川崎哲のブログとノート

ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲の活動の紹介、オピニオン、資料などを載せています

「戦争を終わらせるために」――『世界 臨時増刊 ウクライナ侵略戦争』に問題提起文を寄せました

 これまで集団的自衛権問題研究会として活動してきた仲間たちと、昨秋、平和構想研究会を立ち上げました。同研究会として、4月14日刊行の岩波書店『『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争』に「戦争を終わらせるために――人道上の危機と国際関係の危機」と題する問題提起文を寄稿しました。その概要は、以下の通りです。

 プーチン大統領が開始したウクライナ侵攻は明白な国際法違反であり、ロシアは即時に撤退しなければならない。無数の民間人が標的とされ命を奪われ傷ついているという人道上の危機と、武力の使用・威嚇を禁じた国連憲章の基本原則が破られているという国際関係の危機の両面から、この問題を理解する必要がある。この戦争はロシア対NATOの東西対決構図の中で戦われていることから、エスカレートすれば第三次世界大戦そして核戦争へと発展しかねない。なお「西側」の視点からの大量の報道にさらされている私たちは、これまでイラクやシリアの状況に十分に関心を払ってきたのかについても振り返りたい。

 この戦争を早期に終わらせるためには、この軍事侵攻の不当性をくり返し明らかにしながら非軍事的な手段でロシア政府に圧力をかけつつ、停戦交渉を促すほかない。国連総会決議や国際司法裁判所の命令などは、積み重ねることに意味がある。反戦を掲げる市民の声の広がりは、プーチン政権に対する重要な圧力となる。経済制裁は重要だが、負の側面もあるので慎重な検証の下ですすめる必要がある。

 日本政府の対応は、G7等と連携した経済制裁や緊急人道支援は妥当であるが、武器の提供は重大な問題をはらんでいる。ウクライナが「紛争当事国でない」とする防衛装備移転三原則の定義は現実を反映しておらず、今後の恣意的運用の危険性もある。

 メディアでは侵攻国を中国や北朝鮮になぞらえた議論が活発化しており、政府与党は今年末までの国家安全保障戦略の改定において「敵基地攻撃能力の保有」を含む「抑止力・対処力の強化」を掲げるだろう。しかしそのような動きは周辺諸国にも同様の行動を誘発し、軍拡競争を招く。私たちは冷静になって、戦争を起こさないための予防外交を最優先課題に据え、地域での相互的な軍縮や信頼醸成にこそ努めるべきである。

 一部の政治家から「日本も核共有すべき」との声が上がっているが、唯一の戦争被爆国である日本がそのような動きに出れば、深刻な政治的悪影響をもたらす。いまロシアが核の恫喝を行ないながら侵略戦争を続けている事実は、核の力で世界の安定が保たれるという「核抑止論」がいかに無責任な謬論であるかを示している。これまで核の脅威にさらされてきた世界の国々が非核兵器地帯を作ることで安全を確保してきたことを想起すべきだ。

 軍事同盟で世界を分割するのではなく、多元的な予防外交を展開し、戦争の克服という国連の目標に世界を近づけることが、平和憲法をもつ日本が果たすべき役割である。

 7ページにわたる全文は、ぜひ以下のリンクより『『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争』をお求めのうえお読みください。>https://www.iwanami.co.jp/book/b605064.html

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This entry was posted on 2022/04/17 by in Uncategorized.
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