかにした。核兵器を製造している企業が「核兵器が必要だ」とする政策の決定にお金をかけて働きかけをしているのである。(川崎哲、ピースボート)  

2021/08/19 · Leave a comment

[2021.7] 濃縮と再処理

被団協新聞の7月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 濃縮と再処理  ウランの濃縮と使用済み核燃料の再処理は、核兵器開発に直結しうる「機微」な技術と呼ばれる。原発の燃料は低濃縮ウランだが、高濃縮ウランは核兵器の材料となりうる。また使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムは、やはり核兵器の材料になりうる。 1992年に韓国と北朝鮮が出した非核化共同宣言は、両国が「濃縮も再処理もしない」と約束していた。 一方、日本は濃縮も再処理も行っている。とくに使用済み燃料を全量再処理するとの政策で、現在45トンものプルトニウムを有している。核兵器約8000発に相当する量だ。そんな日本を見て、韓国では自分たちも同様の権利を持ちたいとの声が上がっている。これは朝鮮半島非核化への妨げとなる。まずは日本が率先して核兵器の材料となりうる物質を作るのを止め、さらにそれを地域全体の合意にしていくべきだ。(川崎哲、ピースボート)  

2021/07/19 · Leave a comment

[2021.6] ああ言えばこう言う

被団協新聞の6月号に寄せた連載コラム(非核水夫の海上通信)を紹介します。 ああ言えばこう言う  この間、ペリー元国防長官やカントリーマン元国務次官補が、米国が核兵器の先制不使用政策をとろうとしたが日本の反対で実現しなかったと証言した。4月、この問題を国会で問われた茂木外相は、先制不使用は「すべての核兵器国が検証可能な形で同時に」行わなければ機能せず、検証もできない宣言で「わが国の安全保障に万全を期すことは困難」と述べた。こちらから核を先制使用するのはやめようという提案に対して、相手が先制不使用を宣言しても信用できませんと返している。話のすり替えだ。 核兵器禁止条約に対して政府は「そのような包括的な合意は時期尚早だ。一歩一歩進むべきだ」と言ってきた。では先制不使用という一歩を踏み出してはどうかと言われると「包括的な合意がないから無理だ」という。ああ言えばこう言う。そもそも核兵器をなくす気があるのか。(川崎哲、ピースボート)  

2021/06/14 · Leave a comment